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第三章 フィアナ奪還
第十一話 ロットが描いた錬成陣
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錬成はぶつかり合い衝撃波がステンドグラスに罅をいれていた。
フィアナは何も言わずに淡々とアクセルの錬成を打ち消すようにして錬成を続けている。
「なぜ何も言わないフィアナ」
「……」
「(こうなったらすぐにでも決着をつけるしかないか)」
真正面にいるフィアナに向かい錬成をしながら風を切り走り出す。覚醒の影響によりいつものアクセルとは比にならないほどの素早さである。アクセルは青い剣を構えて斬ろうとした。
煙がたちフィアナの姿が見えない。
「影が……近づいてきてる!?」
「甘いなアクセル、今の私はそのくらいでは倒せない」
赤い槍を巧みに使いこなしアクセルの腕が斬られてしまう。
「覚醒の力か、その程度だったなんてね。弱い人には興味ない、アクセル貴方にはもう興味がなくなったわ」
「……フィアナ」
その目には光がなくなり強さだけを求めた黒い禍々しい物だけが残っていた。目の前のフィアナはアクセルたちが知っているものとは程遠い、存在である。
「さよならアクセル」
鋭い斬撃がアクセルを襲うが何とか剣で受け流す。
衝撃を和らげるようにして何度も剣で防ぐが、反撃の隙が無い。
「ほらどうしたのアクセル?防御ばかりではいつまでも倒せないよ」
「うぅ……(どうする、どうすれば)」
「ふふふっ焦ってるのねアクセル、どう私の力凄いでしょ」
その言葉を聞いたアクセルは剣で槍を払いのけて突き飛ばす。
「フィアナそれは本当にお前に力なのか?」
「何を言ってるの?これは本当の私の力、誰の力でもない私の力なの」
「違うそれは偽りの力だ、堕天によって底上げされた力なんだよ!」
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い‼私の力なんだ……アクセルは黙ってて」
凄まじい覇気が黒いオーラと共にアクセルを押しのける。
黒い風が溢れだしフィアナは半分暴走状態の様になってしまっていた。何も触れられないほどの強大な力に驚き自然と体が後ずさりしてしまうが、脚を抑えて一歩ずつ前へと進む。
「フィアナ、駄目だそのままじゃ体が持たない」
「ウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイ」
「フィアナっ‼」
「ウオオォォオォウオォオォォオオオウオアアアアアアアアア」
人の叫びとは違った獣に似た叫びが部屋を包み込む。
目が白くなりフィアナのもとの姿を残していない体は既にボロボロになっていた。アクセルはその姿にあまり目線を合わせられないでいたが、目の前の現実に向き合い再び剣を握る。
だが剣を握った途端に数センチの距離までフィアナが近づき殺意を込めた握りこぶしを向けていた。避けようとするが判断が遅く、顔を思いきり殴られてしまう。
何処までも吹き飛び部屋の壁を砕く衝撃波が背中からつたわってくる。
「くはっ」
血を吹き出し意識が朦朧とする。
それでもフィアナは攻撃の手を緩めず一瞬で近づき、今度は天井までお腹を抉りながら飛ばされる。
意識を保っているのが奇跡だというくらいの傷を負い、目もかすみ死の淵まで追いやられていた。
「(助けなきゃ、フィアナを……じゃないとここまで来た意味がないじゃないか)」
「グオォオォォオォオォォォオォオオオ」
物凄い速さで向かってくるフィアナを見ながら、アクセルは自分の腕を見て何かに気付く。
腕にはロットによって描かれている錬成陣があった。
「(そうかこれを使えばもしかしたら)」
声を振り絞りアクセルは片腕に描かれている錬成陣に手で触れて言った。
「――錬成」
瞬間、白い光がアクセルを包み込み腕の錬成陣が輝きだす。傷が治っていき体が動かせるようになっていくと力も漲ってくる。
覚醒とは違った白い錬成陣に力にフィアナは驚いていた。
「これがロットの錬成陣!?一度きりの力か、ありがとうなロット」
ロットの錬成陣により傷を回復させたアクセルは立ち上がる。すぐにその様子を見て、フィアナは殴ろうとした。
「(動きが見える)」
フィアナは壁を殴っただけでそこには誰もいなかった。
アクセルは回り込みフィアナの後ろにいた。
「悪いけどお返しだフィアナ‼」
頬を殴り吹きとばす。
それでも平気な顔で立ち上がるフィアナを見てアクセルは、
「そう簡単にはいかないよな、だけど動きも見える攻撃も通じる。反撃返しだ!」
