上 下
66 / 81
ルチア十六歳、魔法学園編

新しい聖獣

しおりを挟む

 
 ふふっ

 チビ竜のシェラ様なら全然恥ずかしくないのになぁ。

 チビ竜シェラ様をヨシヨシしながらふと思う。
 これがいつもの姿だったら……!!

 ギャッ! はわわっ
 無理無理無理!
 想像しちゃった!! 消えろ煩悩!

『ふうむ? ルチィは一人で楽しそうだの』

 一人真っ赤になって、あたまをふったりしていたらシェラ様が不思議そうに見ていた。

「えっ? いやぁ? 楽しいって言うか」

 一人で勝手に妄想して、恥ずかしくなってただけとか……言えない。

『そろそろ帰るかの』

「あの....この猪も連れて行って良い? 私から離れないし。私も離れ難い」

『ふうむ。ちぃと妬けるのう。では皆でかえろうぞ』


 獣人国に戻ると、夜の宴の準備でごった返してた。

 白ちゃん達がいる部屋に行くと、早くも白ちゃん黒ちゃんは正装に着替えていた。

「ただいまぁ! お花を見に行ってたよ」

ーーえっ! そうなの? 僕も寝ないで一緒に行けば良かったなぁ。

 白ちゃんの視線が下がる。猪に気付いたかな?

ーーんんっ!? ルチィ? その抱っこしてる奴は?

「可愛いでしょ? 花畑で出会ったんだけど、それから離れてくれないから連れて来ちゃった」

ブフーッ。

 猪が可愛いくなく。

ーーおいおい! お前? 何を可愛こぶってんだよ! 火の聖獣よ!

 えっ? 今黒ちゃん火の聖獣って言った?

「しっ? 知り合い?」

ーー知り合いも何も、そいつも聖獣だよ!!

 この猪、聖獣なの?!

ーーおいおい! 何百年ぶりだよ? 火の聖獣よ!

ーーおお! 光のと闇の! 久しぶりなのだ!


 えっ? 猪が急に話だした、さっきまでブフーッって鼻息だったのに。
 
ーーずっと火山の下で眠っていたんだがの。千年ぶりに目が覚めたからウロウロとしてたんだの。
するとだの? すっごい良い魔力の匂いがして来て……匂いを辿ってたらこの女子を見つけたのだ!

ーーおいおい、まさか勝手に契約してないだろうな?

ーールチィは僕達のだからね!

ーーお前達だけで一人占めとかずるいのだ! 俺だって美味しい魔力を食べたいのだ!

ーーって事は! まさか?

ーーそうだ!後は名前を付けてもらうだけだなのだ!

 ドヤァーッっとふんぞり返る子イノシシ。


 ちょっ! なんの話ししてるの? 契約とか?

『やはりそうか、火の聖獣様だったのか。動物にしたら異常な魔力だからな。気になっておった』

 シェラ様も気づいてたんだ。

ーーさあ! 早く名前をつけるのだ!

 名前をくれって、私の知らない内に勝手に契約とかして?

「名前付けないとダメ?」

ーーなっ酷いのだ! オイラもルチィと契約したいのだ!

 うー……可愛い子イノシシ姿で言われたら断れない。

 なんにしようかな? うーん。子イノシシって事は……!

 ウリ坊。決めたウリ坊!


 パアアーッッ

 眩い光が部屋を覆い尽くす。


ーーふむ! オイラは今日からウリ坊だ! 宜しくなのだ! ルチィの魔力と繋がるのは気持ちが良いのだ。


 光が消えると、目の前に体躯が三メートルはある、大きな猪が立っいた。

 えっ? 可愛い子イノシシはどこに?


ーーあれ? 契約したからか? 元の目立つ姿に戻ってしまったのだ。


 何だか知らない内に、聖獣が増えてしまった。
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」  何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?  後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!  負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。  やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*) 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/06/22……完結 2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位 2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位 2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

処理中です...