54 / 77
エスメラルダ帝国
森を護る者
しおりを挟む
『コイツもしかして……ミントを利用している悪い奴じゃ? パンチをくれてやろうか? オラオラ』
謎の生命体が俺の周りをブンブンと飛びながら、文句を言っている。
全部俺に聞こえてんぞ? 何だその変なファイティングポーズは。めっちゃくそ弱そうなんだが。
この羽の生えたやつ、アレに似てるんだよな。よくファンタジー映画に登場する……ええとなんてったけ? そうそう妖精。
余りにも俺の周りをブンブン飛んで鬱陶しいので、隙をついて羽根を捕まえてやった。
『えっ!? なんで!? 僕のことが見えるの?』
羽根を俺に捕まれ、身動きが取れなくなった妖精もどきは、足をバタバタさせ暴れている。
「見えてるし、声も聞こえてるぜ! さっきから好き放題言ってくれたな?」
俺は人差し指で謎の生命体の頭を軽くつついた。
『ぼっ、僕が見えるなんて……!? そんな人族初めてだ! さてはお前っ人族じゃないな?』
……ったく、いちいち失礼なヤツだな?
「人族だよ! ってかお前こそなんだよ」
妖精を俺の顔近くまで持って来て睨む。
『……ななっ、何って? 僕はこの森を守る精霊だよ! 森の精霊王さっ。そんな目でみるなよ! 精霊王に失礼だぞ』
謎の生命体は、自分の事を精霊王などと言い出した。コイツが?
「……精霊王? お前が?」
マジか? とつい眉間に皺を寄せてしまう。
『まっ、また怖い顔して! 全く怖くないんだから! 僕は本来、お前如きが話を出来る存在じゃないんだ。ありがたく思え!』
精霊王がこれでもかと踏ん反り返る。
「で……そんな凄い存在のお前は、ミントとどう言う関係なんだ? ミントの周りをウロチョロして」
『ウロチョロ!? 失礼な言い方だな! 僕はこのミントに助けられたからその恩を返したくて……』
「助けられた?」
『そうだよ』
この精霊王は宿木が本体らしく、ある日一本の宿木が枯れかけた時、ミントが必死に水やりをして、自分を助けてくれたんだとか、それ以来ミントにだけ特別に、宿木の葉がある場所に案内しているらしい。
ミントが言ってたキラキラ道が光って見えるってのは、精霊王の事だったんだ。
『僕はミントが水に困っているって知って、やっと恩返しができるからもっと助けてあげたいんだけど、ミントには僕の声も姿も分からなくて……』
なるほどな。コイツ良い奴じゃねーか。
「分かった。ミントにはお前の気持ちを、俺がちゃんと伝えてやるから!」
『ホントか!? お前良い奴だな』
精霊王が俺の周りを楽しそうにくるくると飛んでいる。
「お待たせしました。葉っぱを十枚頂いたので帰りましょう」
俺が精霊王の相手をしてる間に、ミントが葉っぱを摘み終わりやって来た。
「もう終わったのか。じゃっ、帰るか」
俺は再びミントを担ぎ、精霊王に軽く手を振りその場を去っていった。
「今誰に手を振ったの?」
精霊王に手を振ったのをミントに見られていたらしく、不思議そうに質問してきた。
「へっ? ああコレはな。お前の事が大好きな森の精霊王に手を振ったのさ」
「森の精霊王!?」
「ああ。またゆっくりその話はさせてくれ」
「うん! 絶対だよ」
ミントはそう言うとお日様のような笑顔で笑った。
★★★
「……これが井戸!?」
どう見ても街の広場で見た井戸とは、雲泥の差がある。
不衛生で……この水を飲んでいたのかと思うと吐き気がする程に泥水にしか見えない。
「うん……今は水が湧き出てくれないから余計に…….酷いよね」
街外れにある場所に、ミント達下民が使う井戸かあった。
その周りには掘建小屋が、いくつも軒を連ねている。
この街の外に建てられた掘建小屋が下民が住む家らしい。
「なんだこれ……」
どう考えても、人がまともに暮らせるような状況じゃない。
なんで家が街の外なんだ。
余りにも酷い下民差別に嫌気がさす。
『らんどーちゃま、ワレに良いアイデアがあると言ったのを忘れたでちか?』
余りにも酷い状況に何も言えずに固まっていたら。
琥珀が一歩前に出てドヤり出した。
「琥珀?」
『ワレを使って奪った亀の聖印を使うんでちよ!』
「わりぇ。きゃふふ」
琥珀を使って奪ったって……アイツ……ルミ野郎から奪った聖印の亀の事か!?
それをどう使うんだ?
謎の生命体が俺の周りをブンブンと飛びながら、文句を言っている。
全部俺に聞こえてんぞ? 何だその変なファイティングポーズは。めっちゃくそ弱そうなんだが。
この羽の生えたやつ、アレに似てるんだよな。よくファンタジー映画に登場する……ええとなんてったけ? そうそう妖精。
余りにも俺の周りをブンブン飛んで鬱陶しいので、隙をついて羽根を捕まえてやった。
『えっ!? なんで!? 僕のことが見えるの?』
羽根を俺に捕まれ、身動きが取れなくなった妖精もどきは、足をバタバタさせ暴れている。
「見えてるし、声も聞こえてるぜ! さっきから好き放題言ってくれたな?」
俺は人差し指で謎の生命体の頭を軽くつついた。
『ぼっ、僕が見えるなんて……!? そんな人族初めてだ! さてはお前っ人族じゃないな?』
……ったく、いちいち失礼なヤツだな?
