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学校編
57.OHANASHIの準備
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移動!...したいんだけど。
俺は拓海の現在位置がわからないから転移ができない。
空間魔法による転移は万能だけどできないこともちゃんとあるから仕方ないね。
うわぁーんどうしよーたくみのところにいけないよー。
...なんて困っているそこのあなた!
俺がなんの対策もしてないなんて思っていたのか!
まぁそんなご大層なもんじゃないけど。
テッテレー!通話のピアスー!
転生してすぐに作って、なんのアップデートもしてないのに超有能な例のアレ。
いつもお世話になっております。
これを使って拓海に迎えに来てもらおうって訳です。はい。
というわけでもしもしタクミメン?
...
繋がらねー!?
なんで!?
ちょっとピアスの空間魔法の部分に干渉して、拓海の現在位置を調べる。
無理しないと出来ないから封印してたけど、GPS機能も搭載してあります。
というわけで早速実行。
...
分からねー!?
なんで!?
あれか?お客様の端末は電波(風&空間魔法)の届かないところにあるよーってこと?
...まぁ当たり前っちゃ当たり前かな。
小学校からの親友というイメージが強すぎるし、転生してからめちゃくちゃ無双!っていう場面に遭遇してないからあれだけど、拓海って神だったね...
いや、管理者だったっけ?
まぁあんま変わらないしいいか。
一応ビスタニアで瘴気浄化作業をしてくれたけど、それ以外で関わってくることがあまりなかったから神ってイメージが薄いのよ。
俺に関わってきた時は基本的に雑談だったからねー。
...あれ?神、あれ?
...考えないようにしよう。
都合の悪い考えは過剰梱包してぽーいしましょうねー。
えっとどこまで考えてたんだっけ?
あ、拓海が神だって思い出したとこまでか。
...俺、記憶力無さすぎ?
いや、そんなことは無い!
たぶん、おそらく、きっと、かっと...
とにかく!
神なんだからずっとこの世界にいるわけじゃないよね。
今はこの世界じゃないどこかの世界にいるってことかな。
流石に違う世界に行かれたら繋がらなくなるだろうし。
ていうかほんとに繋がらなかったし。
前に日本に遊びに行った時何故かピアスが死んでたんだよね。
今度どこに居ようが繋がるようにピアスの改造をしとこう。
全属性を使ったゴリ押しでどうにかできるでしょう。
新たな問題も洗い出せて非常に満足な気持ちになりました。
...でこれからどうしよう。
もう打つ手無しなんだけど。
やばいいくらここまで思考加速で考えてたって言ってもヨグさんにめちゃくちゃ申し訳なくなるんだけど。
「ヨグさん...」
「何でしょう?」
「拓海のところに移動できないんだけどどうしたらいいかな。何か俺が干渉できないところにいるらしくて跳べないんだよね」
「あぁそのことですか。拓海様?のところには我が送るので大丈夫ですよ。」
「あ、そう?」
「それよりも我はソースケ様のことが凄いと思いますよ」
「というと?」
「気づいてると思いますがここは我が作った空間です。この空間は中に入れた存在を無力化させる作用があるのですが、これは自分で制御することができないのです。一応弱体化するようなことはないので気にしてなかったんですが...」
わお。
俺が目が覚めたときスキルが全く使えなかったのってヨグさんが原因...原因?まぁとにかくヨグさんの空間が悪さしてたんだね。
あれ?けどなんで途中から当たり前のようにスキルを使えたんだ?
魔法は構築している端から分解されてる気配がするけど、ちょっと無理すれば問題なく扱えるし。
「ソースケ様の力は我を超えているのだと思います。神に近しい力を持っていると言っても過言ではありませんよ」
わお。
俺って神になる素質あり?
フッフッフッ...俺が拓海と同格になる日も近いようだな...
