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ルチア十六歳、魔法学園編

楽しい宴 ②

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ーールチィ!このパリパリしたヤツ美味いぞ!
——こっちのマカロンとやらも絶品! はぁー幸せ。

 白ちゃん黒ちゃん、パーティー満喫してるね。


 あっ獣王様の話が始まる。


「今日は最高の日になった。もしかしたら最悪の日になる可能性もあった! だが今日は素晴らしい日になった!! 皆でこの感動を祝おうぞ!」

「「「「「ワァァー!! 獣王様!!」」」」」


 会場が歓声で揺れている。凄い盛り上がり。

 妖精さん達もいっぱい集まってる。

ーーありがとうー
ーー友達帰ってきた
ーー楽しーお祭りー
ーー素敵ーねー幸せー
ーーわっしょいー

 妖精さん達も帰ってきた仲間がいて喜んでる。何かお祭りと間違えてる妖精さんも居るけど。ワッショイって……
 可愛いけどね?

ーールチィ! あっちの方にうまそうな料理が並んでいるからさ? 見てくるぜ!
ーーあっまってよ黒! 僕も行くよっ

 黒ちゃんたちが、バタバタと新しい料理が並ぶテーブルに走って行く。
 なんだろう、人型姿なのにワンコのしっぽが見えるのは気のせいだろうか?

 会場の端にあるゆったりした席を、私達のために用意してくれたので、一人寛いでいるとこちらに向かって歩いて来る可愛い人が。

「ルチィ様! 獣人国の式典服凄く似合ってますわ!」
「ありがとう。ミミィさんも凄く可愛い!」

「まぁ! ありがとうございます!」

 ミミィさんがいつもの如くギュウッと抱きしめてくる。身長差の所為なのか、毎回大きな胸で息が出来ない。

「ウップッ! はっはぁはぁ……」
「あれえ?」
「ミミィさん! 毎回毎回……絶対ワザとでしょ? コレは」
「えへっ? バレちゃいました? だって獣王様はとっても喜んでくれるのですよ? 大好きなルチィ様にも私、好かれたくって」

 そう言ってウサ耳をぴこぴこさせて私を見る。

 ぐぬっ
 何ですか? この可愛いさは。
 こんなことされたら、何も言えません。

「ルチィ様も竜王様に抱き付く時は、コレをお勧めしますわ! きっと喜んで下さいますよ?」

 なっ何を! 私がシェラ様に?? 胸を?
 無理無理無理無理無理無理無理っ

 あーっまた変な想像しちゃった!

「ルチィ様? お顔が赤いですよ?」

 貴方の所為ですよ!!

「お熱いのでしょうか? 良かったらこちら飲まれますか?」

 ミミィさんが手に持っているピンク色の綺麗なソーダを渡してくれた。

「わっありがとうございます!」

 興奮して喉も渇いていた私は、一気に飲み干した。

「はぁーーっ! 甘くて美味しい」

「そうでしょう! こちら獣人国で今大人気のソーダなのです!」

 人気なのもわかる。微炭酸でとってもフルーティ。

「もう一杯どうぞ!」
 ミミィさんがウエイターさんからおかわりをもらって来てくれた。
「ありがとうございます。」
「ふふではカンパーイ♪」
「カンパーイ♪」

 ミミィさんとグラスをカチンと合わせ飲み干す

ゴクッ
 うん!美味しい!
 はぁ~。あれ? なんでかな? 顔はもっと熱くなってきたような。

『ルチィ? 何を飲んでおるのだ?』

 獣王様とお話しいていたシェラ様が席に戻ってきた。

「あっシェラ様~。獣人国で大人気のぉ。えっと。? んん?」

『ルッルチィ? 顔が真っ赤ではないか!』

「あっ! そうそう~。大人気のソーダ! これっ」
 私は持っていたグラスを、上に掲げてシェラ様に見せる。

『なっ! これは……酒じゃないか! ルチィ? 酒など飲んだ事などないであろ?」
「ええ~? シェラ様? これはソーダだよぅ? おしゃけじゃないにょ」
『獣人国では酒をソーダと言うんじゃ!』

「えっ!? ルチィ様! お酒ソーダを飲んだ事ないのですか? すみません! お水貰ってきます!」

 んん? ミミィさんが慌ててる。お酒? って言った? それくらい飲んだ事あるよ~。んん。? 前世で? 今の世界では? ん~。まっいっか。

 何かふわふわして……気持ち良いし。
 シェラ様が眉毛を八の字にして困っている。なんでそんな顔してるの?
 こんな時は……そうださっきミミィさんに教えてもらった……。

「シェラ様! 私、ミミィさんに教えてもらった事があるの」
『教えて? それより大丈夫なのか?』

 なぜかやたらと心配しているシェラ様。それを無視して
 ポンポン! ソファのイスを叩く。
「シェラ様、ここに座って?」
『ルチィ? 大丈夫か?』

 シェラ様が困惑している。なんでかな?

「はにゃく!」とそんなシェラ様を急かす。

『はいっ!』

 シェラ様が慌ててソファに座ると、私はいつもミミィさんにされてる様に、シェラ様の顔を胸に埋めた。
 ギュウッッと。思いっきり。
 

 あえ? 何も反応がない。

「シェラ様?」

 抱き付くのをやめて、シェラ様の顔を見る。

 スッゴイ真っ赤だ。

「シェラちゃま? どうちたの?」

 真っ赤なシェラ様は口元を手で押さえて何かブツブツ言っている。
 あれえ? ミミィさんは大喜びって言ってたのに。

「シェラちゃ~。嬉しくないにょ? ミミィシャンがね? コレをしたらシェラちゃまが喜ぶっちぇ教えてくれて……シェラちゃまはイヤだったにょ?」

 そう言ってシェラ様の顔を覗き込む。やはり真っ赤だ……どうしたのかな?

『ちっ違! いっ嫌なものか!! 嬉しいに決まっておる! なんならもっと欲しいくらいだ!』

 今度は早口で捲し立てるように、嬉しいと語るシェラ様。ええと嬉しいって事だよね?

「なら良かっちゃぁ~」

 あれ? 天井がグルグル回って……ん~……

ーールチィー。ルチィー。

「はにゃ?」

 シェラ様が何か叫んでる。
 ププッ
 顔が必死だぁ。


 このまま私は眠りについた。シェラ様が半泣きでパニックになっているなど知る由もなく。


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