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ルチア十六歳、魔法学園編
秘密の場所
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「えっ……?」
目をあけると、綺麗な花畑に来ていた。さっきまでカフェに居たのに。
『此処はの、我のお気に入りの場所なのだ』
「綺麗……森の中にこんな綺麗な花畑が?」
あまりにも幻想的な美しさに、瞬きすら忘れてしまう。
どの花もキラキラと眩しく輝いている。こんな輝く花見た事ない。
花の影響なのか妖精さん達もいつもよりキラキラして見える。
『ここは、俺以外知らない秘密の場所なのだよ。嫌な事があったり……一人になりたい時など、此処でボーッとすると落ち着くのだ。番が現れたら連れて来ようと、ずっと思っていた特別な場所。やっとルチィを連れて来れた』
そんな大切な場所に連れて来てくれるとか、嬉しすぎる。
『それでじゃ……ルチィに見せたい物がある。我の後からついておいで』
見せたい物?
「ここ?」
連れて来てくれた場所には、沢山の黄金花に囲まれた真っ白に輝く石碑がドンッと中央に建っていた。
「あの……ここは?」
『此処は俺の父上と母上の墓だ』
シェラ様のお父さんとお母さんのお墓。
言われなければお墓とは思えないほど綺麗な場所。
『俺はまだ……ルチィに竜族の番について話してない事がある。実はこの話をするのがずっと怖かった。番である事を嫌がってしまうのでは? と思うての』
いつも弱音など見せたりしないシェラ様が、儚げに笑う。
私が知らない番の秘密が、まだあると言うの? 知ったら嫌う秘密って……。
『大切な話だから、父上と母上の前で話したかった。もっと早く此処に連れて来たかったのだが、考え過ぎてこの場所にルチィを連れて来れなかった』
シェラ様は、とても切なそうな顔で話してくれた。
「シェラ様。私はもう何を言われてもシェラ様から離れるつもりはありません。何を苦しんでいるのかは分からないけど、全て話して欲しい」
『ルチィ……』
シェラ様は私を優しく抱きしめる。
フワリと香るシェラ様の良い匂い。はぁ……安心する。
『竜人族の寿命がどれくらいか知っておるか?』
えっ? 嫌われる話しじゃないの?
寿命の話? うーんと。
「確か、魔力が高いほど長生きで二千歳~五千歳だよね?」
『うむ、そうだ。さらに我竜王ともなれば八千~一万歳は生きるであろう。人族の儚き寿命と比べると、遥かに長生きだ』
はっ八千歳!
想像が出来ない年月。シェラ様はそんなに長生きなのか。
『我が番となると、寿命も共有する事になり、ルチィも八千歳と言う、人族からすると果てしない時間を共に生きる事になる。人族のルチィは八千歳になっても良いのか?』
シェラ様は少し強ばった表情で話してくれた。
でもでも! 私にとってはもうこの話は有難うございます。って感じでプラスでしかない。
私はシェラ様より先に老いる事が! この可愛い人を残して先に死ぬ事が!
……一番嫌だった。
だからその事を考えない様にしていたくらい。
シェラ様は何故私が嫌がると思って話を進めてるのかが、正直意味が分からない。
これぞ価値観の違いだね。
「シェラ様。今の話しを聞いて私は何を考えてると思う?」
『ふぅむ。寿命が八千歳になるのが嫌だ? かの?』
ブーーッ!!
「不正解! シェラ様は乙女心が全く分かってないよ?」
ふぬう……?
