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本編 燦聖教編
ふわふわケーキ
しおりを挟む『美味いなっ!このふわふわケーキ!くそう……神々の悪戯チョコケーキを上回りそうだぜっ』
『我はこのふわふわケーキが好き!コレにフルーツソースがかかってるのが美味いのだ!』
「ププッ……」
相変わらず美味そうに食べるなぁ。手間ひまかけて作った甲斐があるよ。
このふわふわケーキのポイントは卵白を泡立てる事!コレによりふわふわの出来具合が違ってくる。
スバルと銀太はふわふわケーキを皿に何個も乗せて大きな口を開け食べている。
『ちょっと!スバルと銀太!欲張りすぎよっ。ちょっとその皿に乗せてるの寄越しなさいよっ!』
『あっしの分がなくなっちゃった!半分寄越すっす!』
三号と一号が寄越せと銀太とスバルのふわふわケーキを奪いに行く。
『なっ!コレは俺のだっ!それにっ主が一番皿に乗せてるだろっ』
「フグッ……!?」
スバルはパールの方がいっぱい乗せていると主張する。
「なっ!スバルっ何を言うのじゃ!これはやらんっ」
パールは慌てて皿を隠す。
『ちょっとー!いくらパール様でも独占はダメよっ!』
『そうっす!』
三号と一号がパールの皿に乗っているケーキを奪いに行く。
「そうはさせんのじゃっ!」
パールは近寄れない様に強固な結界を張った。
『あーっ!パール様ズルいわよっ!』
『そうっすよー』
パールよ……ケーキの為に結界張るとか……。
「あはははっ」
『ちょっとティーゴ!笑い事じゃないわよっ』
「ごめんごめんっ」
あまりにも楽しそうにケーキを奪い合いしてるので笑ってしまった。
俺は慌てて【コピー料理】を使いふわふわケーキを増やした。
『何を…食べてる?…美味しそ…』
『美味しそうなの!ティアも食べたいのっ』
『トレ~ント』
「キラにティア!」
みんなが騒ぎに気付いて集まって来た。
どんどんコピー料理で増やさないとっ!
相変わらず異空間は平和だな。
★ ★ ★
ティーゴが異空間で幸せを噛み締めていた頃、王都は大騒ぎになっていた。
闘技場での勇者達の失態が知れ渡り、街の人達が王城に集まって来ていた。
皆口々に暴言を吐きながら、「勇者達よ出て来いっ!」っと怒っていた。
それもその筈、この王都での勇者達の態度は横暴でやりたい放題だった。
中には勇者達に店を壊された者や、いきなり暴行を加えられた者など、恨みを持つ者達は多数いた。
そしてこの失態だ、街の住民達は我慢の限界に達したのだ。
時間が経つに連れどんどん人が集まって来る。中には闘技場で勇者達に賭けて、大負けした者達も数多くいた。
「ジーク司祭!勇者達を出せと住民達が暴徒化しています。このままだと城内に入って来る勢いです」
ジーク司祭は頭を悩ませていた。一番心配していた事態が起こってしまった。
こうなる前に対処したかったのに、色々と有りすぎて頭が冷静に働かず何も良いアイデアが浮かばなかった。
「分かっておる!今考えておる」
そんなジークの姿を、部屋のソファに座り不安気に見つめる勇者達。
「ジーク……大丈夫なの?」
勇者ヒイロが不安気な顔でジークを見る。その姿は召喚されたばかりの姿に類似していた。
偉そうにして威張っていた等思えない程に。弱々しい。
それは他の者達も同じで、賢者レントに聖剣タケシも青褪め震えていた。
この二人はティーゴの事を思い出しているのだ。
「大丈夫です!ヒイロ様。私に任せて下さい」
ジーク司祭はヒイロに一礼し踵を翻して部屋を出て行った。
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