上 下
149 / 314
本編 燦聖教編

ガドウィンの復興

しおりを挟む

「こっこれは?!何で冒険者達が街に帰って来てるんだ!?一体この街に何があったと……ええいっ燦聖教は何をしとるんだっ!早くあの冒険者達を捕まえんか!」

黒マントの男が冒険者達を見て騒ぎ立てている。

「うるさいのじゃ」

パールとティーゴが騒いでいる男の前に立つ。

「なぁお前がマーヌ司祭か?」

「なっ……偉そうに何だその口の聞き方は!私を誰だとっ」

男はまたキーキーと金切り声で怒り出す。

『はぁ……五月蝿いっす!』

一号が黒マントを羽織った男に雷を落とす。

「一号は短気じゃのう……もう少し話を聞いてからでも良かろう?」

『だって……何かこいつティーゴやパール様に偉そうで、ムカつくんす!』

一号が口を尖らせてプリプリ怒っている。
きっと俺とパールに偉そうに言ったのが許せないんだよな。本来なら誰が何を言おうが一号にとってはどうでも良い筈だ。


  《リザレクション》

パールがマーヌ司祭?らしき男を蘇らせた。

「はっはわ!?」

男は自分に何が起こったのか理解出来ない。キョロキョロと周りを見……自分の姿を確認する。所々黒ずみ服は焼け焦げ地面に散らばっていた。

それを見てやっと自分に何が起きたのか男は理解した。自分は一度死んだのだと……

「ヒィャァァァァァ!」

「黙れと言うておる!さっきの質問に答えんか」

男は口を両手で押さえ頭を上下に振る。

「マーヌ司祭なの?」

まだ喋れないのか口を押さえたまま頭を縦に振った。

「やっぱりマーヌ司祭だったんだ。これで話が聞けるね」

「そうじゃのう此奴には色々と聞きたい事があるからのう」

パールはニヤリと少し口の端をあげて笑った。

マーヌ司祭は思った。目の前に立つ男達に逆らったらとんでもない目にあうだろうと。
そして何故こんな事になってしまったんだと天を仰いだ。


「さてとじゃ?集めた魔石や鉱石は何処に持って行っておるんじゃ?」

「そっそれは知らな…ペラペラ隣町ミナトゥークのすぐ近くにある森の中に、魔道具研究所があり……そこに……はわっ何で!?口が勝手にペラペラと」

驚くマーヌ司祭を見て、パールはニヤニヤとし、どうだ?してやったりって顔をしている。
パール?顔に思ってる事が出すぎだよ?

「フフッ何でも喋ってしまう魔法をかけたんじゃよ」

「そっそんな……あー「……自害は出来ぬよ?」

「なっ!」

「お主らは都合が悪くなると直ぐに自害するからのう。それを出来んようにした。じゃからお主は知ってる情報を全て話すまで終わらん」

「ああぁぁぁぁぁぁっ」

マーヌ司祭は項垂れてしまった。

「お主は何故隣町ミナトゥークに行ってたんじゃ?」

「そっそれは…ペラペラ…ミナトゥークにも燦聖教スターセブンを作り、この街ガドウィンの様にステージで魅了をかけ貴族達から金貨を巻き上げる為の準備をしてたんだ……ああっ」

「ブッッ!またダサい名前じゃのう……」

「ダッ?ダサい?燦聖教スターセブンが!?そんな筈は……最高にカッコ良い名前のはず……ブツブツ」

パールにダサいと笑われマーヌ司祭はショックなのかブツブツと独り言を喋っている。

「まっまぁククッ……ダッダサいのは置いといて、ププッ」

「ティーゴっ笑い過ぎじゃ!話が進まんじゃろう」

「ゴメンっつい……」

ティーゴは軽く舌を出して謝る。
パールは少し呆れながらも話を進める。

「ったく。それでじゃっその魅了の魔道具は何処で作っておるんじゃ?」

「…ペラペラ…それも魔道具研究所です」

「なるほどのう……魔道具研究所とやらを潰したら燦聖教にダメージを与えられそうじゃの」

「だなっ」

「そっそれだけは勘弁して下さいっ」
(あそこが潰されては今までの苦労が水の泡だ)

マーヌ司祭は魔道具研究所を潰さないでと地面に頭をつけ必死に懇願する。

「……お主にもう聞く事はない。三号よ」

パールは少し眉を顰めステージ上にいる三号を呼ぶ。

「はぁ~~い♪」

「コヤツも一緒に縛ってくれ」

「一緒に?」
(一緒にってどう言う事だ?!誰か捕まっているのか?)