絶対に口に出さないけどね。
「それは流石に過言じゃない?それと拓海のところに転移ができるならヨグさんのほうが魔法能力上じゃない?」
「いえ、それは違いますよ。元々直接拓海様のところに転移をするのは我でも不可能です」
わお。
時空を体現せし者...いや存在?
一応そんな厨ニチックな事を言っても、あながち間違いじゃないのがすごいね。
ヨグ=ソトースって時空の支配者だしね。
けどそんな時空の支配者でも直接転移できない場所ってどんなとこよ...
「ヨグさんでも跳べないの?」
「えぇ。ですが一ヶ月前に...『ソースケが起きたらこっちに連れてきてよ。流石にお詫びとかしないといけないし』...と言われて、その場所にアクセスするためのパスに干渉させてもらえたんですよ」
わお。
色々言いたいことあるけどまず一つ目。
わざわざ変身しないで、ちょっと面白かったから。
場違いにも笑いそうになったから表情筋と腹筋をフル稼働させた。
なんで真面目に話してるだけなのに変身を挟んだらおもしろくなるんだろう。
二つ目、移動するための手段が限定されてるってそれやばい場所じゃないよね?
神々の領域とかそんな感じかな。
なにその厨二空間。
まさか漫画とかアニメ以外でそんな言葉言うとは思わなかったわ。
三つ目、行きたくねー!
なんか怖いじゃん!?
アレかな、菓子折りとか持ってったほうがいいかな。
羊羹とか持っていこうかな。
あいつ甘党だったし。
というわけで某虎さんの羊羹を購入。
あれちょっとまって?
「ヨグさんはそのよくわからない場所に行けるんだよね?けど俺は無理じゃない?そのパスとやらに干渉できないわけだし」
「そこも問題ありません。我と一緒に転移すれば行けるようになっています」
セキュリティガッバガバやな。
「本当は一緒に転移しても干渉してない側は弾かれるみたいなんですけどね」
いやちゃんとしてたわ。
俺って結構優遇されてるんやね。
親友になっててよかった。
「まぁいいや。それじゃあ準備できたし向こうの世界に飛ばしてくれる?」
「わかりました」
前置きが結構長くなったな。
いやまぁほとんど俺のせいな気がするけど。
なんてことを考えてたら体が引っ張られる感覚がした。
うぷ...ちょっと気持ち悪い。
自分で転移する時はなんにも感じないのに、ヨグさんに引っ張られた時はなんか気持ち悪くなった。
三半規管がおかしくなりそう。
「あ、いらっしゃい。ヨグ=ソトースを介してこっちに来れるようにしてたんだけど、無事に来れたみたいだね...って大丈夫!?」
「うぅ...気持ち悪い...」
なんか到着したっぽいけど一瞬でぶっ倒れた。
とりあえず闇魔法で回復を...あれ?
魔法が使えない?
っていうかスキル全般使えない!?
発動しないだけじゃなくて、使い方がわからない。
てか体がめちゃくちゃ重いんだけど。
よく確認したら人化も解除されちゃってるし。
なんならステータスすら開けないし。
「ホントに大丈夫?」
「大丈夫じゃない。なんか割とヤバめかもしれない。一応転移した時の酔は収まったから普通に過ごせるけど」
なんて言ったらいいのかな。
体が転生する前の状態に戻ってるって感じ?
いや見た目は骨だけども。
「転生する前はステータスがない地球だったからかな?適応するのが結構早いね」
「そんなもんなの?」
「そんなもんだよ。っと話がそれたね」
「いやごめんごめん。俺が逸したようなもんだから。あ、これお土産」
そっと袋をプレゼント。
手に持っといてよかったー!
いつもみたいに空間魔法で異空間収納してたら取り出せないなんて事態になってただろうから内心ドキドキしてたのは内緒。
「なにこれ...!?うわっ羊羹じゃん!え、まじ!?ありがとう!」
羊羹で喜ぶ神様。
なにそれ可愛い。
「喜んでもらえたようで何より。それといい加減本題に入ろう?脱線させまくってるの俺だけど。その、なんていうかさ...この人?が可哀想だし」
うん。
なんか見ちゃいけないものを見たような気がしてスルーしてたけどいい加減触れたほうがいいと判断。
めっちゃ居心地悪そうにしてるし、ね?