「人族だよ! ってかお前こそなんだよ」
妖精を俺の顔近くまで持って来て睨む。
『……ななっ、何って? 僕はこの森を守る精霊だよ! 森の精霊王さっ。そんな目でみるなよ! 精霊王に失礼だぞ』
謎の生命体は、自分の事を精霊王などと言い出した。コイツが?
「……精霊王? お前が?」
マジか? とつい眉間に皺を寄せてしまう。
『まっ、また怖い顔して! 全く怖くないんだから! 僕は本来、お前如きが話を出来る存在じゃないんだ。ありがたく思え!』
精霊王がこれでもかと踏ん反り返る。
「で……そんな凄い存在のお前は、ミントとどう言う関係なんだ? ミントの周りをウロチョロして」
『ウロチョロ!? 失礼な言い方だな! 僕はこのミントに助けられたからその恩を返したくて……』
「助けられた?」
『そうだよ』
この精霊王は宿木が本体らしく、ある日一本の宿木が枯れかけた時、ミントが必死に水やりをして、自分を助けてくれたんだとか、それ以来ミントにだけ特別に、宿木の葉がある場所に案内しているらしい。
ミントが言ってたキラキラ道が光って見えるってのは、精霊王の事だったんだ。
『僕はミントが水に困っているって知って、やっと恩返しができるからもっと助けてあげたいんだけど、ミントには僕の声も姿も分からなくて……』
なるほどな。コイツ良い奴じゃねーか。
「分かった。ミントにはお前の気持ちを、俺がちゃんと伝えてやるから!」
『ホントか!? お前良い奴だな』
精霊王が俺の周りを楽しそうにくるくると飛んでいる。
「お待たせしました。葉っぱを十枚頂いたので帰りましょう」
俺が精霊王の相手をしてる間に、ミントが葉っぱを摘み終わりやって来た。
「もう終わったのか。じゃっ、帰るか」
俺は再びミントを担ぎ、精霊王に軽く手を振りその場を去っていった。
「今誰に手を振ったの?」
精霊王に手を振ったのをミントに見られていたらしく、不思議そうに質問してきた。
「へっ? ああコレはな。お前の事が大好きな森の精霊王に手を振ったのさ」
「森の精霊王!?」
「ああ。またゆっくりその話はさせてくれ」
「うん! 絶対だよ」
ミントはそう言うとお日様のような笑顔で笑った。
★★★
「……これが井戸!?」
どう見ても街の広場で見た井戸とは、雲泥の差がある。
不衛生で……この水を飲んでいたのかと思うと吐き気がする程に泥水にしか見えない。
「うん……今は水が湧き出てくれないから余計に…….酷いよね」
街外れにある場所に、ミント達下民が使う井戸かあった。
その周りには掘建小屋が、いくつも軒を連ねている。
この街の外に建てられた掘建小屋が下民が住む家らしい。
「なんだこれ……」
どう考えても、人がまともに暮らせるような状況じゃない。
なんで家が街の外なんだ。
余りにも酷い下民差別に嫌気がさす。
『らんどーちゃま、ワレに良いアイデアがあると言ったのを忘れたでちか?』
余りにも酷い状況に何も言えずに固まっていたら。
琥珀が一歩前に出てドヤり出した。
「琥珀?」
『ワレを使って奪った亀の聖印を使うんでちよ!』
「わりぇ。きゃふふ」
琥珀を使って奪ったって……アイツ……ルミ野郎から奪った聖印の亀の事か!?
それをどう使うんだ?
87
お気に入りに追加
1,396
あなたにおすすめの小説
【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい
斑目 ごたく
ファンタジー
「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。
さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。
失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。
彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。
そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。
彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。
そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。
やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。
これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。
火・木・土曜日20:10、定期更新中。
この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する
大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作
《あらすじ》
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。
皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。
そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。
花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。
ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。
この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。
だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。
犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。
俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。
こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。
俺はメンバーの為に必死に頑張った。
なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎
そんな無能な俺が後に……
SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する
主人公ティーゴの活躍とは裏腹に
深緑の牙はどんどん転落して行く……
基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。
たまに人の為にもふもふ無双します。
ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。
もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。
千変万化の最強王〜底辺探索者だった俺は自宅にできたダンジョンで世界最強になって無双する〜
星影 迅
ファンタジー
およそ30年前、地球にはダンジョンが出現した。それは人々に希望や憧れを与え、そして同時に、絶望と恐怖も与えた──。
最弱探索者高校の底辺である宝晶千縁は今日もスライムのみを狩る生活をしていた。夏休みが迫る中、千縁はこのままじゃ“目的”を達成できる日は来ない、と命をかける覚悟をする。
千縁が心から強くなりたいと、そう願った時──自宅のリビングにダンジョンが出現していた!
そこでスキルに目覚めた千縁は、自らの目標のため、我が道を歩き出す……!
7つの人格を宿し、7つの性格を操る主人公の1読で7回楽しめる現代ファンタジー、開幕!
コメントでキャラを呼ぶと返事をくれるかも!(,,> <,,)
カクヨムにて先行連載中!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる