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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百八話 新たな妖精

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 処分されそうな大きな白馬を無事に購入する事ができたのだけど、この白馬一匹だけが大き過ぎて他の馬とのバランスが悪くなるんだとか。
 だからこの白馬は馬車を引くのには不向きとの事で、店主の見立てで別に馬を四頭購入した。

 この大きな白馬は廃棄するしかないと店主も困っていたらしく、四頭の馬達のおまけで付けてくれた。

「ふふ。こんなにも綺麗な白馬がオマケって。ついてるわ」

 購入した馬達は馬車を引く準備をし、後で馬車の所に店主が持ってきてくれる事になった。
 
 私の目の前にいる白馬以外は。人参作戦で気に入られたのか、この白馬は私から離れる事を嫌がるので手綱をつけて私がそのまま連れて行くことにした。

「ソフィア! こんな大きな馬を手懐けるなんてさすがだね!……っうわっ!」

「ブルルッ」

 ジーニアス様が少し驚きながら近付いて来たら、白馬が目の前に立った。まるで近寄ることを邪魔してるみたいに。

「なっ? 何だお前!」

「ブルルゥ?」

 驚き文句を言うジーニアス様を、鼻で笑っているかのように見て、クルリと体を動かし尻を向ける白馬。

 何その嘲笑う様な態度は! 
 その姿をみたアイザック様が面白そうに笑う。

「あははははっ! ジーニアスは白馬に嫌われたようだね?」

 今度はアイザック様が、白馬の横を通り私の所に来ようとするも、また白馬が前に立ち塞がり、同じ様に邪魔をする。

「なっ何だこの白馬? なんだか俺たちの事バカにしてるような……」

 アイザック様がそう言うと、白馬はブルルっと鼻を鳴らし私の胸に顔を埋め撫でてとアピールする。

もしやこの白馬は男嫌いなんじゃ……だからアイザック様やジーニアス様を嫌がって?

 一人考えながら頭を撫でていると、いつの間にかシャルロッテが横におり一緒に頭を撫でていた。
 

「ふふ可愛い」
「本当ですね。大きいから少し怖かったのですが、人懐っこくて可愛いです」

 シャルロッテには嫌がらせしないって事は………やっぱり!

 白馬はチラリとアイザック様達を見て少し馬鹿にした様に目を細めると、再び頭を撫でてとアピールして来た。
 それを見た二人は自分達が白馬にバカにされているのがわかる。

「……こいつ! 僕はこの馬を連れて次の村に行くのは反対だ!」
「同じく! 僕もアイザックの意見に賛成だ」

「ええっ? アイザック様、ジーニアス様。いきなりどうしたんですか?」

 そりゃこの白馬の態度はちょっと人間臭いって言うか……あれだけど……そんなに嫌がらなくても。

「とにかく僕はこの馬が気に入らないねっ!」
「ああ! 僕もだ」

「そんな急に! だってこの白馬は私たちが連れて行かないと、処分されてしまうんですよ? どうしてそんな事を言うのです」

「ブルルッウ」

 白馬が少し悲しそうに鼻を鳴らす。その姿はまるで私達の会話が全て分かっているかのようだ。
 まさか……本当に分かってるとかじゃないよね? 少し気になるが今はこの白馬をフォローしなくちゃ。

「ほらっ! この子も寂しそうです。お願いですから仲良くしてください」

 私はそう言ってアイザック達のところに走り寄り、二人の手を握った。そして再度お願いした。

「お願いします。ダメですか?」

「あ……う……うん。良いか。なぁジーニアス」
「そそっ……そうだね。うん」

 アイザック様とジーニアス様は頬を赤らめ下を向き頷く。
 急に赤くなってどうしたんだろう? 私が無理にお願いしたから、我慢してこんなにも顔が赤くなったのかな。優しいな二人とも。

「ありがとうございます」

ーーははっソフィアはまた面白いことをしておるのう。

……む? この声は精霊王様。

ーーまた面白いやつを仲間にしたんじゃのう。

 精霊王様が短い尻尾をぷりぷりさせながら登場する。

「え? 面白い奴って? 何が?」

 精霊王様? あなたより面白い人はなかなかいませんよ?

