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ルチア十歳、断罪&冒険編

閑話 リディア

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 私は小さな時から、欲しい物は何だって手に入れてきた。

 今まで誰かを羨ましいと思った事など、一度だってなかった。
 あのルチアに会うまでは!

 お母様がお金持ちの侯爵様と再婚すると、その話を聞いた時はビックリした! 嬉しさで舞い上がり、侯爵家に行くのが楽しみで仕方なかった。

 侯爵家に初めて挨拶に行った時、ルチアがいた!
 陶器のように白く透き通った肌、宝石の様な瞳。光を浴びると銀色に輝く薄紫色の髪。こんな綺麗な子見た事ない……。
 さらには高そうで綺麗なドレスを着て立っているその姿は、絵本に出てくる主人公のお姫様かと思った。ギリッ


 悔しい……主人公は私。
 お姫様でチヤホヤされるのは、いつだって私なのに!
 ルチアが仲良くして欲しそうに話かけてきた。誰かお前何かと仲良くしてやるもんか。

 お前の立つその場所は、私のだ! 全て奪ってやる……

 それからお母様と一緒にルチアを虐めるのは楽しかった。
 あんなに綺麗で輝いていたルチア、今ではこ汚い召使いみたいな姿。陶器のように煌めいていた肌はカサカサ、美しく銀色に輝く薄紫色の髪は灰色でボサボサ。

クスクスッ
「あーっ気分がいいわぁー」

……なのに何故か時々、まだルチアに負けた様な、惨めな気持ちになる。こんな時はいつもより沢山虐めるの。はぁー……スッキリ。

 でも、こんな気持ちも無くなるだろう……!
 だって私は聖女様だったんだもの!!!

「聖女様よ!」

 皆が私を褒め奉る。最高に気持ちいい。

 今日は王様から聖女認定をしてもらえる認定式がある!
 ここでの主役は私! ふふっ。

 あの見窄みすぼらしくなったルチアにも、みんなから崇められている私を、見せてあげないとね? 
 ついでに集まった皆の前で、皇子様との婚約破棄もしてあげるわね? 公衆の面前で婚約破棄されるなんて、さぞや恥をかくことでしょうねー!

「ぐふふっ」

 想像するだけで、笑いが込み上げちゃう。
 あーっ今から楽しみで仕方ないわ。
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