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本編 燦聖教編
王都の潜入捜査
しおりを挟む俺とパールは跳ね橋から中に入って行く貴族達を研究するかの様にじっと影から観察していた。
「なぁパール?あの跳ね橋はいちいち王都に入る度に上に上がり通れなくしてるな!王都だけあって審査が厳しいのかな」
「むう……橋を上げたり下げたりと面倒じゃと思うがのう」
パールと一緒に審査を見ていると、王都に入れた馬車は五台中一台のみ。
入ったのはいかにも高そうな煌びやかな馬車のみ。
商人の馬車などは中々審査が厳しいそうだ。
これはまたあのローブを羽織り燦聖教になりきるしかないな。
パールも同じ考えの様だ、猫の姿から人型に変わった。
「パールでもさ?また歩いて行くのか?怪しまれないかな?」
「ふふふっ今回はこんな事も想定してオーちゃんに貴族っぽい馬車を作って貰ったんじゃ」
パールは得意げにアイテムボックスから馬車を取り出した。
「何だこれ!キラキラしてっ眩しいっ」
「そうじゃろう?燦聖教の奴らが好きそうな趣味の悪い馬車を作って貰ったんじゃ。ティーゴよ?異空間からバイコーンを四匹連れて来るのじゃ!」
パールに急かされ、ティーゴは慌てて異空間の扉を開けバイコーンを四匹連れて来た。
「これでいいか?でもバイコーンの馬車なんて目立ち過ぎないか?」
俺が少し不安気に質問すると、パールはチラッと見るとふふんっと鼻を鳴らした。
「魔法で姿を馬に変えれば済む事じゃ」
「なるほど!さすがパール」
俺とパールは前回で燦聖教について少し学習した、今回は位の高い司祭や助祭が羽織るローブを羽織り馬車に乗り込んだ。
「あっ!パール御者が居ないぞ?」
「しまった!忘れておった」
『ふふ~ん?それは妾に任せるのじゃ』
「「コンちゃん!?」」
何でコンちゃんがいるんだ?異空間の扉は閉まってるし……
『さっき主殿がバイコーンを連れに来た時妾も後をついてきたんじゃ!』
コンちゃんは、「どうだ驚いただろう?」とでも言わんばかりの顔をして、顎を少し上げ得意気に話す。ふふっなんだその顔可愛いな!
「そうだったのか、気付かなかったよ。コンちゃん頼めるか?」
『任せるのじゃ!』
コンちゃんは貴族が雇っている風の御者に変身した。
良くそんな姿を考えつくなと感心し、馬車に乗り込んだ。
「よし!出発するのじゃ」
馬車を走らせ、検問の列に並ぶ。
「パール?ちゃんとネームプレートを首から下げたか?」
パールはいつも司祭の名前を忘れる。今回も気にしてないんじゃと思い聞いてみた。
「むっ!忘れておった!ワシの名札は……ええと。マーヌ・ケーデス司祭じゃな」
案の定忘れてやがった。検問の時にネームプレートを見ながら名前を言うとかおかしいだろ。聞いといて良かった。
「俺はキレテナ・イデス助祭だ!」
忘れない様にしなくちゃ。俺はネームプレートに書かれた名前をじっと見つめた。
『主殿!次は妾達の番じゃ』
コンちゃんが次だと教えてくれると、しばらくしてドアをノックされた。
「はい」
返事をすると、勢いよく扉が開いた。検問は燦聖教の下っ端達がしているみたいだ。
ローブが最下級のローブを羽織っている。
俺達を見るなり目を丸くし「しっ失礼いたしました! 司祭様と助祭様でしたか!」そう言って頭を下げる。
「おいっ! 早く跳ね橋を下げろ!またせるんじゃない」
男は跳ね橋を早く下げろと怒鳴っている。
俺達はネームプレートとローブのおかげで何なく跳ね橋を通る事が出来た。
「司祭パワーってすげぇ」
『さぁ!主殿王都に乗り込むのじゃ!』
今から王都の探検だ!
これから異国の王都に潜入捜査をすると思うと、何だかワクワクして来た。
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※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
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