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本編 燦聖教編
報告 その①
しおりを挟むマーク司教は今日一日の出来事をどう大司教グリモワールに報告しようか頭を悩ませていた。
中でも頭を一番悩ませるのが、勇者達の闘技場での失態だ。
強さをアピールするよりも情け無さを知らしめてしまった。
「ぐうっ……勇者達に軽く勝利した男は、魔族かも知れないとの報告が上がって来ているし……」
しかもどこに行ったのかも分からない。
部下達に探させてはいるが……はぁ。
マーク司教は大きな溜め息を吐くと、自身を落ち着かせる為にお茶を口に入れた。
バァンッ!!
「ブッッ!」
あまりにも勢いよく部屋の扉が開いたので、マーク司教はビックリして口に含んでいたお茶を噴き出してしまった。
自慢のローブは、自分が噴いたお茶でビシャビシャになってしまった。
「なっ……!」
プルプルと震えて怒りを露わにするマーク司教。
「突然申し訳ありません!ですが一刻を争うと思い、急いで参りました!」
いきなり部屋に入ってきた男達三人は、跪き話を進めようとする。
いつもならキレて話など聞かないマーク司教だが、今回訪れた男達は、普段影に潜み表立って姿を現さない男達だった。
その男達が隠れる事もせず、息急き切って目の前に現れたのだ。
只事じゃないのはそれだけで十分に伝わる。
「何があったのだ?」
「はっ!我ら闘技場の少年ティーゴを発見したのですが、あの少年の側には何とっグッ…ゲホッゲホッ」
興奮の余り男は声にならず咳き込んでしまった。
「なっ…気になる所でっ!お茶を飲んで落ちつけっ!」
マーク司教は、焦り声にならない影の男にテーブルにあるお茶を飲めと進めた。
そして自分も、落ち着くために再びお茶口に入れた。
お茶を飲み報告が出来ない男に変わり、別の男が前に出る。
「続きは私が、何と少年ティーゴは伝説の魔獣グリフォンまで連れていたのです!」
「ブフォッ!」
「ググッグリフォンだと!?」
マーク司教の口に含んでいたお茶は跪いた男に盛大にかかった。
「………はい」
そっそんな……あの少年は、九尾の狐だけではなくグリフォンまで従えているなんて!
……もしや、魔族の中でも上位魔族なんじゃ……まさか魔王なんて事は……?
マーク司教は勝手に想像を膨らませ青褪める。
「ヒィッ!」
いやいやいや魔王だとしたらだ!闘技場の戦いなどせず、この王都を一瞬で消し去る事も可能だ。
……まてよ?
ただ面白そうだからと参加した可能性も……。魔族ならあり得る。
あの九尾の狐を使えば、闘いなど一瞬だったのに、それをしなかった。
別の報告で、ただ一人ティーゴと言う少年に金貨一千枚も賭けた男がいたという話を聞いた。
……もしやその男も仲間だとしたら?
金貨が欲しかったのか?
魔族が?何の為に?
はぁ……魔族達は何を考えているんだ?!サッパリ分からん!
マーク司教が頭を悩ませている所にまた男が追い討ちをかける様に一言いった。
「あのう、それで少年達はスラム街で突然消えたのです。きっと転移の魔道具を使ったんだと……」
「魔族なら転移くらい余裕だろうよ!」
そんな部下達に勢いよく返事を返すと、大きな溜め息を吐きソファへと倒れるように座り込んだ。
はぁ……グリモワール様になんて説明したらいいんだ。
★ ★ ★
ティーゴ魔族になっちゃいました(*≧艸≦)
書影などティーゴや銀太の絵姿の表紙は12月10日前後にお見せ出来るかと♡お楽しみにです♡
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