人って言っていいのかは判断に困るけど。
アレだよ、亜人は人間カテゴリに入れていいのか判断に困るやつ。
なんていうかこの人の見た目はエルフだった。
耳が長いの。
そんでもってすっごい美人。
北欧系の顔立ちをしてらっしゃる。
金髪碧眼だよ?絵に書いたようなエルフだよ?
その人が、俺がチラッと目線を向けた瞬間に、
「申し訳ありませんでした!」
って土下座したんだよ。
思わず「えっ?」って声を出しちゃったね。うん。
顔立ちはなんとなくコウカを思い出させる。
意思が強そうな、でもってクールそうな...
普段は冷静だけど、内に熱いものを持ってそうな...
コウカは全然そんなことはなかったけど。
あのグリフォンいつもテンション高いから。
だけどこのエルフは見た目通りだね。
なんていうか、雰囲気からそれが正しいって伝わってくる。
...まあ今は土下座をしてるから半減しちゃってるけども。
「あ、あの?とりあえず土下座をやめてもらってもいいですか?てかなんで土下座してるんですか?」
ものすごくいたたまれないから...
えー?俺こんな美人さんに土下座させるようなこと何にもされてないよ?
そもそも初対面ですよねあなた。
「あの、拓海?いや拓海さん?これがどういう状況なのか説明してもらえる!?」
「元々そのつもりで呼んだから1から10までしっかり話すよ」
「それじゃあよろしく。それといい加減土下座解除してもらえる?」
俺と拓海が話してる間もずっと土下座してるんだもん。
なんかよくわからないけど申し訳なくなってしまうからほんとに今すぐやめてほしい。
ていうかこの人の名前って確かクラウディアって感じじゃなかったっけ?
「ヨグさん、この人がクラウディアって人?」
「そうですね」
そうらしい。
「あの、クラウディアさん?」
「本当に申し訳ありませんでした!」
...
話を聞けぇー!?
「ディア?謝罪はもう大丈夫だからとりあえず土下座終わっていいよ?ほら、ソースケも困ってるし」
「申し訳ないです...」
あーこれやばいやつかな。
罪悪感に押しつぶされそうな人の反応だ。
...けど何の罪悪感だこれ?
そもそも罪悪感から来てる反応?
ていうか関係ないけどディアって何なん?
もしかしなくてもそういう関係?
キャー!拓海さんこんないい女の人をゲットしちゃってー!
「...なんか変な想像してない?」
「え、なに急に」
なんやこいつエスパーか!?
動揺する心を押し隠して白を切る。
ふっふっふ...こういう時はそんなことないと返してしまったら一瞬でバレるから、何かあったか的な感じで返事をすると多分バレないと思う。
知らんけど。
「まぁいいや。とりあえずなんでこのクラウディアさんは土下座してるの?」
もうホントにいい加減本題に入る。
「あーえっとね...この前王蟲みたいな魔物がソースケたちを襲ったでしょ?アレの原因が自分にあるからってことで...」
「あ?」
「「...!」」
そこの女が王蟲がこっちに来た原因って?
こいつのせいでみんなが危険に晒されたってこと?
「お前、死ねよ」
「ソースケ!落ち着け!」
「ソースケ様!」
「落ち着け?拓海にヨグソトースこそ何言ってるの?大事な人が死にかけた...ていうか死んだんだからこれくらいいいよね?」
殴りかかろうとしたら止められた。
なんでこんなクソみたいな神を庇うの?
「拓海、いくら親友でも邪魔するなら相応の対応をするけど?」
「だから落ち着けって!」
「うぐっ...!?」
思いっきり殴られた。
ついでにヨグさんに羽交い締めにされた。
めっちゃ痛い...
