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学校編

59.怒られた

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ウオー!ただいま異世界!
...いやだいぶ住み慣れたし世界でいいかな?
普通に考えたら俺って一回死んでこっちに生まれ変わってるんだから地球の方を異世界っていうのが正しいんじゃない?
...
まぁそれは人それぞれということで。
俺は人じゃなくて魔物だけどな!
...
やばいなんかテンションがおかしい。
とりあえず落ち着こう。
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー...
よし!おれはしょうきにもどった!
戻ってなさそう。小並感。
「ソースケ様大丈夫ですか?」
「ん?あーごめんごめん。ちょっとボーッとしてた」
思考加速発動!
ステータスが復活したからさっさと発動します。
よしこれでいつもみたいに余計なことを考えてても現実では時間が経っていないことになった!
「それで、これからどうするんですか?」
「どうって?」
「一応元の世界に戻ってきたので今相手をしている我と入れ替わったほうがいいのでは?」
確かに。
すっかり忘れてたけど、この神話生物一ヶ月間ずっと俺のふりをしてたんだわ。
...忍耐エグいな。
「そうだね。それじゃあ早速元に戻ろう。ちなみに今って何時くらいなの?」
何となく今何時なのか気になってヨグさんに尋ねる。
夜だったらいいけど、昼間だったら入れ替わるタイミングを考えなきゃいけないだろうし。
「12時37分29秒ですね」
細かい細かい!
てかなんでそんなに細かい時間まで分かるの!?
あ、そういえばこの人ヨグ=ソトースだったわ。
...率直な感想言っていいかな?
流石に怖い。
「ま、まあその時間ならちょうど昼休みだからいい感じのタイミングを見て入れ替わろう。とりあえず転移で向こうに行くよ」
「わかりました」
ヨグさんの腕を掴んで、転移!

ただいま学校!
一ヶ月ぶりくらいだから夏休みよりちょっと長いくらいだね。
学校あるある。
普段は行きたくねーとか思ってるけど、長い休みを挟むと寂しくなる。
いや寂しくないけどね。
だって俺一ヶ月くらい気絶してたし。
気絶してたらその間の時間なんて無いに等しいんだよ。
時間を無駄にしたってことで虚しいにもほどがあるけど。
...なーんてつらつら考えてたのが悪かった。
「あれ?お前...さっき教室で別れたよな?」
あ。
目と目が逢う瞬間~
ハロー王子様。
グッバイ王子様。
「ゴフッ!?」
オヤスミ王子様。
なーに死にはしない。
ちょっと強めに腹パンしただけだから。
てか殺したら大問題になる。
とりあえずロープとガムテープを購入してちょいちょいっと拘束。
...王子様の扱い最低すぎ?
知らん!今は有事ですので我慢してください。
「じゃあヨグさん、あとはお願い。もし起きても絶対に傷つけないでね?」
「わかりました」
まあヨグさんはアランの近くで置物になることが確定してるけど言う必要はない。
だって俺がどうこうしないと目覚めないし。
あくまで他の人に見つからないようにするための保険。
神話生物を保険に使うスケルトン。
...絵面がヤバそう。
まあいいや。
それじゃあ早速死蔵してたスキルを使いましょう。
テッテレー!
朧げな存在ー!
...
『...え?』
...
『あ、はい。えーゴホン、朧げな存在だって?何だそれは!?』
ククク、これはビスタニアと魔族領でなんやかんやして貰ったスキルである!
内容は対象の記憶を読み取った上でその対象の姿になれるっていうスキルだ!
『なん...だと...?...はい、これで満足ですか?』
満足です。
いやーなんかしょうもないことに付き合ってくれてありがとう。
『...本体が素直にお礼を言った?貴様本物か?』
消すよ?
『ごめんなさい』
うむ。
と、脱線したわ。
とりあえずアランに、へ~んしん!
...それっぽいエフェクトはなかった。
こう、シュンッて感じで一瞬で変化した。
さて、と。
「俺の名前はアラン・レクネイド。レクネイド王国の第二王子だ」
うん。
大丈夫そう。
けどこれ使ってみてわかったけど、結構きついわ。
まず時間制限。
なんか脳裏に効果終了まであと1時間って浮かぶんだよね。
時間制限案外短いな。
まあそれは別にどうっちゃいい。
問題は記憶。
これ対象の記憶読み取るって説明にあったけど、ほんとに細かいところまで読むんだね。
強く心に残ってるのはもちろん、日常の些細なことまでも読み取ってるね。
頭の中がごちゃごちゃする。
俺はタイムループした経験があるからか飲まれはしなかったけど、何の訓練もしてない普通の人だとその対象に飲まれそう。
とんだ欠陥スキルだなこれ。
まあいいか。
えーっと、アランはトイレに行くと言って偽俺と別れたのね。
とりあえず教室に戻るか。

