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ルチア十歳、断罪&冒険編
こりないファミール
しおりを挟む獣王様達の後を追って、私とシェラ様も黒ちゃん白ちゃんのいる部屋に行くと。
ん?
なんだろう部屋が騒がしい。
「どうしたのかな?」
『とりあえず中に入ってみよう』
シェラ様が扉を開けると、慌てている獣王様の姿が、隙間から見える。
何をそんなに慌てて?
「ファミール! お前は何バカな事を言ってるんだ!」
「何って? だーかーらぁさっきから言ってるでしょ?」
「この白い子と黒い子に、私の付き人にならない? って聞いてるだけよ!」
「お前は! 誰に言ってるのか理解してないだろ?!」
「はぁ?」
うわぁ……ワガママ愛し子さんもいた。何やら獣王様と揉めている。
獣王様の顔が激怒し過ぎて、毛が逆立っている。……やばく無い? この状況!
シェラ様に抱っこされた状態で、呆然と見ていたら白ちゃんと目があった。
『あっ! ルチィ、良い所にきた! 困ってたんだよー』
『本当だぜ、ゆっくり昼寝でもしようかと思ってたら、急にこのクソ女が現れてさぁ。五月蝿くって仕方ねー』
「なっ……何ですって?!」
ファミールさんが金切り声で怒る。
「あのう……? 白ちゃんと黒ちゃんも嫌がってるから、諦めて貰っていい?」
「えっ? 嫌っあっ……分かりました。ルチア様」
えーーっどしたの? 急に素直に?!
「ルチア殿、ありがとうございます。ファミはルチアーノ殿には逆らえないからの!」
あっ……愛し子の勝負!
そうか……これが逆らえないってヤツだ。
あのワガママな愛し子さんが、こんなに分かり安く言うことを聞くなんて……効果が凄すぎる。
ーーなぁルチィ! この女に二度と近づくなって言って?
ーーだな! まじで鬱陶しいしな。こんな奴に俺たちの力を使うのも、アホらしくてさぁ。
白ちゃん、黒ちゃんが頼んだよと、念話を送ってくる。
えー……? 私が言うのそれを? 言いづらいなぁ……はぁ。
チラリと見ると、二匹がお願いっと目で必死に訴えてくる。
はぁ……これは言うしかないか。
「えっと……愛し子ファミさん?今後聖獣の白ちゃんと黒ちゃんには近づかないで下さい。絶対です!」
「へっ……⁈ 今なっなんて……?せっ? 聖獣様? って言った? どーゆー事?」
動揺しているファミールさんの前で、白ちゃんと黒ちゃんが元の聖獣の姿に戻る。もちろん隠していた力も解放して。
「ひゃわっ!? せせっ聖獣様!!」
その姿を見たファミールさんは血の気が引いている。
二匹の前でブルブルと震えながら土下座をした。
凄い……この態度の変わり様。
「今更遅いわファミ︎よ? お前は聖獣様に無礼な行為をした。もう二度と近づけない。」
「……そっそんな!」
ファミールさんは涙目で頭を横に振りながら、嫌だ嫌だと訴えている。
「それに、ファミールさん。貴方は私欲に妖精さん達を使って居ると聞きました! 二度と妖精さんを私欲に使わないで下さいね!」
「なっ……?! 私欲になんて!…………わかりました」
そう言った後ガックリ……と頭を垂れた。
でも今まで我が儘ばかりだったんだもん。自業自得だよね。
「ルチィ様、獣人国の事まで気を遣って頂き、本当にありがとうございます!」
ミミィさんが瞳をウルウルさせながら抱きついて来た!!
ウプッ……!?
大きな胸に挟まれて……息が出来ない!
「……ちょっ……! プハッふう……」
はぁっ死ぬかと思った。
「あわっ……申し訳ありませんっ!」
ミミィさんは顔を真っ赤にして謝ってくれた。いやね。可愛いいから良いのだけど。
ーーあはは! まぁこれで解決だね。
白ちゃんが尻尾をふりふり、撫でてと、私の手に顔を近付けてきた。むうっ可愛いなぁ。
「ではこれは提案なのですが、迷惑をかけたお詫びも兼ね。獣人国に来てくれた歓迎の宴を盛大にしようではないか!」
歓迎の宴? なにその楽しそうな名前は。
「好きな物を何でも用意させよう! リクエストをジャンジャン言ってくれ!」
それを聞いた聖獣様二匹のしっぽがご機嫌に揺れる。ぶぷっ分かりやすいんだから。
ーー良いねー!! 僕は辛く無いのが良いね!
ーー俺は美味いのなら何でも!
ふふ。獣人国の宴かぁ……どんな事するのかな。
楽しみだ♪
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