んでもって動けない...
拓海絶対思いっきり殴ったでしょ!?
てかヨグさんはなんで普通に俺を抑えられるの?
いくらステータスがないって言ってもそんな簡単に抑えられると傷つくんだけど。
「そんなに殴ることないじゃん!」
「いや、なんか頭殴りでもしないと正気に戻らないかなって思って。放置してたらディアのこと殺してたでしょ?」
「あ...ごめん...」
確かに拓海に抑えられてなかったら殺すまでは行かないと思うけど、殴る蹴るくらいは絶対してた。
俺が暴れないと判断したのかヨグさんが羽交い締めを解いてくれた。
うわもうマジでさぁ...
頭の中がごちゃごちゃする。
一応死人は出てないから許してもいい...なんて聖人君子みたいなことは言えない。
器が小さいって思われるかもしれないけどこればっかりは許すことはできない。
あーもうさぁ!
思わず頭を掻きむしって悶絶する。
髪の毛はないけど。骨だから。
「ほんとにごめん!俺にも一応原因はあるからさ。ソースケの気持ちもめちゃくちゃ分かるし」
「だけど結構キレて拓海が止めなかったらそこのクラウディアって人のこと、殴る蹴るくらいは絶対にしてたんだよ?だけどいくらアレだったとはいえ手を出すのは駄目じゃん?だけどちょっとくらい殴ったほうがいいって自分もいてさぁ...めっちゃ自己嫌悪...」
「そんなに落ち込まないで。俺だってそれくらいあるからね?ソースケが転生するきっかけになったあのときも犯人をぶっ殺そうとか思ってたし。もちろん実行はしてないけど。ま、その人が死んだらどうするかはわからないけどね。寿命かな?病気かな?事故かな?まぁ死んだら魂を存分に甚振ってあげないとね」
「...」
まって親友が怖い。
普段温厚な人を怒らせたら大変なことになるって本当だったんだ...
「ソースケ様、この方はいつもこのような感じなのですか?」
「多分キレてるだけ。まぁ俺が死んだ原因になったことに対してだから余計にキレてるんだと思うけど」
俺が言えたことじゃないけど、大事な人を失った人ってやばいキレ方するんだね...
いや正確には失ってないけど。
「...お二人共とても仲がいいんですね」
「「え?」」
突然これまで空気だったクラウディアさんが独り言のように呟いた。
「あ、すみません。つい思ったことが口に出てしまって...」
「いや大丈夫だよ。それとさっきは殴りかかろうとしてごめん...」
「いえいえ!それについては私が悪いので」
「それはそうと似てるってどういうこと?」
「ソースケさんもフェルもお互いを大切に思ってるっていうのが伝わって来たので」
いやぁそれほどでも。
伊達に親友やってないってもんですよ。
...ん?
ちょっとまって?
スルーしてたけどフェルって誰だ?
「ディア、ソースケの前でその名前は呼ばないで...」
「あーえっと、拓海さん?この件は触れないほうがいい感じ?」
「まぁ...また後々」
あ、はい。
「それじゃあディアそろそろなんであんな事になったのか説明してくれる?」
「わかりました」
そんなこんなでOHANASHI開始。
それにしても俺も我慢を覚えないといけないな...
とりあえず気持ちを切り替えて話を聞くことにする。
俺は拓海の現在位置がわからないから転移ができない。
空間魔法による転移は万能だけどできないこともちゃんとあるから仕方ないね。
うわぁーんどうしよーたくみのところにいけないよー。
...なんて困っているそこのあなた!
俺がなんの対策もしてないなんて思っていたのか!
まぁそんなご大層なもんじゃないけど。
テッテレー!通話のピアスー!
転生してすぐに作って、なんのアップデートもしてないのに超有能な例のアレ。
いつもお世話になっております。
これを使って拓海に迎えに来てもらおうって訳です。はい。
というわけでもしもしタクミメン?
