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ルチア十六歳、魔法学園編
シャリオンの企み
しおりを挟む一体……どー言う事?
何なのよ!
せっかく調子乗り女に、恥をかかせてやろうと思ってたのに! なんで私がシェラザード様の前であんな思いを……。
あ゛ーー!! イライラする!
妖精達が言う事を聞かないなんて、本来気まぐれな妖精達だけど、全くなんて……こんな事は初めてだ。
よりにもよってシェラザード様の前で!!
あ゛ーーっ!! 本当最悪だわ。
これもあの憎たらしい人族の女ルチアのせいだわ。
もう許さないんだから。
でも。どーやって嫌な目に遭わせてやろうかしら……?
あっそうだ! あの男を使おうかしら。私の事を愛し子様って崇拝してるから、あいつなら何でも言う事を聞くわね。
良い事思いついちゃった!
ふふ。私ってば天才。
お楽しみは明日ね。クスッ
さぁてと……あいつに頼みに行こおーっと。今なら教室にいるはず。
「愛し子シャリオン様! 本当にその人族の女を口説き落としたら、私をシャリオン様の親衛隊に入れてくれるのですね? 絶対に約束ですよ?」
「……ちゃんと成功したらね?」
「任せてください。必ずや私の虜にして見せます」
「ふふっ。貴方はエルフ族で一番の人タラシなのよね? 期待してるからね!」
これであの女が虜になれば。ふふふっ
★★★
魔法学園には大きなカフェテリアが城内にあり、みんなそこでお昼のランチを食べたり友達と雑談したりしてる。
私もカフェテリアに行って食べるのを、少しだけ楽しみにしてたんだけど。
休み時間は、毎回学園長室に行く事に。
今日も学園長室にて、白ちゃん黒ちゃんそれにシェラ様が、用意してくれた豪華なランチを、四人で食べている。
凄く美味しいし……楽しいんだけど。
『ルチィ? 食べないのか? ん?』
もぐ。
私はいつもの如く、シェラ様の膝の上で、ご飯を食べさせて貰っている。
以前に、たまには自分で食べたいって言ったら、今にも泣きそうな顔するので、それ以来言ってない。
もぐ。
ーーシェラよ! ルチィが可愛いのは分かるけど、お昼くらい自由にさせてあげたら?
『うぬぅ……』
ーー朝と夜は一緒なんだから良いだろ。
『嫌だ。他の時間を我慢してるのだ。ルチィが足りぬ』
ーールチィが足りぬって……はぁ。お前は俺たちと違ってルチィの魔力を食べないだろ? なにが足りないんだよ!
もぐもぐ。
その気持ちは嬉しいんだけど。
シェラ様がお昼は一緒が良いとゴネるので、カフェには未だ行った事がない。
まぁ……ここでのランチも楽しいんだけど。
一回で良いから行ってみたいかな。よし、今度お願いしよ。
あっ!!
そう言えば、先生に渡すプリントがあったんだった! お昼にみんなの分まとめて持って行く約束をしてたのに。
すっかり忘れてた!
時計を見ると……
まだ時間……はある!
「私ちょっと先生にプリントを届ける約束してたから! 今から渡してくる」
『それなら俺が、渡してやろう』
「委員長のお仕事です。特別扱いはなし!」
ーーじゃ僕が一緒に行くよ
「白ちゃん大丈夫! 直ぐに帰って来るから待っててねーっ!」
心配性のみんなを振り切り強引に学園長室を出た。
ほんと心配性すぎるよ。もう小さな子供じゃないのになぁ。未だに子供扱いなんだから。
でもまぁ長寿のみんなからしたら、子供になるのかぁ……
教室につくと、頼まれたプリントをが置いてある場所へと一目散に歩いて行く。
えーと。プリント? あれ?!