マーヌ司祭は不思議に思い三号と言われている人物を見る

「ヒィッ!」

三号の周りに座っているのは燦聖教ファイブの面々にネクロ鉱山にいた仲間達など、この街に居た全ての燦聖教の男達がステージ横に集められ裸で正座していた。

その姿は血が流れ傷だらけ、皆目が虚ろだった。さらによく見ると首には隷属の首輪がはめられていた。

「いっ嫌だー!行きたくないっ」

マーヌ司祭は三号から走って逃げようとするも……「あーら?逃げるなんて心外ね?ちゃんと可愛がってあげるから!」三号は悪魔の様な笑みでニヤリと笑いマーヌ司祭を連れて行った。

「ヒィャァァァァァ!」

マーヌ司祭は三号にたっぷりとお仕置きされてから、隷属の首輪をつけられた。
お仕置きはちょっと可哀想な気もするが、もっと酷い事を街の人達にしてたんだ。仕方ない。

この後燦聖教の処罰をどうするか街の人達が話し合いをし、ガドウィン街復興の手伝いを燦聖教の男達に頑張ってもらう事となった。
主に重労働、どこまで耐えられるかは本人達の頑張り次第。

しおりを挟む
感想 1,508

あなたにおすすめの小説

クラス転移で手に入れた『天性』がガチャだった件~落ちこぼれな俺がみんなまとめて最強にします~

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
阿久津雄介とそのクラスメイトは、最弱国家グルストンに勇者として召喚された。 ──天性なる能力を授けられ、世界を支配するドラグネス皇国の考案した遊戯、勇者大戦なる競技の強化選手として抜擢されていく。 しかし雄介の手に入れた能力はガチャ。 他にも戦力とは程遠い能力を授かるものと共に補欠として扱われた。 日々成長していくレギュラー入りしたクラスメイト達。 置いていかれる環境に、自分達もなんとかしようと立ち上がる雄介達。何もできない、なんの役にも立たないと思われた力で雄介達はほんの僅かな手応えを感じていた。 それから少しづつ、自分たちの力を高める為に冒険者の真似事をしていくことに。 目指すはクラスメイトの背中。 ゆくゆくはレギュラー入りと思っていたが…… その矢先にドラグネス皇国からの手先が現れる。 ドラゴン。グルストン王国には生息してない最強の種族が群を率いてやってきた。 雄介達は王命により、ドラゴン達の足止め役を引き受けることになる。 「別に足止めじゃなく倒しちゃってもいいんですよね?」 「できるものならな(可哀想に、恐怖から幻想が見えているんだろうな)」 使えない天性、大人の一般平均値を下回る能力値を持つ補欠組は、世界の支配者であるドラグネス皇国の尖兵をうまく蹴散らすことができるのか? ┏━━━━━━━━━┓ ┃書籍1〜3巻発売中 ┃ ┗━━━━━━━━━┛ ========================================== 【2021.09.05】 ・本編完結(第一部完) 【2023.02.14追記】 ・新しく第二部を準備中です。もう少しお待ちください。 (書籍三巻の続き〜)を予定しています。 【2023.02.15追記】 ・SSはEXTRAからお引越し、書籍用のSS没案集です。 ・追加で増えるかも? ・書籍用の登場人物表を追記しました。 【2023.02.16追記】 ・書籍における雄介の能力変更をおまけに追記しました。 【2023.03.01〜】 ・五章公開 【2023.04.01〜】 ・WEB版の大雑把なあらすじ公開(書籍版とは異なります) ==========================================

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私のスローライフはどこに消えた??  神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!

魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。 なんか旅のお供が増え・・・。 一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。 どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。 R県R市のR大学病院の個室 ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。 ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声 私:[苦しい・・・息が出来ない・・・] 息子A「おふくろ頑張れ・・・」 息子B「おばあちゃん・・・」 息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」 孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」 ピーーーーー 医師「午後14時23分ご臨終です。」 私:[これでやっと楽になれる・・・。] 私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!! なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、 なぜか攫われて・・・ 色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり 事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!! R15は保険です。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。