ーー何じゃソフィア? お主気づいておらんのか?

 精霊王様が不思議そうにソフィアを見る。

「何をです?」

ーーお前の背後におるその白馬じゃ。

 この白馬が何だって言うの?   
 もしかして普通の馬じゃないの?

 チラリと白馬を見ると、少し困った顔をして目を逸らす。

 え? 何この人っぽい仕草。まるで私と精霊王様の会話が分かってるみたい……さっきもそんな感じだったし……もしかして本当に!? いやいやそんな事ある訳ないか。

ーーそやつはの? 土の妖精じゃ! おいっノーム! 喋れるのに何で喋らんのじゃ?

ーーああ~もうっ! 精霊王様なんで言っちゃうんだよー! そうさ僕は土の妖精ノームだよ! 間違えて馬の体に入っちゃって抜け出せなくなったとか、恥ずかしいから隠してたのにさ! ソフィアに全部ばれちゃったじゃないか! このまま可愛がって貰って、こっそりと契約しようかな? なんて考えてたのにさ? あーあ。

 白馬が急にペラペラと喋り出したんだけど! バレるも何も全て自爆してるけど?
 しかもなんか聞き捨てならない事言ってない?
 コッソリ契約とか!

「ちょっと! あなた妖精なの?」

ーーうん。 黙っててごめん。 言うタイミング逃して……後でちゃんと言うつもりだったんだよ? でもソフィアの魔力が美味し過ぎ……ゲフッ! んんっ。まさか精霊王様までいるなんて。

 本当に妖精なんだ……馬の妖精とかいるんだ。

「妖精ってみんなシルフィみたいな姿じゃないんだね」

 ふと不思議そうに言うと。

ーーくくっ。いやノームも本来はシルフィみたいな姿じゃ。今は馬じゃがの? ぷぷっ馬じゃって!

ーーっ!! もうっ精霊王様。ちょっと黙ってて。自分だって猪の癖に!

ーーなっ? ノームは分かっておらんのう。この猪はソフィアが好むから我はもふもふ姿なんじゃ。

ーーもふもふ?

ーー我は自ら選んでこの姿になったんじゃ。ノームの様に間違って入ってしもうたとかじゃなくてのう。

ーーはうっ何回も言わないで!

 精霊王様に馬鹿にされ、土の妖精ノームが恥ずかしそうに足をバタバタさせる。

「ちょっと! ええとノーム。その姿でバタバタしないで! そのせいで土埃がすごいから! それに精霊王様も変な言い方しないで」

ーー………あっごめん。 
ーーぬぅ我は変な言い方して無い。


 はぁ……何だろう微妙なこの空気は。精霊王様が絡むと毎回こうだ。
 とりあえず、話をどうやってまとめようかと考えていると。

ーーそれで……お願いが……もうバレたんだし、ねえソフィア? 僕と契約して。

「えええっ? 契約? でも私妖精はシルフィとウンディーネ、それに聖獣のリルとも契約してるのよ? それ以上契約できるかな? 無理なんじゃ……」

 いっぱい契約しているから無理だと遠回しに断ろうとするが。

ーーシルフィとウンディーネとも契約してるの? なら良いじゃん僕ともお願いね?

 そう言うとノームは私の頬をペロリと舐めた。

「ちょっ?」

 あ………これ契約しちゃった!    
 いつものやつ。体に暖かい何かが流れ込んでいるの分かる。

ーーふふっ契約完了! よろしくねソフィア?

「ちょっと! 勝手に契約してっ」

ーーくくっ良いではないか。ソフィアなら全ての妖精と契約してもまだ余る魔力があるんじゃから。

 なんて精霊王様は言うけど……みんな私の魔力が食べたいだけだよね? この世界の妖精達は皆食いしん坊だ。


 この後アイザック様達から質問攻めにあい、たっぷりと説明しないといけないのであった。









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