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本編 浮島編
魔界と人界の狭間
しおりを挟む「これは......なんとも」
「あれっ!? いつの間にこんなに大きな風穴が空いたんだ?」
カスパールとメフィストはスバルの背に乗り、魔界と人間界の狭間と言われている場所、魔境を空から眺めていた。
何故このような場所に封印されたか? それは人族が邪神の復活を恐れ自分たちが住まう場所から一番離れた場所を望んだから。
「何百年もこの場所に来てなかったので、私の記憶とかなりくい違いますね。あっですがベリアルなら魔界をパトロールしていたので、何か知っているかもですね」
「ふむ......ベリアルも呼びに行ったんじゃが、湯屋の仕事が一段落したら、ここに転移して来るはずじゃ」
「へぁ?! あいつまだ湯屋の仕事してたんですか?」
「ふむ、四天王の仕事よりも楽しいらしいぞ? 今日も楽しそうじゃったなぁ。新しいテーマの露天風呂が完成したとかで、興奮しておったわ」
「なんとも......アイツらしいと言うか」
カスパールたちは再びポッカリと空いた、あきらかに人工的に作られてた大きな穴を見つめる。その広さ数百メートルは優にあるだろう。
いったいこの穴は、どうやって出来たんじゃろうか? この土地は普通の土より硬い土、魔岩石が混ざった土で出来ておるのに綺麗に抉りとったようじゃ。この大きさを抉りとるのは、中々の大魔法が必要じゃと思うが。
普通の人族にそんな事が出来るんじゃろうか? まぁワシは余裕じゃけれど。
「お待たせ。中々レアアイテムが出なくて拙者必死でござっったっあっつ! 失礼しました」
到着したベリアルのポケットから、手の平サイズの何かがポロリと落ちる。
「ベリアル何か落としたぞ?」
メフィストが拾いなんとなく見ると。
「こっこれは天使様の人形?!」
「あっ! メフィスト返せっ。それが限定レアアイテムなんだから。大切だからポケットにしまってあったんだ」
ベリアルが返せと手を差し出す。自分の手に握っているかわいいティーゴの人形をジッと見つめるメフィスト。
「............いやだ。俺が拾ったんだから俺のだ!」
「なっ!? クソメフィストよ? 今から消してやっても良いんだぜ?」
「くくっ何を言って消されるのはお前の方だベリアル」
睨み合い今にも戦闘が始まりそうな二人、次の瞬間。
「「あだっ!?」」
「バカもんが、つまらん事でケンカするでない」
カスパールに頭を思いっきり叩かれる二人。
「そんな事よりじゃ、ベリアルよ? この場所が邪神を封印していた場所なんじゃろう?」
ベリアルはどうにかメフィストから取り返したレアアイテムを、大切にポケットにしまう。
「............そうですよ、今はこの場所にはいないですがね」
「はっ? 邪神がおらんじゃと?!」
「はい。魔王様が誕生する前にですね。白い服を来た人族がこの場所に集まり、数日魔法を使って何かをしていまして、気になったんで毎日見ていたんですよ」
「ほう......」
「するとある日、邪神が封印されていたこの場所ごと、空に浮かべたんです。このポッカリあいた穴、それが空に浮いた土地の大きさです。その後はそのまま空高く飛んで行きました。いやぁあれはビックリしましたね」
「なっなんじゃと!?」
では魔導の技術に進んでいた国が、オリジナルの作り上げた魔導を使い、空に新しい魔導国を作ったと言われておるのは......まさか。
本来の目的は、邪神を復活させるために空に隠し国を作った、という事が事実か。
なんてことじゃ。そんな事を考えておる人族がおったなんて。
これはのんびり旅どころか、ワシら大変な事に色々巻き込まれとるんじゃ?
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