...
繋がらねー!?
なんで!?
ちょっとピアスの空間魔法の部分に干渉して、拓海の現在位置を調べる。
無理しないと出来ないから封印してたけど、GPS機能も搭載してあります。
というわけで早速実行。
...
分からねー!?
なんで!?
あれか?お客様の端末は電波(風&空間魔法)の届かないところにあるよーってこと?
...まぁ当たり前っちゃ当たり前かな。
小学校からの親友というイメージが強すぎるし、転生してからめちゃくちゃ無双!っていう場面に遭遇してないからあれだけど、拓海って神だったね...
いや、管理者だったっけ?
まぁあんま変わらないしいいか。
一応ビスタニアで瘴気浄化作業をしてくれたけど、それ以外で関わってくることがあまりなかったから神ってイメージが薄いのよ。
俺に関わってきた時は基本的に雑談だったからねー。
...あれ?神、あれ?
...考えないようにしよう。
都合の悪い考えは過剰梱包してぽーいしましょうねー。
えっとどこまで考えてたんだっけ?
あ、拓海が神だって思い出したとこまでか。
...俺、記憶力無さすぎ?
いや、そんなことは無い!
たぶん、おそらく、きっと、かっと...
とにかく!
神なんだからずっとこの世界にいるわけじゃないよね。
今はこの世界じゃないどこかの世界にいるってことかな。
流石に違う世界に行かれたら繋がらなくなるだろうし。
ていうかほんとに繋がらなかったし。
前に日本に遊びに行った時何故かピアスが死んでたんだよね。
今度どこに居ようが繋がるようにピアスの改造をしとこう。
全属性を使ったゴリ押しでどうにかできるでしょう。
新たな問題も洗い出せて非常に満足な気持ちになりました。
...でこれからどうしよう。
もう打つ手無しなんだけど。
やばいいくらここまで思考加速で考えてたって言ってもヨグさんにめちゃくちゃ申し訳なくなるんだけど。
「ヨグさん...」
「何でしょう?」
「拓海のところに移動できないんだけどどうしたらいいかな。何か俺が干渉できないところにいるらしくて跳べないんだよね」
「あぁそのことですか。拓海様?のところには我が送るので大丈夫ですよ。」
「あ、そう?」
「それよりも我はソースケ様のことが凄いと思いますよ」
「というと?」
「気づいてると思いますがここは我が作った空間です。この空間は中に入れた存在を無力化させる作用があるのですが、これは自分で制御することができないのです。一応弱体化するようなことはないので気にしてなかったんですが...」
わお。
俺が目が覚めたときスキルが全く使えなかったのってヨグさんが原因...原因?まぁとにかくヨグさんの空間が悪さしてたんだね。
あれ?けどなんで途中から当たり前のようにスキルを使えたんだ?
魔法は構築している端から分解されてる気配がするけど、ちょっと無理すれば問題なく扱えるし。
「ソースケ様の力は我を超えているのだと思います。神に近しい力を持っていると言っても過言ではありませんよ」
わお。
俺って神になる素質あり?
フッフッフッ...俺が拓海と同格になる日も近いようだな...
絶対に口に出さないけどね。
「それは流石に過言じゃない?それと拓海のところに転移ができるならヨグさんのほうが魔法能力上じゃない?」
「いえ、それは違いますよ。元々直接拓海様のところに転移をするのは我でも不可能です」
わお。
時空を体現せし者...いや存在?
一応そんな厨ニチックな事を言っても、あながち間違いじゃないのがすごいね。
ヨグ=ソトースって時空の支配者だしね。
けどそんな時空の支配者でも直接転移できない場所ってどんなとこよ...