久しぶりの教室だー。
懐かしいねこの感じ。
あ、ターゲット発見。
グレンも一緒いるけど。
「あ、アランおかえり」
「ああ。そうだソースケ少しいいか?グレンは待っててくれるとありがたい」
「ん、なになに?」
「僕はいいけど」
よし連れ出し成功。
とりあえずトイレに直行。
それと同時に変身解除。
解除したら記憶は消えるのか。
ありがたい仕様で良かった。
「さてと、ヨグさんほんとにありがとね」
「いえいえ、お礼でしたら別の私に言ってもらってるので不要ですよ」
一応リンクしてるんだ。
「そうだ、記憶の同期をしておいたほうがいいのではないですか?」
「確かに。それじゃあヨグさんちょっと頭触るよ」
ここで朧げな存在を流用して記憶だけをもらう。
なるほどなるほど...
っと、情報の精査は後々。
早くしないとグレンが怪しむだろうし。
あとはアランにも。
拘束を解いて、記憶をちょこっと弄って、ハイおしまい。
とりあえず連れ出した理由については適当に濁してもらうようにした。
なんか記憶弄ったときにHPがちょこっと減ったけど気にしない。
光魔法でちゃんと回復してあげたから問題ない。
俺からしたら光魔法の回復って自傷行為なのにそれを我慢して回復してあげる俺超優しい。
うう、痛いし気持ち悪い...
っと目が覚めたみたいだね。
というわけで教室へゴー。

ヨグさんは俺が作った異空間、今レモンが住処にしてる空間に放り込みました。
レモンが一人で寂しそうにしてるだろうからね。
仲間ということで仲良くしてほしい。
仲間といえば今度シンヤたちにも会わせないとね。
「ただいま~」
「あ、ソースケくんおかえ...り...?」
なんかはてなマークが浮かんでる気がするんだけど気のせい?
まあいいや。
思考加速して読み取った記憶の精査をしましょう。
記憶の量が膨大だからめんどくせぇ...
えーっと...
あ、一ヶ月後に前世で言う期末テスト的なのがあって、その一ヶ月後に夏休みか。
今が確か...5月くらいか。
帰ってきてそうそう...猶予は一ヶ月あるとは言えこれはきつい。
やるだけやるけどさぁ...

キーンコーンカーンコーン

「はーい席に座ってー。授業始めるよ」
ちわっすジェイ先生。
相変わらずのメガネイケメンですね。
爆発すればいいのに。
おっと久しぶりにジェイ先生を見たから嫉妬の波動が...
落ち着けー落ち着けー。
落ち着いて授業に集中しよー。
もうすぐテストもあるし真面目にしとこう。
痛い目を見たくないです。



「それじゃあ今日はここまで!次は実技をするからグラウンドに集合」
はー座学きつい...
集合しろって言ってたけどちょっとぐらいぐで~ってしてていいか。
久しぶりだから本調子じゃないんだよ。
え?さっきと言ってること違うじゃないかって?
それはそれ、これはこれ。
「ソースケくん行かないの?みんなもう行っちゃったけど」
「え!?早くない?」
「早くない。てかソースケくんならいつも一番に出ていくじゃん」
「あー今日はちょっと疲れてて...」
「ふーん...」
「何その反応」
「いやさっきから妙な違和感がするんだよね。どう表現したらいいのかわからないんだけど、さっきまでのソースケくんと今のソースケくんが違うように感じて...」
...
「どういうことよ。俺は俺だよ?」
「いやそうなんだけど...まあいいか、授業始まっちゃうよ?」
「そうだね。とりあえず移動しよう」

えー、今回の授業は武器に魔法を纏わせる方法を実践するそうです。
俺できるんだけど。
「さっきの授業でも言いましたが、武器に魔法を纏わせる方法は2つあります。1つ目は自分の得意な属性で直接覆うことです。こちらは魔法を扱うことさえできれば比較的簡単に使えます」
そう言って剣に風を纏わせる。
「効果としては威力の増大と武器の保護です。間違った使い方をすれば武器を壊してしまいますけどね」
剣を一閃させるとあのクソ硬いカカシが一刀両断される。
何も考えないで使ってたけどあれってかなり効果が上がるんだね。
俺はステータスのゴリ押しで一刀両断できるけどね!
その武器は破壊されるけどね...
「2つ目は武器に魔法の術式を書いて魔法武器に変えてしまう方法です」
ジェイ先生が呪文を詠唱して魔法の準備をする。
あれは...竜巻的なやつかな?
詠唱内容と魔法の術式でなんとなくわかった。
...これ威力大丈夫?
「僕も完璧にできるわけじゃないけど、術式そのものを武器にまとわせると...」
おー...
武器に変化がない...
だけど力を感じる。かなり。マジで。
いやちょっとまってこれ本当に威力大丈夫!?
そう思った瞬間爆発が起こった。
何言ってんのかわかんないと思うけど、俺も何が起きたのか一瞬わからなかった。
一瞬暴発したかと思ったけど、誰も怪我をしてなかったから大丈夫そう。
被害は甚大だけど。
いや言うほど甚大じゃないわ。
せいぜい直径2m程度のクレーターができただけよ。
え?十分甚大?
この世界魔法があるからこれくらい普通よ。
知らんけど。
...それはそれとしてちょっとまって?
「みんな大丈夫!?」
「生徒はみんな無事だよ」
「先生もなんとも無いな」
「グレンとアランありがとう」
...俺が学級委員じゃなくてもいいんじゃないかな。
ぶっちゃけこの人達に任せたほうが...
っとそれは後で。
「先生!」
「結構派手に行ったなー」
あ、なんともなさそう。
「ちょっとは威力を考えてください!怪我をしたらどうするんですか!?」
「そのへんは大丈夫。念の為に結界を張っておいたから」
「...じゃあいいか!」
考えるのがめんどくさいことは放り投げるに限る。
「流石にこれはやりすぎだけど、魔物と戦うときは威力も考えないといけないからこういうことも覚えておくんだよ」
「「「はーい」」」
ちなみにカカシは復活しました。
自己修復能力がエグいからちょっと一個パクって調べてみたい気がしたけど我慢する。
あとこれからインスピレーションを得たから今度魔法の開発しよ。