おかしいなぁ。教室のこの棚にまとめてここに置いたはずなのに。
「探し物はこれかな?」
キョロキョロしていたら突然背後から声をかけられる。
わっ!?エルフ族の人。確か同じクラスだよね? 誰も居なかったのに、急に現れたからちょっとビックリした。
「そう! ありがとう」
「私はエルフ族のラウワンと言います。同じクラス仲間。仲良くして下さいね」
そう言うと握手しようと手を出してきた。私はプリントを渡して欲しかったんだけど……。
うーん。この場面で握手しないと、さすがに感じ悪いよね。
「よろしくね」
そう返事を返し、出された手を握る。
あれ?
握手した手を離してくれない。
「あのっ手「良かったらこのままカフェにでも行きませんか?」
(人族の女など。この見目があればホイホイついて来るだろ。落とすのなんて簡単だ。ククッ)
このエルフの人は、いきなり何を言い出してるの? 行くわけないじゃん。
「今から先生の所にプリントを持って行くので無理」
「そうでしょう行っ……えっ? むっ無理?」
オッケーするとでも思ってたんだろうか? 私に断られ、エルフの人は驚きを隠せないでいる。
「手を離してくれる?」
「まぁ、そー言わずにさ……? ギャッ!」
突如ラウワンさんの悲鳴が聞こえたと思ったら。
シェラ様が目の前に現れて、ラウワンさんの頭を片手で掴んで持ち上げてる。
『のう? 誰の手を握っておるのだ?』
「あああっあの……」
『ルチィが離してと言うておるのに、離さなかった手はこの手かなぁ?』
シェラ様がラウワンさんの右手を握る。ラウワンさんは真っ青だ。
『この手はいらんの。ん?』
バキバキッ
「ギャアァァァーッ」
シェラ様が手を握り潰した。
「竜王シッシェラザード様! 私は何かしましたか?」
ラウワンさんが涙目になりながらも、必死に声をだし自分の何がわるいのだと聞いている。
『ほう? 分からんのか? そんなバカな頭はいらぬのう。今度は頭を握り潰してやろうか?』
その返事に、ラウワンさんは怖すぎて失神寸前。
「シェラ様!もう大丈夫だから!ねっ」
私は二人の間に割って入り、シェラ様の腕を引っ張る。
でもシェラ様は、断固として掴んだ頭を離さない。
怒り過ぎて、周りの声が聞こえてない。このままだと本当に頭を潰しかねない。
私の手しか握ってないのに、頭潰されるとか、そんな事になったら大変だよ!
どうしよ……考えるのよルチア!
「あっ!!」
そうだ! これならっ……恥ずかしいけれど……。
「シェラ様!」
『うん?』
「今すぐに抱っこして欲しい」
精一杯かわいくオネダリをする。恥ずかしいよう。
するとシェラ様は、ラウワンさんをポイッと放り投げ。直ぐに私を抱っこした。
『ルチィから抱っこしてなど、初めて言ってくれたな。嬉しいな』
とろける笑顔でそう言うと、おでこにキスをする。ヤバイまた私真っ赤。
『おい、そこのエルフよ? ルチアは我の番だ。二度と近寄るでない。分かったの?』
「つつつっ番様!!!」
ブルブルブル……とラウワンさんの震えが止まらない。
「ももっ申し訳ございません! 二度と……二度と近寄りません!!」
ラウワンさんは、おでこを地面に擦り付け土下座している。
そこまでしなくても……。
『エルフよ? この話は誰にも言うでないぞ?』
「はっはい! 絶対に誰にも言いません!」
『もしも、誰かに話した場合どうなるか分かるの? お主の頭が大事ならの』
「ヒィッッ!! 絶対に絶対に言いません!」
ーーシェラ! もういいだろ!
いつの間にか白ちゃん黒ちゃんも教室に居た。
ーー休み時間が残り少なくなって来たから、そろそろ皆教室に帰って来るぞ。
『ふぅむ。もう少しルチィを抱っこしたかったの』
ーールチィは俺たちと先生の所に、プリント持って行くから。シェラはもう帰れ。
私達は震えるラウワンさんを教室に残して、出て行った。
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