「ヨグさんでも跳べないの?」
「えぇ。ですが一ヶ月前に...『ソースケが起きたらこっちに連れてきてよ。流石にお詫びとかしないといけないし』...と言われて、その場所にアクセスするためのパスに干渉させてもらえたんですよ」
わお。
色々言いたいことあるけどまず一つ目。
わざわざ変身しないで、ちょっと面白かったから。
場違いにも笑いそうになったから表情筋と腹筋をフル稼働させた。
なんで真面目に話してるだけなのに変身を挟んだらおもしろくなるんだろう。
二つ目、移動するための手段が限定されてるってそれやばい場所じゃないよね?
神々の領域とかそんな感じかな。
なにその厨二空間。
まさか漫画とかアニメ以外でそんな言葉言うとは思わなかったわ。
三つ目、行きたくねー!
なんか怖いじゃん!?
アレかな、菓子折りとか持ってったほうがいいかな。
羊羹とか持っていこうかな。
あいつ甘党だったし。
というわけで某虎さんの羊羹を購入。
あれちょっとまって?
「ヨグさんはそのよくわからない場所に行けるんだよね?けど俺は無理じゃない?そのパスとやらに干渉できないわけだし」
「そこも問題ありません。我と一緒に転移すれば行けるようになっています」
セキュリティガッバガバやな。
「本当は一緒に転移しても干渉してない側は弾かれるみたいなんですけどね」
いやちゃんとしてたわ。
俺って結構優遇されてるんやね。
親友になっててよかった。
「まぁいいや。それじゃあ準備できたし向こうの世界に飛ばしてくれる?」
「わかりました」
前置きが結構長くなったな。
いやまぁほとんど俺のせいな気がするけど。
なんてことを考えてたら体が引っ張られる感覚がした。
うぷ...ちょっと気持ち悪い。
自分で転移する時はなんにも感じないのに、ヨグさんに引っ張られた時はなんか気持ち悪くなった。
三半規管がおかしくなりそう。
「あ、いらっしゃい。ヨグ=ソトースを介してこっちに来れるようにしてたんだけど、無事に来れたみたいだね...って大丈夫!?」
「うぅ...気持ち悪い...」
なんか到着したっぽいけど一瞬でぶっ倒れた。
とりあえず闇魔法で回復を...あれ?
魔法が使えない?
っていうかスキル全般使えない!?
発動しないだけじゃなくて、使い方がわからない。
てか体がめちゃくちゃ重いんだけど。
よく確認したら人化も解除されちゃってるし。
なんならステータスすら開けないし。
「ホントに大丈夫?」
「大丈夫じゃない。なんか割とヤバめかもしれない。一応転移した時の酔は収まったから普通に過ごせるけど」
なんて言ったらいいのかな。
体が転生する前の状態に戻ってるって感じ?
いや見た目は骨だけども。
「転生する前はステータスがない地球だったからかな?適応するのが結構早いね」
「そんなもんなの?」
「そんなもんだよ。っと話がそれたね」
「いやごめんごめん。俺が逸したようなもんだから。あ、これお土産」
そっと袋をプレゼント。
手に持っといてよかったー!
いつもみたいに空間魔法で異空間収納してたら取り出せないなんて事態になってただろうから内心ドキドキしてたのは内緒。
「なにこれ...!?うわっ羊羹じゃん!え、まじ!?ありがとう!」
羊羹で喜ぶ神様。
なにそれ可愛い。
「喜んでもらえたようで何より。それといい加減本題に入ろう?脱線させまくってるの俺だけど。その、なんていうかさ...この人?が可哀想だし」
うん。
なんか見ちゃいけないものを見たような気がしてスルーしてたけどいい加減触れたほうがいいと判断。
めっちゃ居心地悪そうにしてるし、ね?
人って言っていいのかは判断に困るけど。
アレだよ、亜人は人間カテゴリに入れていいのか判断に困るやつ。
なんていうかこの人の見た目はエルフだった。
耳が長いの。
そんでもってすっごい美人。
北欧系の顔立ちをしてらっしゃる。
金髪碧眼だよ?絵に書いたようなエルフだよ?
