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本編 浮島編
浮島へ
しおりを挟む「むう? なんじゃ皆揃って変な顔して?」
あのな? 変な顔ってな? パールのタイミングの凄さにみんな呆気に取られてるんだよ!
「さぁティーゴよ。船に出てこの魔道具をとりつけに行くのじゃ」
オーちゃんの手には直径三十センチ程度の真四角の箱が。
ただの箱にしか見えないけど……こんなので船が飛ぶのか?
「えっ……パール? 魔道具ってその箱がか?」
「そうじゃ! まぁティーゴには分からんかのう」
パールは目を細めニンマリ笑う。
くそう……猫のその姿でもバカにして笑ってるの分かるぞ?
「はいはい。俺には高名な方の思考なんて分かりませんよ。じゃあ行くか」
「うむ」
ふと見ると、アレクとロックは握手した後にお互いの背を軽く叩きながら抱き合っていた。
過去に色々あった話を聞いていただけに、なんだか込み上げてくるものがあるな。
などと二人をみて感傷に浸っていると「ティーゴよ? 何もたもたしておる? 行くのじゃ。ロックも抱き合っとらんと行くぞ!」
空気を全く読まない大賢者、もとい魔王様からの叱責が飛んでくる。
「はいはいー!」
★★★
「こんな所に付けるんだな」
俺たちは何も置いてない、だだっ広い船底に降りてきていた。
「ふふ……この場所でいいかのう」
丁度真ん中辺りに真四角の箱を置いた。まさかそれで終わりじゃないよな? この後どーするんだ?
「さあオーちゃんよ! 仕上げじゃ」
『わかった。任せてくれ』
オーちゃんが四角い箱をあけると箱が急に光だした。
「うわっ眩し……」
数分もすると、箱の光は落ち着いたんだけど、今度は船底の空間……床や壁それに天井と全てが青白く輝いている。
「パールこれは?」
「ふふ知りたいか? これはのう? 魔晶石の粒子が飛び散り床や壁に着いておるんじゃ。魔晶石は魔石と違い砕かれても粒子になっても魔法が付与できるからの? 魔晶石に飛行魔法を付与したんじゃよ」
「魔晶石……」
そんな物が存在するのか……知らなかった。
「ティーゴよ見てみい。この箱の中心にあるデカい魔晶石があるじゃろう?」
パールが指さす真四角の箱の中には青く輝く大きな魔晶石が一つ箱いっぱいに収まっていた。
「この魔晶石に偶に……そうじゃのう三百年くらい経つと、また魔力を送ってやれば完璧じゃ」
「なるほどな……」
「後は浮いたり船になったりする切り替えのスイッチの設置じゃのう。どこにするか?……ふむ」
『パール様、操縦席が便利じゃないか? あの場所からでもこの場所に魔力伝達すると思うよ』
「ぬっ? そうか! では操縦席に向かうのじゃ!」
「はい」
パールとオーちゃんは何やらよく分からない事を言いながら操縦席に向かった。
ついて来ていた俺とロックを残し。
っておい! 完全に俺たちの事忘れてるだろ? ったく。
「ロック俺たちも行くか?」
「はい」
★★★
「なんっなっ!」
「凄いっ!」
俺とロックは思わず声をあげる。
なんと船上に上がると、船はもうすでに浮いていた。
『ティーゴの旦那? どこいってたんだよ』
『そうなのだ! 我も探したのだ。見よ主船が浮いてる』
銀太とスバルが俺を見つけて走って来た。
「スバルに銀太も船に来てたのか」
銀太達と一緒に船からの景色を驚きながら見ていると、パールがなんだか得意げに俺の方に向かって歩いて来た。
これはきっと褒めて欲しいんだな?
「どうじゃ? 凄いじゃろう?」
案の定尻尾を揺らめかせながら、顔を少しあげて褒めて欲しそうに俺を見る。
「くくっ……凄いよパール!」
「じゃろう?」
「私も感動しました」
ロックが興奮気味にパールにつめよる。
「おお丁度良い。ロックよ? 浮島がある雲はどれじゃ?」
パールが場所を尋ねると
「浮島がある雲はあの雲です」
そう言って指さした雲は、目視ではよく分からないが、ロックが案内する為に先導してくれくれるようだ。
浮島フロッティか……どんな所なんだろうな。
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