ロットの錬成陣を使い勢いづくアクセルは眼の前のフィアナと真剣に向かい合っていた。
フィアナは何も言わずに淡々とアクセルの錬成を打ち消すようにして錬成を続けている。
「なぜ何も言わないフィアナ」
「……」
「(こうなったらすぐにでも決着をつけるしかないか)」
真正面にいるフィアナに向かい錬成をしながら風を切り走り出す。覚醒の影響によりいつものアクセルとは比にならないほどの素早さである。アクセルは青い剣を構えて斬ろうとした。
煙がたちフィアナの姿が見えない。
「影が……近づいてきてる!?」
「甘いなアクセル、今の私はそのくらいでは倒せない」
赤い槍を巧みに使いこなしアクセルの腕が斬られてしまう。
「覚醒の力か、その程度だったなんてね。弱い人には興味ない、アクセル貴方にはもう興味がなくなったわ」
「……フィアナ」
その目には光がなくなり強さだけを求めた黒い禍々しい物だけが残っていた。目の前のフィアナはアクセルたちが知っているものとは程遠い、存在である。
「さよならアクセル」
鋭い斬撃がアクセルを襲うが何とか剣で受け流す。
衝撃を和らげるようにして何度も剣で防ぐが、反撃の隙が無い。
「ほらどうしたのアクセル?防御ばかりではいつまでも倒せないよ」
「うぅ……(どうする、どうすれば)」
「ふふふっ焦ってるのねアクセル、どう私の力凄いでしょ」
その言葉を聞いたアクセルは剣で槍を払いのけて突き飛ばす。
「フィアナそれは本当にお前に力なのか?」
「何を言ってるの?これは本当の私の力、誰の力でもない私の力なの」
「違うそれは偽りの力だ、堕天によって底上げされた力なんだよ!」
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い‼私の力なんだ……アクセルは黙ってて」
凄まじい覇気が黒いオーラと共にアクセルを押しのける。
黒い風が溢れだしフィアナは半分暴走状態の様になってしまっていた。何も触れられないほどの強大な力に驚き自然と体が後ずさりしてしまうが、脚を抑えて一歩ずつ前へと進む。
「フィアナ、駄目だそのままじゃ体が持たない」
「ウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイウルサイ」
「フィアナっ‼」
「ウオオォォオォウオォオォォオオオウオアアアアアアアアア」
人の叫びとは違った獣に似た叫びが部屋を包み込む。
目が白くなりフィアナのもとの姿を残していない体は既にボロボロになっていた。アクセルはその姿にあまり目線を合わせられないでいたが、目の前の現実に向き合い再び剣を握る。
だが剣を握った途端に数センチの距離までフィアナが近づき殺意を込めた握りこぶしを向けていた。避けようとするが判断が遅く、顔を思いきり殴られてしまう。
何処までも吹き飛び部屋の壁を砕く衝撃波が背中からつたわってくる。
「くはっ」
血を吹き出し意識が朦朧とする。
それでもフィアナは攻撃の手を緩めず一瞬で近づき、今度は天井までお腹を抉りながら飛ばされる。
意識を保っているのが奇跡だというくらいの傷を負い、目もかすみ死の淵まで追いやられていた。
「(助けなきゃ、フィアナを……じゃないとここまで来た意味がないじゃないか)」
「グオォオォォオォオォォォオォオオオ」
物凄い速さで向かってくるフィアナを見ながら、アクセルは自分の腕を見て何かに気付く。
腕にはロットによって描かれている錬成陣があった。
「(そうかこれを使えばもしかしたら)」
声を振り絞りアクセルは片腕に描かれている錬成陣に手で触れて言った。
「――錬成」
瞬間、白い光がアクセルを包み込み腕の錬成陣が輝きだす。傷が治っていき体が動かせるようになっていくと力も漲ってくる。
覚醒とは違った白い錬成陣に力にフィアナは驚いていた。
「これがロットの錬成陣!?一度きりの力か、ありがとうなロット」
ロットの錬成陣により傷を回復させたアクセルは立ち上がる。すぐにその様子を見て、フィアナは殴ろうとした。
「(動きが見える)」
フィアナは壁を殴っただけでそこには誰もいなかった。
アクセルは回り込みフィアナの後ろにいた。
「悪いけどお返しだフィアナ‼」
頬を殴り吹きとばす。
それでも平気な顔で立ち上がるフィアナを見てアクセルは、
「そう簡単にはいかないよな、だけど動きも見える攻撃も通じる。反撃返しだ!」
ロットの錬成陣を使い勢いづくアクセルは眼の前のフィアナと真剣に向かい合っていた。
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