それからなんやかんやあって夜。
え、一気に飛ばし過ぎだって?
いやジェイ先生めっちゃ強いんだなっていうインパクトがやばくてその日のことあんまり覚えてないの、テヘッ!
...
サーセン。
今後はこのようなことがないように善処します。
というわけでおやすみなさい。
「ソースケくん、ちょっといい?」
眠りを妨げられた。
友達とは言えこれはひどいよねー?
「良くない」
「...ちょっと話があるから付き合って」
「あら、デートのお誘い?残念だけど私今日用事があるの」
フッ、俺の女声我ながら上手い。
「...」
「あだだだ!ごめんって!謝るからサイコキネシスで圧力をかけるな!」
「じゃあ付き合って」
「まったくもー、しょうがないなー!」
フフフ、ショタボイスもお手の物。
「...」
「わかりましたさっさと行きましょう。だから怒らないで。お願いだから」
ベットから這い出してドアに直行。
...
ダァに直行。
ダァシェリイェス!!
んふふ...
これ言ったら確実に粉砕されるから言わないけどね。
...
さて、遮音結界解除。
あー憂鬱だ...

「グレン、俺を連れ出した理由は?」
「もうわかってるでしょ?」
「はぁ...やっぱりね。ていうか気づいちゃったんだ。もう終わったことだし良くない?」
「...流石に言っていいことと悪い事の区別はつくよね」
また圧力をかけてきた。
いい加減痛いし空間魔法で無効化。
「だからってさっきから圧力かけてくるのはおかしくない?」
「約束を破ったでしょ?それの罰だよ。これでも罰にはなってないけど。どうせ無効化してるだろうし」
「フフフ、俺にダメージを与えようなんて百年はy」「ソースケくん」
俺の言葉を遮って目をじっと見つめてくる。
その目からは涙が溢れていた。
「僕さ、言ったばかりだよね。無茶するなって」
「...」
「それなのに何なのあれ。なんでわざわざ死にに行くようなことをしたの!?」
「...知ってたの?」
あのときはまだグレンは死んでたはず。
ヨグさんから聞いたのかって思ったけど言うとは思えない。
だったら...
「新しくスキルが増えてたんだ。過去視っていうのが。だからあれが偽物ってことは最初っから気づいてた」
うっそぉ...
「偽物だってわかってたのにどうして?」
「ソースケくんを信じてたから...なんてね。どうせすぐに戻ってくるだろうって思ってたから」
涙を流しながら、それでも笑ってそんな事を言うグレン。
「強がり」
「どうとでも言ってよ。さて、僕になんか言うことはない?」
「...ごめん。あのときはグレンが死んだってことで理性が吹き飛んでた。今後は絶対にこんなことはしないから、その、許してくれる?」
「んー...まあいいよ。だけど」

パチンッ!

夜の静かな空間に小気味いい音が響き渡る。
少し遅れて頬に軽い痛み。
「一発だけ、ね。今回はこれで許してあげるけど、また無茶したらこれじゃ済ませないから」
「...あはは、わかったよ。もう絶対にしない」
「約束、だよ?」
そこまで行ってせき止めていたものが溢れ出すかのように泣き出した。
「あー、えっと...俺は部屋に...」
「泣き止むまでここにいて。それくらいいでしょ?」
「...はいはい。たく、高校生にもなって号泣しないの。ていうか俺だってビンタされて泣きたいってのに...」
「フフッ、ソースケくんは泣いちゃダメ」
「そのくらいはわかってる」

それからしばらく外で泣き止むのを待っていた。
約束を守るって言ったけどそれは守られない可能性もある。
またグレンが死んでしまったりしたら後先考えずに今回みたいなことをすると思うなー。
だから、さ。
ものすごいワガママだと思うけど、グレンも俺にこんなことをさせないように気をつけてね。
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