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ルチア十歳、断罪&冒険編
ええと……ざまぁの意味わかってる?
しおりを挟む「あの? 竜王様?」
『シェラ』
「ええと……」
『シ・ェ・ラ』
・・・・・
困った。名前をちゃんと呼ばないと先に進まない。
言いたい事を言うには、中々ハードルが高い。
「……シッ……シェラ様、下に降ろして欲しいんですが」
『何で?……俺は可愛いルチィとくっついていたいだが?』
ダメだ……全く話にならない。
十歳って言っても、二十五歳まで日本人として生きていた記憶もある。
流石にずっと抱っこは恥ずかしいのだ。
この竜王様は【シェラザード・リュ・バハムート】と言う名前で八百歳くらいなんだとか。歴代の竜王様の中でも桁違いに強いらしい。
中々番が現れないので、周りも必死になって番を探していたと。
竜人族の番は、遅くても五百歳くらいまでには見つかるらしい。
なのにこの竜王シェラ様には、番が五百年過ぎても現れず……皆が心配していたんだとか。
エルフのガウディさんが、その辺りを詳しく教えてくれた。
そして……。
その待ち望んでいた番が私。
そんな壮大な話を聞かされても、正直……実感がわかない。
しかもだよ? こんな十八歳くらいにしか見えない見た目で八百歳とか、意味が分かんない。
桁が違う。
前世の記憶を入れたら三十五歳とかって大人振ってたけど。
竜王様の年齢と比べたら、私またまだ赤ちゃんだわ。
そして現在。
抱っこは恥ずかしいと色々と話し合いをした結果、私は竜王様の膝の上に座る事に落ち着いた。いやね? これも恥ずかしいんだけどね。
白ちゃん、黒ちゃんも、竜王シェラ様が何を言っても断固として私から離れないから、諦めたみたい。
なんだろう。私は雛鳥の親にでもなった気分だ。かなり大きいけどね。
部下の人達を待っている間、私はシェラ様の膝の上で、どれだけ義母たちに【ざまぁ】をしたいのかを熱く語っていると。
「竜王様! 全て分かりました」
え?
調べに行っていた二人が、早くも戻ってきた!
全てわかった? だってまだ調べに行って、三十分位しかたってないよ?
「余りにも稚拙なため、ボロボロとたくさん余罪も出て来ました」
『ククッ……やはりな、馬鹿は容易いな』
『ではルチィ、行こうか?』
「えっ?何処に?」
『聖女認定式の会場にだよ? もう始まってるだろう。ルチィはザマァ? とやらをしたいのであろ?』
ああそうだった。
そうは言いましたが……。
本当に? こんな早くに全てがわかったの?
部下の人達のスキル、ヤバすぎだよね。
竜王様は私を抱っこして、 会場に向かってスタスタと足早に歩きだした。
ちょっと待って? ザマァの作戦とか内容とか……私全く聞いてませんよ!?
竜王様? ザマァの意味ちゃんとわかってる?
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