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本編 浮島編
トカ
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『あああっ本当に夢見たいです。カスパール様に再び会えるなんて』
小さな龍の姿でクルクルと飛び回るリヴァイアサン。さっきまでの迫力はなくなり、ちょっと可愛い。
その姿は確かに見ようによってはトカゲに見えなくもない。
『私はもともと水龍で水の女神ジェラルド様の眷属だったのです』
『ほうジェラルド様は我に加護を与えてくれた女神様なのだ』
銀太がフンスッと鼻息荒く自分もジェラルド様を知っていると答える。
そういえば銀太は水の女神様から加護を貰ってたっけ。俺の周りが加護もちだらけで特別視してなかったけど、女神様から加護を頂けるなんて凄いことなんだよな。
本当は凄い事なんだろうけど……なんせ慈愛の女神ヘスティア様を筆頭に、女神様達はこぞってちょっとなぁ……。残念臭がするなんてとてもじゃないが言えないけどな。
「そのジェラルド様の眷属だったお前がなんで闇堕ちしてリヴァイアサンになったんだ?」
『ええと……それはそのう……』
そう聞くと細長い体をくねらせモジモジしている。
言いづらい事なんだろうか?
『…………それがですね? 私はジェラルド様を怒らせてしまって、眷属から外され、地上に降とされたのです。そしてその時に水龍である力を失ったせいで、私は一年ほど倭の国にある滝で気を失っていました』
「ほう? その時にワシがお主を見つけたという訳か?」
『そうなのです。気がついた時には尻尾を失い、どう見ても水龍どころか龍にも見えない姿になっていました。意識を失っている間に聖力をなくしトカゲのような醜い姿になり、その尻尾まで失い死にかけておりました。それをカスパール様が助けてくれたのです』
「ふむ……思い出してきたぞ」
『本当ですか?』
パールがリヴァイアサンとの出会いを思い出したのか俺たちに話してくれた。
★★★
倭の国はいつ来ても新たなる発見があるのう、今日はうまい魚を知った。この焼き方は覚えて帰りたいもんじゃのう。
そういえば倭の国に新しく滝が出来たと聞いた。神通の滝と言ったか? 急に現れたとさっきの店主が言っておったのう……ふむ。ついでに見に行ってみるか。
確か魔獣もおる森に突如として現れたので、一般の者は近寄れないと言っておったか。まぁワシにはそんなことは関係ないのじゃが。
確か倭の国の西の門から出て見える森の中じゃと言っておったな。
よし行くか。
鬱蒼とした森を歩いていくと水の匂いがしてきた。ふむ滝は近そうじゃ。
匂いがして数分も歩くと大きな滝が目の前に現れた。
「この滝は神聖な力を感じる。これは……どこから?」
滝を神眼で確認すると、やはりただの滝ではなかった。
「これは聖水? いやその上位か? 浄化と癒しの水になっておる」
こんな凄い滝が突如現れるもんなのだろうか? 神の力を感じるが……。
「む?」
あれはなんじゃ? 滝の流れる端に水色に煌めく小さな何かが見える。トカゲに見えるが……。
水色のトカゲとは珍しいのう。
ワシは不思議なトカゲに近寄ってみた。
ふむ……尻尾が千切れておる。それにエネルギーがほとんど感じられん。かろうじて生きている感じか?
もしやこの滝の不思議なパワーはこのトカゲの力か? 滝に自分のエネルギーを奪われておるんじゃ。
とりあえず、《リザレクション》で回復してみるか。
ワシが魔法を放とうとした時じゃった。
———どうも~! ありがたい水の女神ジェラルドよ。わっ!? あんたは面倒くさい大賢者!
「ぬ?!」
突如ワシの目の前に水の女神が現れたんじゃ。
「何が面倒くさい大賢者じゃ! お主こそ押し付けがましい女神!」
———なっ何が押し付けがましい女神よ! 普通はね? 有り難がるんです? 分~か~る? 女神の加護を押しつけがましいなんて言うのはあんたくらいよ! ヘンクツ大賢者!
「なっワシをヘンクツ大賢者じゃと?」
———ヘンクツ以外の何があるって言うのよ! ってこんなことを話しに、わざわざ地上へ降りてきたんじゃないの。私はそこに横たわっている。水龍についてお願いがあって……。
「水龍じゃと? やはりトカゲじゃないのか?」
———その水龍は私の元眷属で……でもこのままだと死んでしまうから。どうにか助けてあげたかったんだけど、地上に降りてしまったら、私は何も助けることが出来ないの。
「む? なんでできないんじゃ?」
ーー女神が直接地上へ干渉をする事は禁忌とされているから、凄い力を持った人族が近くに現れるのを待ってたのよ!
「ほう? 凄い力とはワシのことか? うむ、それは間違えてないのう。駄女神のクセに中々見る目がある」
ーーだ、か、ら、お願いしようと思って降りてきたら、ハァ~ッ面倒くさい大賢者だったのよね。
そう言って大きなため息を吐く駄女神。
なんじゃこの駄女神は、褒めたと思うたら貶しおって、それが人に頼み事をする態度か!
「ワシに頼み事があるなら、その態度はなんじゃ? もっと違う態度があるじゃろう?」
———はぁーッ! 面倒な大賢者だこと! まぁいいわ。お願いよ、この子を助けてほしいの。理由をちゃんと説明するから!
