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本編 燦聖教編

シガーの森 ③

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余りにも爆音で壊しまくったからか、青色の塔からワラワラと魔獣兵器が飛び出してきた。

アレは?馬の姿にツノが二本……バイコーンか!凄い数いるぞ。塔からどんどん出てくる。

一体バイコーンが何匹いるんだ?それに……赤いドラゴン?と黒いドラゴン。その奥には何だアイツは?!
あんな魔獣……知らない。

「何と酷い事を……」

パールが見た事もない魔獣を見て茫然と固まる。

「パール酷いって?」

「アレは魔獣のツギハギじゃ、ドラゴンの羽にミノタウルスの体に顔はアウルベアじゃ」

「何だって!そんな事出来るのか?」

「近くに行かないと詳しくは分からんが、魔石の力を借りてくっつけておる」

「何て酷い事するんだよ!魔獣達を何だと思ってるんだ」

魔獣兵器こやつらは操られておるだけで何も悪くない、殺さん様にせんと」

「そうだな、皆の魔石を浄化してやりたい」

「大勢おるバイコーン達を先に眠らせるか!ティーゴは寝てるバイコーンを浄化するのじゃ」

「任せてくれ」

パールはバイコーン達を次々に眠らせて行く。

バイコーン凄い数だな。よーし頑張るぞ!

パールはバイコーン達全てを眠らせ、ドラゴン達の所に向かう。

「ドラゴン達には眠りの魔法は効かんからのう……」

『…オデに…任せて!』

「キラ?気絶させるくらいじゃよ?」

『分かった…手加減する…』

キラはドラゴン達の前に飛んで行く。

『手加減…手加減…そっと』

キラはしっぽで赤色ドラゴンを叩いた。

赤色ドラゴンは青色の塔まで飛んで行き勢いよく塔の中央に当たると、青色の塔は中央からポキリッと折れる様に崩れ落ちた。

赤色ドラゴンはピクピクと白目をむきかろうじて生きていた。

『あで…?おかしい…オデ…そーっと…手加減…』

「まぁ仕方ないのう……気にするでない」

パールはキラが反省し、今にも泣きそうな顔をしていたので、何も責めたりしなかった。

「ほれっ行くぞキラ」

『うん』

『ワイもおるでー』

『俺もだ』

『我は主とおるのだ』

『ワテもティーゴの兄貴のお手伝いしまっせ』

銀太とモスは、俺と一緒にバイコーンの浄化を手伝ってくれ、二匹がどんどんバイコーンを俺の所に運んで来てくれるので、浄化スピードが早まった。

「よーしっあと少しだ」

パール達はドラゴン達を弱らせツギハギの魔獣と対面していた。

「変に魔法を使うとツギハギがバラバラになってしまうやも……ふうむ」

『主~どうするんだ?塔の入り口で仁王立ちして、あのツギハギ魔獣動かないけど……』

『体はミノタウルスやしワイがいてもうたろか?』

「手加減するんじゃよ?」

「おーい待ってくれ!俺も一緒に行くよ」

バイコーンの浄化が終わったティーゴ達が急いで走って来た。

『ほなワイの肩にのり?』

ベヒィはティーゴをヒョイっと持ち上げベヒィの肩に乗せた。

肩車なんて子供の時以来だよ。

『走るでぇ?しっかり捕まっとき』

ベヒィは物凄い速さで走り、その勢いのままツギハギの魔獣を羽交い締めにした。

『ワイが動きを止めとくから、ティーゴは今の内に魔石を浄化して』

「分かった」

先ずは頭に埋まってる魔石を浄化し……体は!?
なっどこに埋まってるのか分からない。

ーーぐうっ痛い痛い痛いよう

ーー苦しいよう死にたい

ーー戦いたくない

魔獣の苦しみが頭に直接届く。今までで一番苦しそうだ。早く楽にしてあげたい。

こうなりゃ慈愛の水かけながら、体を撫でまくるしかない。

俺は必死に浄化しろーっと願い必死に体を撫でた。

慈愛の水の効果なのかは、分からないが黒ずんでいたツギハギ魔獣の体が発光し光が収まると、ツギハギは消え失せ体が綺麗にくっ付き黒ずみも無くなっていた。

ーーあれ?痛くない。だいじょぶになった。

「良かった。もう大丈夫だからな?」

ーーお前が僕を助けてくれたのか?

