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本編 燦聖教編

魅惑のステージ

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ぬし様がここまで頑張るとは……我ら感動ジャイ』

『主様がこんなに上手に滑って……涙が止まらないコブ』

俺はまたハクとロウに両脇を持ち上げられ、引き摺られながら部屋から出て来た。
ああ……あの部屋での出来事は現実に起こった事なのか?
良く俺生きてたよな。ダンスってあんなに命懸けで踊るとか知らなかったよ。

「俺これでステージに出れるんだよなっ?」

そう話すティーゴの瞳からは何故か大粒の涙が流れていた。

『そうジャイ!主様は主役ジャイ』

『プロジェクトAを乗り越えた主様にはご褒美のステージが待ってるコブ』

「やったぜっ!俺頑張るよっ」

ガシッと抱き合い、熱く抱擁するティーゴとジャイコブ達の姿を見ていたスバルと三号とパール。

『ティーゴの旦那ってステージで踊りたかったのか?』

『嫌がってたわよね?』

『今は出れると喜んでおる』

嫌がっていたティーゴの気持ちでさえも変えてしまうプロジェクトA。

その姿をみたスバルと三号とパールは震え上がりお互いの目を合わせて思った。プロジェクトAだけは絶対に関わらない様にしようと。





★  ★    ★




ステージ開始五分前。


ティーゴ達はまた例の虹色に輝く衣装を着てステージ裏に待機している。
その横に同じ衣装を着た銀太、スバル、一号、二号、三号、そしてハクとロウがスタンバイしていた。

その姿は皆人化している。ハクとロウもパールの魔法により獣人化した姿に変身した。今回はこの八人エンジェルエイトがステージメンバーだ。

その様子は少し緊張し、今から始まるステージを成功させるべく、全員の手を重ね合い鼓舞している。

前回と同様ティーゴ達は、燦聖教スターセブンのステージを乗っ取ったのだ。
メンバー達は皆、スヤスヤと控え室にて気持ち良さそうに眠っている。

ジャ♪ジャ♪ジャ♪ジャジャ♪ジャ♪ジャ♪ジャ♪ジャジャ♪

ステージ上に軽快なリズムを刻んだ音楽が流れてくる。
この音楽が流れるだけでも、ステージを見に来た貴族達は声を荒げその場で踊り出す。
この音楽にはなる様に仕組まれているのだ。
皆が楽しくてステージに夢中になる様に。
魅惑のスピーカーをオーちゃんが作った。
このスピーカーから流れる音楽を聞くと体が高揚感に包まれ楽しくて仕方がない。もう魅惑のステージの虜だ。

そんな中、ステージに一人の少年が現れた。
ただ、それだけなのに貴族達の興奮は最高潮だ。

その少年ティーゴはフラフラとおぼつかない足取りでステージ中央へと歩いて行く。
プルプルと震えいつ転んでもおかしくないその動きに集まった貴族達は息をのんだ。
いつの間にか軽快なリズムも消え、シンッ……とステージが静まり返り皆がティーゴを注目し見守る。

次の瞬間!ティーゴの足はツルッと滑りそのまま転げそうになる。

「ああっ!」「あぶないっ」「ダメっ」「キャッ!」

その姿を見た貴族達は心配して悲鳴を上げる。

どうにか転けずに持ち直したティーゴに貴族達は「ホウッ……」っと胸を撫で下ろす、貴族達はもうティーゴに夢中だ。

プルプルした足取りで、やっとステージ中央へと辿り着いたティーゴに貴族達から拍手喝采、大声援が巻き起こる。

滑りもせず、ただ歩いただけなんだが……。

ティーゴは転げない様バランスを取りながら、静かに右手を天にかかげる。
その手には何か筒状の物を持っている様にも見える。

次の瞬間、爆発音と共にキラキラと細やかな光の粒子が貴族達がいる客席まで広がっていく。
するとその場が虹色に輝く空間へと変貌した。
キラキラした光の粒子はそのまま空を漂い下に落ちてくる様子は全くない。

そこに畳み掛ける様にパイコーンに乗った、ジャイコブウルフ達がステージ上を駆け巡る。
ハクとロウは三回転ジャンプなどの大技を繰り広げながら貴族達を魅了する。

その都度貴族達から大歓声が巻き起こり、大量の金貨がばら撒かれた。

バイコーン達がどんどんステージから離れ貴族達の屋敷に向かっている事など、キラキラの粒子がそれをもかき消し誰も気付かない。

貴族達の心はエンジェルエイトに陥落された。




★  ★   ★


ティーゴの役割はピエロでした(*´꒳`*)プロジェクトAで特訓頑張ったんですがね……全く滑れませんでした。
ジャイコブ達が登場するとどうしてもお笑い要素が強くなるのですが……そろそろシリアスなお話しに突入?したいのでジャイコブ達に大人しくして欲しい作者です。
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