そう言うとなぜこうなったのかを、駄女神ジェラルドが話し出した。
ワシはもしかして……面倒くさいことに巻き込まれとるんじゃ? と、この時やっと気づいた。
小さな龍の姿でクルクルと飛び回るリヴァイアサン。さっきまでの迫力はなくなり、ちょっと可愛い。
その姿は確かに見ようによってはトカゲに見えなくもない。
『私はもともと水龍で水の女神ジェラルド様の眷属だったのです』
『ほうジェラルド様は我に加護を与えてくれた女神様なのだ』
銀太がフンスッと鼻息荒く自分もジェラルド様を知っていると答える。
そういえば銀太は水の女神様から加護を貰ってたっけ。俺の周りが加護もちだらけで特別視してなかったけど、女神様から加護を頂けるなんて凄いことなんだよな。
本当は凄い事なんだろうけど……なんせ慈愛の女神ヘスティア様を筆頭に、女神様達はこぞってちょっとなぁ……。残念臭がするなんてとてもじゃないが言えないけどな。
「そのジェラルド様の眷属だったお前がなんで闇堕ちしてリヴァイアサンになったんだ?」
『ええと……それはそのう……』
そう聞くと細長い体をくねらせモジモジしている。
言いづらい事なんだろうか?
『…………それがですね? 私はジェラルド様を怒らせてしまって、眷属から外され、地上に降とされたのです。そしてその時に水龍である力を失ったせいで、私は一年ほど倭の国にある滝で気を失っていました』
「ほう? その時にワシがお主を見つけたという訳か?」
『そうなのです。気がついた時には尻尾を失い、どう見ても水龍どころか龍にも見えない姿になっていました。意識を失っている間に聖力をなくしトカゲのような醜い姿になり、その尻尾まで失い死にかけておりました。それをカスパール様が助けてくれたのです』
「ふむ……思い出してきたぞ」
『本当ですか?』
パールがリヴァイアサンとの出会いを思い出したのか俺たちに話してくれた。
★★★
倭の国はいつ来ても新たなる発見があるのう、今日はうまい魚を知った。この焼き方は覚えて帰りたいもんじゃのう。
そういえば倭の国に新しく滝が出来たと聞いた。神通の滝と言ったか? 急に現れたとさっきの店主が言っておったのう……ふむ。ついでに見に行ってみるか。
確か魔獣もおる森に突如として現れたので、一般の者は近寄れないと言っておったか。まぁワシにはそんなことは関係ないのじゃが。
確か倭の国の西の門から出て見える森の中じゃと言っておったな。
よし行くか。
鬱蒼とした森を歩いていくと水の匂いがしてきた。ふむ滝は近そうじゃ。
匂いがして数分も歩くと大きな滝が目の前に現れた。
「この滝は神聖な力を感じる。これは……どこから?」
滝を神眼で確認すると、やはりただの滝ではなかった。
「これは聖水? いやその上位か? 浄化と癒しの水になっておる」
こんな凄い滝が突如現れるもんなのだろうか? 神の力を感じるが……。
「む?」
あれはなんじゃ? 滝の流れる端に水色に煌めく小さな何かが見える。トカゲに見えるが……。
水色のトカゲとは珍しいのう。
ワシは不思議なトカゲに近寄ってみた。
ふむ……尻尾が千切れておる。それにエネルギーがほとんど感じられん。かろうじて生きている感じか?
もしやこの滝の不思議なパワーはこのトカゲの力か? 滝に自分のエネルギーを奪われておるんじゃ。
とりあえず、《リザレクション》で回復してみるか。
ワシが魔法を放とうとした時じゃった。
———どうも~! ありがたい水の女神ジェラルドよ。わっ!? あんたは面倒くさい大賢者!
「ぬ?!」
突如ワシの目の前に水の女神が現れたんじゃ。
「何が面倒くさい大賢者じゃ! お主こそ押し付けがましい女神!」
———なっ何が押し付けがましい女神よ! 普通はね? 有り難がるんです? 分~か~る? 女神の加護を押しつけがましいなんて言うのはあんたくらいよ! ヘンクツ大賢者!
「なっワシをヘンクツ大賢者じゃと?」
———ヘンクツ以外の何があるって言うのよ! ってこんなことを話しに、わざわざ地上へ降りてきたんじゃないの。私はそこに横たわっている。水龍についてお願いがあって……。
「水龍じゃと? やはりトカゲじゃないのか?」
———その水龍は私の元眷属で……でもこのままだと死んでしまうから。どうにか助けてあげたかったんだけど、地上に降りてしまったら、私は何も助けることが出来ないの。
「む? なんでできないんじゃ?」
ーー女神が直接地上へ干渉をする事は禁忌とされているから、凄い力を持った人族が近くに現れるのを待ってたのよ!
「ほう? 凄い力とはワシのことか? うむ、それは間違えてないのう。駄女神のクセに中々見る目がある」
ーーだ、か、ら、お願いしようと思って降りてきたら、ハァ~ッ面倒くさい大賢者だったのよね。
そう言って大きなため息を吐く駄女神。
なんじゃこの駄女神は、褒めたと思うたら貶しおって、それが人に頼み事をする態度か!
「ワシに頼み事があるなら、その態度はなんじゃ? もっと違う態度があるじゃろう?」
———はぁーッ! 面倒な大賢者だこと! まぁいいわ。お願いよ、この子を助けてほしいの。理由をちゃんと説明するから!
そう言うとなぜこうなったのかを、駄女神ジェラルドが話し出した。
ワシはもしかして……面倒くさいことに巻き込まれとるんじゃ? と、この時やっと気づいた。
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