「そうだ。今からお前をこんな目にした奴らをやっつけてくるからな!お前はもう自由だ」

ーー僕もう……自由っ……でもこんな醜い体じゃ、誰も仲間に入れてくれないよ。すんっ独りぼっちは寂しい。

「じゃあ俺が仲間になってやるよ。なっ?だからもう泣くな」

ーー仲間?僕が?こんな体でも?

「体なんか関係ないよ。俺達は仲間だ」

ーー嬉しい……すんっ

ティーゴはアイテムボックスからトウカパイを出してツギハギ魔獣に与える。

「これ美味いから、それ食べてここでちょっと待っててくれな」

ーーんっ僕まつ。

ツギハギ魔獣はニコニコと幸せそうな顔をしてパイを頬張る。

「行くかのう。キラのおかげで上からも塔に入りやすくなったしのう」

スバルとパールとキラは空から塔に入り、残りの俺達は入り口から入って行く事にした。

塔に入るなり悲鳴があちこちから聞こえてくる。

燦聖教の奴らが銀太やベヒィを見て悲鳴をあげ気絶しているのだ。

パール達が入った三階部分も同じ様に声が響いている。

とりあえず気絶した燦聖教達を一か所に集めてパール達が居る三階を目指す。

パール達の場所に合流すると
   
パール達の前には裸の男達が三人正座していた。
男達の座っている地面は焼け跡がある。
うん。すでに何かお仕置きされたようだな。 

「パールこいつらは?」

「こやつらが司祭と助祭じゃと。ええと真ん中におるのが……?」

パールがチラリと見る。

「ひいっ!はいっ私が司祭のバカナ・ンデスです」
「わわっ私が助祭のアタマガウ・スイです」
「わっ私は助祭のキレテナ・イデスです」

裸の男達が震えながら自己紹介する。コイツらが司祭達か……。

「パールどうするんだ?」

「こいつらには色々と聞きたい事があるんじゃ。
聴き終わったら隷属の首輪を付けローデンブルグに連れて行くかの」

パールはお喋り魔法を発動した。

「あっそうそう勝手に自害は出来んからの?しても生き返らせるがのう」

「ひぃっ!」

「他にもこんな魔獣兵器を作っとる場所があるのか?」

「そんなっ…ペラペラあります。私が知ってるだけで四か所、でも場所は知りません…ペラペラ」

「場所は分からんのか?」

「ペラペラ…隣街に行けばまた新しい情報を司祭が知っているペラペラ…はわっ」

「ほう……最後にお主ら燦聖教のボスは何と言う?」

「そそっ…知ら…くう…ペラペラ…大司教グリモワール様です」

「なっ!グリモワールじゃと?」
(いやっまさかの……生きとる筈もない)

「なんだ?パールその名前知ってるのか?」

「いやっカスパールであった時の知り合いの名前に似ておったんじゃ」

「そうか流石に生きてないか」

「じゃのう。さぁ此奴ら皆に隷属の首輪を付けんとのう」

「人数多いし三号達に手伝って貰うか?」

俺は異空間の扉を出し、三号達を呼びに行こうと勢いよくドアを開けると、目の前に三人がいた。

「わぁっ!」

『ティーゴ!どうしたの?』

「燦聖教の奴らに隷属の首輪付けるのを、手伝って貰おうと思って呼びに来たんだよ」

『分かったわ。ついでにお仕置きしとくね!』

三号はパチンッとウインクし楽しそうに走り出て行った。

三号?楽しそうに何をする気だ?
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