その人が、俺がチラッと目線を向けた瞬間に、
「申し訳ありませんでした!」
って土下座したんだよ。
思わず「えっ?」って声を出しちゃったね。うん。
顔立ちはなんとなくコウカを思い出させる。
意思が強そうな、でもってクールそうな...
普段は冷静だけど、内に熱いものを持ってそうな...
コウカは全然そんなことはなかったけど。
あのグリフォンいつもテンション高いから。
だけどこのエルフは見た目通りだね。
なんていうか、雰囲気からそれが正しいって伝わってくる。
...まあ今は土下座をしてるから半減しちゃってるけども。
「あ、あの?とりあえず土下座をやめてもらってもいいですか?てかなんで土下座してるんですか?」
ものすごくいたたまれないから...
えー?俺こんな美人さんに土下座させるようなこと何にもされてないよ?
そもそも初対面ですよねあなた。
「あの、拓海?いや拓海さん?これがどういう状況なのか説明してもらえる!?」
「元々そのつもりで呼んだから1から10までしっかり話すよ」
「それじゃあよろしく。それといい加減土下座解除してもらえる?」
俺と拓海が話してる間もずっと土下座してるんだもん。
なんかよくわからないけど申し訳なくなってしまうからほんとに今すぐやめてほしい。
ていうかこの人の名前って確かクラウディアって感じじゃなかったっけ?
「ヨグさん、この人がクラウディアって人?」
「そうですね」
そうらしい。
「あの、クラウディアさん?」
「本当に申し訳ありませんでした!」
...
話を聞けぇー!?
「ディア?謝罪はもう大丈夫だからとりあえず土下座終わっていいよ?ほら、ソースケも困ってるし」
「申し訳ないです...」
あーこれやばいやつかな。
罪悪感に押しつぶされそうな人の反応だ。
...けど何の罪悪感だこれ?
そもそも罪悪感から来てる反応?
ていうか関係ないけどディアって何なん?
もしかしなくてもそういう関係?
キャー!拓海さんこんないい女の人をゲットしちゃってー!
「...なんか変な想像してない?」
「え、なに急に」
なんやこいつエスパーか!?
動揺する心を押し隠して白を切る。
ふっふっふ...こういう時はそんなことないと返してしまったら一瞬でバレるから、何かあったか的な感じで返事をすると多分バレないと思う。
知らんけど。
「まぁいいや。とりあえずなんでこのクラウディアさんは土下座してるの?」
もうホントにいい加減本題に入る。
「あーえっとね...この前王蟲みたいな魔物がソースケたちを襲ったでしょ?アレの原因が自分にあるからってことで...」
「あ?」
「「...!」」
そこの女が王蟲がこっちに来た原因って?
こいつのせいでみんなが危険に晒されたってこと?
「お前、死ねよ」
「ソースケ!落ち着け!」
「ソースケ様!」
「落ち着け?拓海にヨグソトースこそ何言ってるの?大事な人が死にかけた...ていうか死んだんだからこれくらいいいよね?」
殴りかかろうとしたら止められた。
なんでこんなクソみたいな神を庇うの?
「拓海、いくら親友でも邪魔するなら相応の対応をするけど?」
「だから落ち着けって!」
「うぐっ...!?」
思いっきり殴られた。
ついでにヨグさんに羽交い締めにされた。
めっちゃ痛い...
んでもって動けない...
拓海絶対思いっきり殴ったでしょ!?
てかヨグさんはなんで普通に俺を抑えられるの?
いくらステータスがないって言ってもそんな簡単に抑えられると傷つくんだけど。
「そんなに殴ることないじゃん!」
「いや、なんか頭殴りでもしないと正気に戻らないかなって思って。放置してたらディアのこと殺してたでしょ?」
「あ...ごめん...」
確かに拓海に抑えられてなかったら殺すまでは行かないと思うけど、殴る蹴るくらいは絶対してた。
俺が暴れないと判断したのかヨグさんが羽交い締めを解いてくれた。
うわもうマジでさぁ...
