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本編 燦聖教編

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眩しい日差しがティーゴを照りつける。

「んん~~っ!」

ティーゴは思いっきり両手を伸ばし、背中を仰け反り伸びをした。

目が覚めてくると、柔らかな温もりを感じる。

モフッ

銀太の腹毛……えっ外?

起き上がり周囲を見渡すティーゴ

あれっ?俺もしかして外で寝てたのか?!

『むう……主…起きたのか?』

ティーゴが動いたので銀太も目を覚ます。

「銀太おはよう。俺アレク達と新作の酒を試飲して……あれ?そのまま寝ちゃってた?!」

『主はのう?酒を呑んで気持ち良さそうに寝てたのだ。アレク達が主をどうしようか困ってた所に、我とスバルが前を通りそのまま主を預かったのだ』

「えっ……スバル?」

俺がスバルを目で探したのが分かったのか、銀太の鼻先が自分の背中を指した。

「スバル……」

スバルは気持ち良さそうイビキをかき銀太の背中で寝ていた。

『スバルの奴も酔っ払ってなかなか起きんかったのじゃ。気持ち良さそうに寝ておる主とスバルの側でおったら、我も眠くなりそのまま外で寝てしもうた見たいじゃ』

異空間で野宿って!家は直ぐそこに在るのにな。
酔っ払って外で寝るとか……どこまで俺は安心しきってんだよ。

ちょっと反省だな。

「おっティーゴ!起きたのか昨日は気持ち良さそうに寝てたな!疲れが溜まってるんじゃないのか?」

アレクがバイコーンに乗り走って来た。

「おはようアレク!朝から精が出るな」

「昨日は新しい酒を飲みながら大宴会だったからな。米や小麦の備蓄が少なくなったんで朝から収穫作業してるんだよ」

よく見るとバイコーンは、大量の小麦が入った荷台を引っ張っている。

畑の方を見渡すと、獣人達やジャイコブ達が忙しそうに野菜を収穫している。

あれ?今って早朝じゃないのか?

「アレク!今何時だ?」

「えっ……何時って十時過ぎって所か?」

「えーーっ!俺は昨日の夕方から今まで寝てたのか?」

いくらなんでも寝過ぎだ!俺ってもしかして酒弱いのか?
獣人や聖獣達は俺よりも酒を呑んでだはずなのに朝からこんなに元気だし。

酒が弱いかもと悩んでいるが、ティーゴは人族の中では酒は強い方に入る。
ただ、獣人や聖獣達が桁違いに強いってだけで……。
そんな強い連中と同じペースで呑めば結果は……。

「それでさ?トゥマトのお酒があの後、獣人の女達に大好評でな?子供達にはトマトにジュエルフラワーの蜜を混ぜたジュースが人気!って事で今この楽園に実っていたトゥマトを全部収穫し尽くしちゃったんだ。だからティーゴの水が欲しいんだ」

トゥマトのお酒は美味しかったもんな。
トマトのジュースってのも気になるな……後でアレクからレシピを聞こう。

「よし分かった!今からじゃんじゃん水をやるからな!任せてくれ」

「さすが神様ティーゴ様!」

「アレク茶化すな!」



★      ★      ★



「こんなもんか?」

「ああ十分だぜ。新しいトゥマト畑まで増やしてくれて助かるよ」

「それくらい何時でも言ってくれ。ところでアレクに教えてもらいたいんだか」

「なんだ?何でも聞いてくれ」


俺はアレクからトゥマトジュースのレシピを聞いたので、外にある調理場にてトゥマトを並べ実践している。

トゥマトを潰して濾した後、ジュエルフラワーの蜜と酸味の強いフルーツを数滴入れて混ぜるだけなんて、そんな簡単に作れるのか。

「どれ……味見。ゴクッ」

なっ……!

「うんまー!サッパリして寝起きのドリンクとしても良いな」

『主……我のは?』

銀太が待ちきれず調理台の上に顔を置いてアピールする。

「あっごめんごめん!はいどーぞ」

銀太が飲みやすい様に大きな深皿にジュースを入れる。

「……!なっ美味いのだっ甘いのにサッパリしてて……我は気に入ったのだ!」

銀太が興奮して尻尾を激しくブンブン回転させるので、背中に乗ってたスバルが落ちる。

『…っついった!』

「スバルやっと起きたのか!おはよ」

『俺は今何かに投げられなかったか!?』

スバルはどうやら銀太の背中から落ちたのを、誰かに投げられたと勘違いしてる様だ。

「プッ……誰も投げてないよ。まぁこれ飲んで目を覚ましたら?」

『なっ……これは!?赤い宝石?』

スバルはゴクッっと勢いよくトゥマトジュースを飲んだ。

『旨っ!これは宝石なんかじゃねーぞ!騙されちゃいけねぇ。こいつは赤い凶器だぜ。旨さで俺の腹を切りまくってやがる!』

スバルよ、赤い凶器ってそれはもう武器だろう。
腹を切りまくる飲物とか怖すぎますけど!?

相変わらずのスバル節を聞いていたら……。

青白く窶れ歩くのも精一杯のコンちゃんと、艶っ艶の顔してニマニマとほくそ笑んでるパールが帰って来た。

『やっと……帰ってこれた。主殿……アイツはヤバいぜ』

コンちゃんはパタリッと倒れ込んだ。

「コンちゃん!大丈夫か?とりあえずコレ飲んで!」

ティーゴはトゥマトジュースをコンちゃんに飲ませた。

「何じゃそれは!ワシも飲むのじゃ」

それよりコンちゃんに一体何をしたんだ?説明が先だろうと思いながらも、ティーゴはジュースをパールにも渡した。

『なっこれはっ!……主殿!パワーが漲るようじゃっ。おかわり!』

『ワシもおかわりじゃ!』

パールとコンちゃんは競う様にジュースを飲み腹がタプタプになっていた。

『ゲフっもう飲めないのじゃ……』

コンちゃんは横に寝転んだ。

『ゲフっはぁ美味かった。ティーゴよ見るのじゃ!』

次の瞬間、パールがティーゴの姿に変化した。

「なっ!パールもうハイメタモルフォーゼを修得したの?」

「ワシを誰じゃと思うておる」

「大賢者パール様でございます」

「そうじゃ」

パールはどうだと言わんばかりに反り返った。

なるほどな、コンちゃんがヨロヨロになって帰って来た理由はこれか、パールのやつ自分が修得出来るまで付き合わせたな。
後でコンちゃんにご褒美をいっぱいあげないとだな。

「よしっ!ティーゴよ。次の街に出発しようではないか!」

「いきなりだな!」

新しく覚えたスキルを早く使いたくて仕方ないんだろ?っと喉まで出かかったが後が面倒なので飲み込んだ。

「次って……もしかして!?」

ミナトゥークの先にあるのは……?

「そうじゃ!王都じゃ」
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