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本編 燦聖教編

冒険者達を助けよう

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「なっ……何だこれっ……」

「なんと惨い事をするのじゃ……」

テントの中には手足がない人、顔が焼け爛れてる人、重傷な傷を負った人達が何の手当もされずにテント内を埋め尽くす様に横たわって居た。
不衛生で異臭も酷く、ハッキリ言って怪我人が横たわる様な場所ではない。
此処にいるだけで死にたくなるような気分になる。

燦聖教の奴等には人を何だと思ってるんだ。


「……おいっ……そこのお前…」

体の全身が焼けただれてる男が話しかけて来た。
身体中が膿や血に塗れ、喋るだけでも痛そうだ。見てるのが辛い、早く治してあげないと。

「俺は…もう……助からない…たのっむ……殺してくれ……痛くて…地獄なんだ」

「おっ…俺もだっ…両足もない……のに足が痛い…頼む…っ殺して」

「なっ……」

テントの入り口に倒れて居た男達が、俺達に向かって口々に殺してくれとすがってくる……
そんな事出来るわけないだろ!

それを聞いたパールは……少し怒っている。男達にじゃない燦聖教にだろう。

俺達が治してあげるから大丈夫だ。と言おうとしたら先にパールが口を開いた。

「何を言っておるのじゃ!ワシはお主らを殺しはせぬっ!皆生きろ」

  《リザレクト》
  《リザレクト》
  《リザレクト》
  《リザレクト》
  《リザレクト》

 《リザレクション》
 《リザレクション》

パールが凄い勢いで、回復魔法を連続で放った。
上級魔法の乱れ打ちだ。こんな事出来るのはパールくらいだろう。テント内が優しい光包まれて眩しくてまともに目が開けられない。

光は隣のテントにまで広がり、全てのテント内が眩しくて暖かい光の粒子に包まれていく……

光が落ち着くとテント内で横たわって居た人達は皆全回復した。

突然欠損した手足が生えてビックリしている人達、何が起こったのか理解出来ない人達、泣きながら天を仰ぐ者達と反応は様々だ。

「あっ……あんた達が傷を治してくれたのか?」

殺してくれと言っていた全身火傷の男が体を震わせながら問う。

「そうじゃ!もう殺せなど言うでないぞ?」

「ああっ……ありがとうございますっ。街に残して来た妻と子供達ともう二度と会えないと思っていました!ふぐっ…すん」

「足がっ生えてるっこんな事が起こるなんてっ……ああっまた自分の足で歩けるなんてっふうっ……ううっ」

気がつくと怪我をして居た人達が俺達の周りに集まって来た。
あっ……これいつものパターンだと……

「「「「「神様!ありがとうございます」」」」」

冒険者達から一斉に神様コールが始まった。
はぁぁっ……皆の命が助かるのは本当に良かったし嬉しいんだけど……これには中々慣れない。




⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎




何でこんな事になったんだ。上手くいってた筈だったんだ……何でAランク魔獣がこんなに……!


「ぎぃやああっ」

「おいっ逃げろっ」

ダンジョン内はパニックだ。
突然八階層にAランク魔獣、オーガキングとアウルベアが現れたのだから……。

「ダメだっ両腕がなくなって俺はもう戦えない!お前だけでも逃げてくれっ」

「何言ってんだっ僕達は一緒に戦って来た仲間だろ!?一緒に逃げよう」

(くそっ……何てついてないんだっまさかこんな低ランク低下層しかないCランクダンジョンに、オーガキングが現れるなんてっ俺達じゃ無理だっ)

「シルト……お前だけは生き残るんだぜ?」

「なっ何言ってんだよっスペイル!」

男はオーガキングに向かって走って行った。

「シルト逃げるんだっ」

「嫌だっ!嫌だーーっ!」

(姉さんゴメンね……絶対に生きて帰るって言ったけど僕は……仲間を見捨てるなんて出来ない)

「スペイル!死ぬ時は一緒だ」

「シルト……お前ほんっとにバカだぜ……」


オーガキングの斧が俺達を真っ二つに切り裂こうと振り上げられた。

俺達は覚悟を決めて目を閉じた…………が、待てども待てども一向に斧が飛んで来ない。

不思議に思い目を開けると……。

「ほえっ?」
「何で……?」

さっきまで暴れて居た魔獣が全て消えていた。

そして俺達の目の前に不思議な少年が立っていた。
ダンジョン内なのに一つも汚れてない身綺麗な少年……。

「大丈夫かい?君達で最後だよ。今回復するからね」

  《リザレクト》

回復だって?もう俺達は何をしても無理だよ……そう言おうとしたら。

なっ!スペイルの両腕が元通りになっていた。

「あっああ……!腕が生えて来たっふううっ」

「スペイル!良かったなぁっ」

俺達は抱き合って喜んだ。

「さっ外に出ようっ銀太お願い」

『分かったのだ』


「ひゃわっ!フェッフェンリル!」

あわわっ!オーガキングどころの騒ぎじゃないっ伝説の魔獣が目の前にいる!

「怖がらなくても大丈夫だから。コイツは銀太、俺の使い獣さ」

少年はそう言ってフェンリルを優しく撫でて居た。

次の瞬間、俺達は外に出ていた。

周りを見渡すと、死にかけて居た冒険者仲間達の怪我が治りその場は歓喜で満ち溢れている。

テント内に居た重傷者達まで、元通りになっていた。
これは現実に起こった事なのか……?

ああ……そうか。

こんなに酷い目に遭っている我らに、神が天使様を使わしたんだ……神は我らを見捨てた訳じゃなかったんだ。
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