頭の中がごちゃごちゃする。
一応死人は出てないから許してもいい...なんて聖人君子みたいなことは言えない。
器が小さいって思われるかもしれないけどこればっかりは許すことはできない。
あーもうさぁ!
思わず頭を掻きむしって悶絶する。
髪の毛はないけど。骨だから。
「ほんとにごめん!俺にも一応原因はあるからさ。ソースケの気持ちもめちゃくちゃ分かるし」
「だけど結構キレて拓海が止めなかったらそこのクラウディアって人のこと、殴る蹴るくらいは絶対にしてたんだよ?だけどいくらアレだったとはいえ手を出すのは駄目じゃん?だけどちょっとくらい殴ったほうがいいって自分もいてさぁ...めっちゃ自己嫌悪...」
「そんなに落ち込まないで。俺だってそれくらいあるからね?ソースケが転生するきっかけになったあのときも犯人をぶっ殺そうとか思ってたし。もちろん実行はしてないけど。ま、その人が死んだらどうするかはわからないけどね。寿命かな?病気かな?事故かな?まぁ死んだら魂を存分に甚振ってあげないとね」
「...」
まって親友が怖い。
普段温厚な人を怒らせたら大変なことになるって本当だったんだ...
「ソースケ様、この方はいつもこのような感じなのですか?」
「多分キレてるだけ。まぁ俺が死んだ原因になったことに対してだから余計にキレてるんだと思うけど」
俺が言えたことじゃないけど、大事な人を失った人ってやばいキレ方するんだね...
いや正確には失ってないけど。
「...お二人共とても仲がいいんですね」
「「え?」」
突然これまで空気だったクラウディアさんが独り言のように呟いた。
「あ、すみません。つい思ったことが口に出てしまって...」
「いや大丈夫だよ。それとさっきは殴りかかろうとしてごめん...」
「いえいえ!それについては私が悪いので」
「それはそうと似てるってどういうこと?」
「ソースケさんもフェルもお互いを大切に思ってるっていうのが伝わって来たので」
いやぁそれほどでも。
伊達に親友やってないってもんですよ。
...ん?
ちょっとまって?
スルーしてたけどフェルって誰だ?
「ディア、ソースケの前でその名前は呼ばないで...」
「あーえっと、拓海さん?この件は触れないほうがいい感じ?」
「まぁ...また後々」
あ、はい。
「それじゃあディアそろそろなんであんな事になったのか説明してくれる?」
「わかりました」
そんなこんなでOHANASHI開始。
それにしても俺も我慢を覚えないといけないな...
とりあえず気持ちを切り替えて話を聞くことにする。
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少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
クズ聖王家から逃れて、自由に生きるぞ!
梨香
ファンタジー
貧しい修道女見習いのサーシャは、実は聖王(クズ)の王女だったみたい。私は、何故かサーシャの中で眠っていたんだけど、クズの兄王子に犯されそうになったサーシャは半分凍った湖に転落して、天に登っちゃった。
凍える湖で覚醒した私は、そこでこの世界の|女神様《クレマンティア》に頼み事をされる。
つまり、サーシャ《聖女》の子孫を残して欲しいそうだ。冗談じゃないよ! 腹が立つけど、このままでは隣国の色欲王に嫁がされてしまう。こうなったら、何かチートな能力を貰って、クズ聖王家から逃れて、自由に生きよう! 子どもは……後々考えたら良いよね?
悪役令嬢の味方をしたら追放されました
神崎 ルナ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインに転生してしまったあたし。ざまあは嫌なので頑張っていたんだけど、え? 追放ってマジですか(白目)。……追放されました。うせやろ。……魔の森、って人住めたんですかね? 何故かそこに隠者のように住むイケメンさんと旅することになってますが――。
エブリスタ様でも公開しています。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
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