俺と吸血鬼

クローバー

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とぼとぼ...
家に帰る俺の歩みは遅い。
疲れた...
生徒会の仕事、こんな遅くまでするんじゃなかった...
期限まだ先なんだからゆっくりやっても良かったなと今更ながら後悔。
家が近いということで俺頑張るわって安請け合いするんじゃなかった。
ああ、お腹すいた。
もうめんどくさいから普段は使わないけど近道しよ。
静かで、街灯がちょこちょこあるだけで結構暗いからあんま通らないほうがいいんだろうけど...
まあいいか。
一応前は通ったことあるから道は完璧にわかる。
なんか怖いから早足で行くけど。

やっと家につく...
普通に通るより結構早く着くのは確かなんだけど、なんかこう、不安になってきついからもうこの道は使わないと心に決めた。
また使う気がするけどね。
...ん?
今なんか聞こえたような...
「...ぁ...」
やっぱり聞こえたね。
なんか小さい声が聞こえた。
...行きたくないけど行ったほうがいいかな?
うん、じゃあ行くだけ。
もしかしたらなんかあるかもしれないしね。
怖くないよ?ホント。
声の聞こえてくる角をそーっと覗く。
「!?」
声を出さなかった俺を褒め称えたいと思う。
曲がり角を曲がったら男女がお盛んになってた。
何やってんのあの人達!?
「あ、っ...ん...」
って暗くてよく見えなかったけど男の人めっちゃイケメン。
同性なのにドキってするくらいには。
その男の人が女の人の...アレ...を指で弄りながら、胸をもんでいる。
...なんかAVでしか見れなさそうな光景が目の前でされているからめっちゃムラムラしてくる。
すでに俺のチ○コはギンギンになっている。
一応外でシコらないくらいの理性は持ち合わせてるけど。
やばいどっか行かないといけないとわかってるのに体が麻痺したみたいに動かない。
とりあえずそこを通らないと家に帰れないからそこの壁でじっとしておこう。
壁に背を預けながら色々考えていた。
まず第一にいくら人通りがないとはいえ勇気ありすぎやろ!とか、俺も結婚したらあんなふうにヤるのかなとか。
うう、妄想したら理性が吹き飛びそうになる。
けど健全な男子高校生があんな場面見せられたらこんなにもなるでしょうよ。
そもそも俺の反応って結構控えめなんじゃないかな。
そのままシコったり、何なら撮影とかし始めそうなやつとかいそうだし。
...そろそろいなくなったかな。
腕時計を見たら5分くらい経ってたし。
...妄想で5分削れたのか。俺すげえな。
壁からそーっと見てみる。
...いなくなったかな?
そういえばここにいるのってよく考えたら危険だったな。
こっちに来る可能性とかありそうだし。
だけど誰もこっちに来なかった!
神様ありがとう!気まずいなんてもんじゃないから。
...もし神様がいるならそもそも遭遇させないでほしかったなー。
いやリアルで見れたからありがたかったのか?
...これ以上は考えないようにしよう。
そうと決まったらさっさと帰た..く?
「え!?」
「お前さっきの見てたよな?」
待って、え?
いつの間に後ろにいた?
結構慎重にキョロキョロしたから誰もいなかったのは確定。
それに俺はずっと角にいて、誰かを見たわけじゃないから後ろに回り込まれたとかも普通なら考えられない。
首元に冷たい汗が流れる。
逃げよう。
後ろを確認せずにがむしゃらに走り出す。
帰り道がわからなくと思ったけど、命のほうが大事。
最悪スマホのマップ機能でどこにいるか分かる。
そう考えてひたすら走った。
しばらく走ってたら行き止まりに当たった。
え?行き止まり?
「どうして?」
「俺の結界に閉じ込めたからだな」
ポロッと出てきた独り言に返事があった。
「うわあああ!」
なんで当たり前のように近くにいるの!?
どうにか謎の男の脇をすり抜け、また逃げる...んだけど?
さっきと道が絶対に違う。
俺は方向感覚がいいほうだから間違えるはずがないもん。
「これでわかったか?」
「ヒッ!」
もう恐怖が天元突破して情けなくも泣き出してしまった。
「もう一度聞くがさっきのを見たか?」
「み、みま、した」
嘘をついたら絶対にまずいことになると思い正直に話した。
「そうか...」
はぁとため息をつきこめかみを押さえる謎の男。
「お前、何者だ?」
「いや、ただの高校生...」
「ならどうして俺の結界を突破できる?」
「結界?」
ラノベとかであるあるのあの結界?
空間をどうのこうのーみたいな。
「無自覚?だがここに来たからには記憶を消すしか...」
待ってなんか消すとかいう単語が聞こえたけど!?
ぼそっと言ってたから全部は聞こえなかったけど消すっていう単語が聞こえたけど!?
「ごめんなさい!誰にも言わないから殺さないでください!」
恥も外見もかなぐり捨てて土下座をする。
一瞬謎の男が何やってんだこいつって顔をしてたけど、すぐに笑った。
「あっはっは!お前面白いな!」
何がそんなに面白いの?
こっちは殺されるかと思って土下座したのに。
「大丈夫。無自覚みたいだし記憶を消そうとしただけだ」
あっ記憶を消そうとしたんだ。
ん?記憶を消す?
「待って記憶を消すってどういうことですか?普通の人がそんな事できないと思うんですけど」
「...まあいいか。俺の正体は...」
そう言って俺に近づいて腕を掴んできた。
「な!?これは...」
「あ、えっと...」
「気が変わった」
そう言うと何故か俺のことをお姫様抱っこしてきた。
「ちょっとしばらくの間眠っててくれ」
混乱している俺に目を合わせてきてそう言った。
わけも分からずとりあえず目を合わせていると、謎の男の目の色が赤くなり...
「なに、これ?」
急に全身の力が抜けてそのまま気を失った。
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