お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

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本編 燦聖教編

シガーの森 ①

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ジャスター侯爵が話していた通り、街道は人っ子一人居なかった。広い街道を聖獣達は縦横無尽じゅうおうむじんに歩き、気がつくとシガーの森に着いていた。

四時間はかかるってジャスター侯爵が話していたが、二時間程で到着した。

『俺は先に空から様子見てくるぜ』

スバルが先に様子を見にシガーの森へ行ってくれた。そう言う所良く気が利くんだよな。

「俺達も行くか」

森に一歩足を踏み入れると、前に匂った妙な匂いがして来た。

「パールこの匂いって……」

「魔獣兵器を作っておった村と同じ匂いじゃな」

「魔獣達を狂わせる匂い」

『なぁ!凄いの見つけたぜ』

先に様子を見に行ってくれていたスバルが、慌てて戻って来た。

「凄いの?」

『ああ、蠱毒こどくを見つけた』

「蠱毒って俺達が閉じ込められてキラが狂化しかけたアレか?」

『そうだ……魔獣達を集めてる村の近くにあったよ』

アイツら一体、蠱毒を何個作ってるんだよ。

「パールどうする?村と蠱毒どっちから行く?」

「蠱毒を破壊してから村に行くのはどうじゃ?」

「よしっそれで行こう。スバル案内してくれ」

『はいよー!』

俺は銀太の背に、パールはキラの背にのり蠱毒に向かって物凄い速さで走って行く。
俺は振り落とされない様に必死にしがみついた。




⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎



目の前に以前見た邪悪で凶々まがまがしいオーラを放つ蠱毒があった。

『何やこれ……キショイわ』

ベヒィが蠱毒を見て嫌そうな顔をする。

「この中で魔獣達を戦わせて、最後に残った魔獣を狂化させて兵器として使うのさ」

『何やそれ!燦聖教さんせいきょうの奴らホンマムカつくわ。ワイら魔獣を何やと思うてるん』

ベヒィが鼻息を荒くし怒っている。

「こんなのはさっさと破壊するんじゃ!」

パールはそう言うと、ユグドラシルの杖を出し魔法を放った。

爆音と共に蠱毒は消え去った。

「すごい……」

ブモォォォォォォォォォォ!

突然耳を劈く様な咆哮がする。声のする方を見ると。

蠱毒の中に一匹、魔獣が居た!

『これはワイに任せて?』

そう一言言うとベヒィは魔獣に向かって走って行った。

よく見ると真っ黒になり狂化している魔獣の姿は、ベヒィーモスだった。

「何とも言えんのう……」

パールは少し悲しそうに呟いた。

「ああ……」

ベヒィは大切な仲間を狂化されたんだ。

ーー許せないよな。

ん?そうだよ俺キラの時、慈愛の手で浄化したんだった。

ベヒィは自分の手で葬ってやろうと考えてるに違いない。

「ベヒィちょっと待ってくれー!助かるかも」

俺は必死にベヒィの所に走って行くが、近付けない。

体と体がぶつかり合う激しい肉弾戦が始まっていた。

ベヒィーモスが必死にぶつかり合うベヒィを、弾き飛ばそうとするがベヒィはピクリとも動かない。
ベヒィ強い……。

ベヒィはベヒィーモスのツノを握るとそのまま空中に投げ飛ばした。落ちて来るベヒィーモスの体を蹴り倒す。

地面に叩きつけられ、身動きが取れなくなったベヒィーモスが横たわる。

『直ぐに楽にしてやるからな!』

「ちょっと待ったー!」

俺はトドメを刺そうとしたベヒィの前に立ち塞がった。

『ティーゴどしたん急に……』

「おれなら狂化を治せるかもしれないんだ!」

『なんやて!?』

「試して見ても良い?」

『もちろんだ!』

俺は横たわるベヒィーモスの体を触りながら、元に戻ってくれー浄化してくれーっと願いながら撫でて行く。

ベヒィーモスの体が光り輝くと……黒かった体が元の姿にも戻って行く。

「やった!助かった!」

『良かった……ティーゴォォありがとう。ワイの仲間助けてくれて嬉しい』

   《リザレクト》

ベヒィに痛め付けられた体を治す。

直ぐにベヒィーモスは起き上がり、自分に何が起こったのか分からないって顔をしている。

ベヒィが近寄り説明している。

ベヒィーモスが俺に近寄り抱きしめて来た。

「なっ⁉︎」

『狂化から助けてくれてありがとうやって』

ブモッ!ブモッ!

『ティーゴの事兄貴って呼ばせてやって』

「なっなんだよそれっ!」

ベヒィーモスは顔を俺の顔にすりすりと寄せてくる。

ブモッ!

『ティーゴの側でおりたいって。ププッ』

「なんだよそれ。分かったから!抱きしめてるの離してくれ」

ブモッ!

やっとベヒィーモスは俺を離してくれた。

「ベヒィーモス無事じゃったのか」

『良かったのだ』

『ティーゴの手は凄いな』

パールと銀太とスバルが俺達の所に走って来た。

『この子も仲間になりたいんやって』

ブモッ!

『そっかぁ良いぜ?宜しくな俺はスバルだ』

ブモッ!

『よせやい!そんな褒めんなよっ』

『スバルの事見た目に似合うカッコ良い名前だやって!』

「ふふっ褒め上手やなつだな」

『ティーゴ、この子にも名前付けたげて?』

名前……なぁ。
ベヒィの弟分……よしっ決めた。

「モスって名前はどうだ?」

ブモッ!

『気に言ったって』

「よしお前の名前は今日から【モス】だ」

テイムにならないって事は、こいつはSランクじゃないんだな。

「パール、俺だけモスの言ってる事分かんないからさ人語話せる様にしてくれよ」

「分かったのじゃ」

ブモッ!

『はぁーティーゴの兄貴!ワテを仲間にしてくれてホンマおーきに!
嬉しすぎて小躍りしそうでっせ。ああ。穴からでて元の姿に戻してくれるなんて、ティーゴの兄貴は天使でんな。
ワテめっちゃ尽くしまっせ。絶対にティーゴの兄貴を守りまっせ!』

モスは早口でペラペラと楽しそうに話しだした。

ちょっと待ってくれ!
モスってこんなにお喋りだったのか?
ブモッしか言ってなかった時も、こんなに話してたのか⁉︎

また強烈な仲間が増えたなぁ。
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