シェラ様が不思議そうに頭を傾げる。ううっ……可愛い。
「正解はね? シェラ様より先におばあちゃんにならなくて良かった! だよ。私の気持ち全く分かってないんだから!」
『ル、ルチィ? その答えでは我は都合の良い解釈をしてしまう』
「都合良くて正解なの! 私はシェラ様とずっと一緒にいたいの! シェラ様を残して……先に死ぬ事が一番怖かった。私なりに寿命の事は不安で、考えない様にしてたんだよ? それがシェラ様と同じ時を生きれるなんて幸せだよ!」
『……ルチィ……有難う』
シェラ様は私をギュッと抱きしめ、頭にキスを落とした。
目をあけると、綺麗な花畑に来ていた。さっきまでカフェに居たのに。
『此処はの、我のお気に入りの場所なのだ』
「綺麗……森の中にこんな綺麗な花畑が?」
あまりにも幻想的な美しさに、瞬きすら忘れてしまう。
どの花もキラキラと眩しく輝いている。こんな輝く花見た事ない。
花の影響なのか妖精さん達もいつもよりキラキラして見える。
『ここは、俺以外知らない秘密の場所なのだよ。嫌な事があったり……一人になりたい時など、此処でボーッとすると落ち着くのだ。番が現れたら連れて来ようと、ずっと思っていた特別な場所。やっとルチィを連れて来れた』
そんな大切な場所に連れて来てくれるとか、嬉しすぎる。
『それでじゃ……ルチィに見せたい物がある。我の後からついておいで』
見せたい物?
「ここ?」
連れて来てくれた場所には、沢山の黄金花に囲まれた真っ白に輝く石碑がドンッと中央に建っていた。
「あの……ここは?」
『此処は俺の父上と母上の墓だ』
シェラ様のお父さんとお母さんのお墓。
言われなければお墓とは思えないほど綺麗な場所。
『俺はまだ……ルチィに竜族の番について話してない事がある。実はこの話をするのがずっと怖かった。番である事を嫌がってしまうのでは? と思うての』
いつも弱音など見せたりしないシェラ様が、儚げに笑う。
私が知らない番の秘密が、まだあると言うの? 知ったら嫌う秘密って……。
『大切な話だから、父上と母上の前で話したかった。もっと早く此処に連れて来たかったのだが、考え過ぎてこの場所にルチィを連れて来れなかった』
シェラ様は、とても切なそうな顔で話してくれた。
「シェラ様。私はもう何を言われてもシェラ様から離れるつもりはありません。何を苦しんでいるのかは分からないけど、全て話して欲しい」
『ルチィ……』
シェラ様は私を優しく抱きしめる。
フワリと香るシェラ様の良い匂い。はぁ……安心する。
『竜人族の寿命がどれくらいか知っておるか?』
えっ? 嫌われる話しじゃないの?
寿命の話? うーんと。
「確か、魔力が高いほど長生きで二千歳~五千歳だよね?」
『うむ、そうだ。さらに我竜王ともなれば八千~一万歳は生きるであろう。人族の儚き寿命と比べると、遥かに長生きだ』
はっ八千歳!
想像が出来ない年月。シェラ様はそんなに長生きなのか。
『我が番となると、寿命も共有する事になり、ルチィも八千歳と言う、人族からすると果てしない時間を共に生きる事になる。人族のルチィは八千歳になっても良いのか?』
シェラ様は少し強ばった表情で話してくれた。
でもでも! 私にとってはもうこの話は有難うございます。って感じでプラスでしかない。
私はシェラ様より先に老いる事が! この可愛い人を残して先に死ぬ事が!
……一番嫌だった。
だからその事を考えない様にしていたくらい。
シェラ様は何故私が嫌がると思って話を進めてるのかが、正直意味が分からない。
これぞ価値観の違いだね。
「シェラ様。今の話しを聞いて私は何を考えてると思う?」
『ふぅむ。寿命が八千歳になるのが嫌だ? かの?』
ブーーッ!!
「不正解! シェラ様は乙女心が全く分かってないよ?」
ふぬう……?
シェラ様が不思議そうに頭を傾げる。ううっ……可愛い。
「正解はね? シェラ様より先におばあちゃんにならなくて良かった! だよ。私の気持ち全く分かってないんだから!」
『ル、ルチィ? その答えでは我は都合の良い解釈をしてしまう』
「都合良くて正解なの! 私はシェラ様とずっと一緒にいたいの! シェラ様を残して……先に死ぬ事が一番怖かった。私なりに寿命の事は不安で、考えない様にしてたんだよ? それがシェラ様と同じ時を生きれるなんて幸せだよ!」
『……ルチィ……有難う』
シェラ様は私をギュッと抱きしめ、頭にキスを落とした。
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