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魔王討伐編

大賢者カスパール勇者を……する

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さっ!今日は此処で野宿して休むとするかの!

「ふうむ…この辺りにしようかの」

何とカスパールは辺りの木を一瞬で切り倒したかと思うと、アッとゆう間に木の家を建ててしまった。

コレには、ファラサールにカイトそれにシンも目をまん丸にして固まっている。

「じゃあの?また明日朝から宜しくの」

パタンッ…

そう言うとカスパール達は部屋に入った。

「何だよコレ!本当に何でもアリだなあの人は!」
「本当に!家ってあんなに直ぐに出来るもんなのか…」
「普通は無理だよ」
「だよなぁ…」

ファラサールとカイトはビックリしながらも自分達の寝る寝床を用意して行く。

「ちょっ?俺の寝床はどーするんだよ?無いじゃねーか!」

勇者シンがファラサール達に文句を言う。

「はぁ?何を言ってんの…?僕やカイトは自分で寝床を用意して持って来たんだよ!」
「お前もしかして何も準備してないのか?」

「…だっていつもは用意してくれてたから…」

「はぁ…金持ち冒険者はお手伝い付きで冒険の旅に出るんだな」

「あいにく此処にはお前の荷物持ちはいないだろうが?普通考えたら分からないか?」

ファラサールとカイトは良くそんな甘い考えで魔王討伐に来たなと心の底から思ったのだった。

「まぁ自分でどうにかしてくれ!俺達は自分達の分しか用意してねーからな?」

「なっ…そんな」

勇者シンは仕方なく草の上で横になるのだった。


* * * * * * * *


「ふぁぁー…。よく寝た」

『主~おはよう…』
『『『おはようございます』』』

「ようし。飯にするかの!」

カスパールが建てた家から良い匂いが漂う…

ファラサールとカイトはこの匂いで目が覚める。シンはまともに寝れなかったみたいで起きていた。

「またカスパール様の飯テロが…良い匂いの所為でヨダレが止まらない…」

硬いパンと干し肉を握りしめてファラサールがつぶやく。

「俺もだ…パンを食べているのにお腹が鳴り止まない…はぁ」

そんな時カスパールの家の扉が開く。

「スープを沢山作ったんじゃがお主らもいるか?」

ほわわ~ん
美味しそうなスープの香りが漂う

ゴクリッ…

「「はい!食べます!」」

ニコニコしながらファラサールとカイトはカスパールの家に入っていく。
シンはそれを干し肉を噛み締めながら羨ましそうに見ていた。

「くそっ…」


* * * * * * * *


「はぁ…あんなに美味しいスープが旅をしながら飲めるなんて…最高だよ!」

「本当にな!こんな旅なら毎回ついて行きたいくらいだ!」

ファラサールとカイトは艶々した顔で歩いていく。

一方勇者シンはゲッソリとしフラフラしながら皆について行くのがやっとだ。




フラ…


バタン‼︎



勇者シンが倒れた。
環境の変化で眠れなかった。ストレスと空腹だろう。

「おい!シン?大丈夫か?」

皆がシンに駆け寄る

「ふうむ…これは睡眠不足とストレスじゃな」

『じゃあコイツはココに置いて行こうぜ!』
『そうだな!それが良いな!コイツ役に立ってねぇしな。』
『そうね。ムカつくだけだし』

‼︎‼︎‼︎‼︎

『えっ?カスパール様⁈どーして…』

何とカスパールはシンを背中に担いだ。

「此奴も慣れない旅で不安じゃったんじゃよ。」

ブツブツ…
『カスパール様の背中に…ズルいわ!』
『俺だってして欲しい…』

スバルや一号二号三号達は納得がいかないみたいだ。


「……んっ…?」

「やっと目が覚めたかの?」

「なっ爺さん!何で?」

「お主は空腹とストレスで倒れたんじゃよ」

「じっ…爺さんが俺を背負って歩いてくれたのか…?」

「お主は背の割に痩せ過ぎじゃ。」

カスパールは勇者シンを下ろすと手作りスープを差し出した。

「ほれっ!ワシの特製スープじゃ!美味いぞ!」

「……俺は…ずっと爺さんを馬鹿にしてたのに…」

「ククッアレぐらいは何ともないわ!」

「じいさ…カッ…カスパール様」
あああああっ…フグッ

勇者シンは項垂れ泣き出す。

「ウメェ…ウメェよ…フグッ…」
そして泣きながらスープを頬張るのだった

「食べるか泣くかどっちかにしろ!忙しい奴じゃの!」

フフッ
「カスパール様ありがとうございます…」

こうしてカスパールは勇者シンを虜にしたのだが本人は全く気付いていない…

スバルや一号達はカスパールを取られたようで納得がいかず不貞腐れていた。
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