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ルチア十六歳、魔法学園編
楽しい宴
しおりを挟む「ちょっ!? おっ大きい!」
この大きさはウリ坊じゃないよ! あの可愛いさ何処に行ったの。
これは前世で見た、大人気映画に出てくるキャラにそっくり。この世界で分かってくれる人いないけど。
「ウリ坊……さっきの可愛い姿になれるんだよね?」
ずっとこの大きな猪が傍にいるのはちょっと……その。
ーーうむ? もちろんなれるのだ! んっ? アッアレ? 上手くいかないのだ。
ウリ坊がドスンドスンと何やらしているが、姿は大きなイノシシのまま。
ーールチィの強い魔力のせいだな。少し経てば上手く出来るようになるよ。
ーー今はデカイままだな。
その様子を黙って見ていた白ちゃんが、私の魔力のせいだと言う。そんな影響もあるのね。
ーーそっそうなのか? オイラ上手くいかなくて、ちょっと焦ったのだ。
ウリ坊があのデカいイノシシ姿のままならどうしようかと思ったけど、元に戻れるんなら今は良いかな。
「ルチア様! 失礼致します。お時間も余りないので準備させて下さい」
部屋に入って来た五人の侍女さんに連れて行かれた私は、何も抵抗する間も無くピカピカに磨かれ。
あっとゆうまに綺麗なドレス姿になった。
このドレスは、獣人国の人が記念日や式典で着てるドレス。
私は初めて着る!
ミミィさんが稀に着てるのを見て、可愛いなっていつも思ってたんだ。
イメージは前世のチャイナ服が更に豪華なった感じかな。
獣王様が、妖精を救い獣人国を守った日を記念日にするって言っていた。
今日は国をあげての式典になるから、獣人国の式典服を私も着るのかな?
ちょっと照れ臭いけど、皆に見てもらうの楽しみだな!
「どうかな? 獣人国の式典服似合うかな?」
ドキドキ緊張するなぁ。
ーールチィ!? 一瞬誰かと思ったよ! 衣装が変わると全然違うね! 可愛いー!
ーーうん獣人国の式典服もなかなか似合うな!
『俺のルチィは何を着ても可愛い』
そう言って褒めてくれたシェラ様の式典服姿は、恐ろしくカッコいい。
いつもと違うだけでまた違って見えてドキドキする。
『シェラ様もカッコいい』
私がそう言うと、シェラ様は私を抱きしめてキスをした。
「んっ!」
バァンッ
獣王様が勢い良く扉をあけて部屋に入ってきた。その後からミミィさんも続く。
「やれやれお熱い事で。さぁ宴の準備も出来たし今日の記念を皆で祝おうぞ!」
私とシェラ様をニヤニヤしながら見ている、ミミィさんはナゼかウンウンと頷いている。
……うう。
獣王様にキス見られた。恥ずかしい。
ーー美味いもん~ククッ。楽しみだなぁ。
ーーパフェとかあるかな。
白ちゃんと黒ちゃんはもう、食べ物の事で頭がいっぱいみたいで、ニコニコで部屋を出て行く。
ーーオイラは? オイラはどーするのだ! 扉から出れんのだ!
それを見てウリ坊が慌てだす。
あっ!?
ウリ坊の事忘れてた。
「……その大きな姿では連れて行けないから、ゴメンね。ちょっとだけ待っててね?」
「なっなんと此方は聖獣様!?」
ウリ坊に気付いた獣王様とミミィさんが平伏した。
そんな二人の事をなど気にせず、連れていけとごねるウリ坊。
ーーそんな、嫌なのだ! 嫌なのだ! オイラも行きたいのだ!
「だってその姿だと皆に聖獣ってバレるし、この部屋を出る時にドアも壊しちゃうからダメ!」
ーー……オイラだけ行けないなんて。
ウリ坊のつぶらな瞳から、ポロポロと大粒の涙が落ちる。
それを見て獣王様は大慌て。
「なっ!? ルチア穣?! なんで聖獣様が泣いておられるのだ!?」
「ええと……宴に行きたいらしいんですが、この姿では無理なので……ダメっ言ったら」
「なんと!」
ーーオイラも美味いもん食べたいのだ!
「うっ美味いものですか? 分かりました! すぐにこちらにも用意させます!」
それを聞いたウリ坊は鼻息荒く興奮している。
ーー!! 美味いもの! 沢山なのだぞ! 沢山!
「分かりました! 沢山もって来させますので」
獣王様はウリ坊にお辞儀をすると、慌てて部屋を出て行った。
本当に聖獣達は食いしん坊だなぁ。
食べ物は食べても意味ないんだよね?
『ルチィ、俺たちも会場に向かおう』
「はい!」
どんな宴になるのかな? 楽しみだな。
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