世界の終焉

ぴんくじん

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日曜日

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ある日のこと。その日は日曜日だった。

快晴だった。太陽が作り物のようにくっきりとした姿を見せていた。

快晴の日曜日。人殺しでさえも、笑顔で街を歩いてしまいそうなシチュエーションだ。

無垢で優しくて純粋な主人公みたいな僕は、意識せずとも笑顔でスキップをしていた。

「みんなが愛おしいな。お金があるなら、視界に入る人間みんなにお金を配りたいな」

僕は自分のガマ口財布を開けてみた。一円玉が30枚程ひしめき合っていた。僕は笑顔で財布を閉じた。

「愛というのは目に見えないからいいんだよな。もし目に見えるものだったら、ワクワク感が薄まるもんな。愛3980円とかで店に並んでたら嫌だもんな。まぁ俺は彼女に無償で愛を配られるんですけどね」

はぁー幸せだなぁ~と呟きながらスキップをしていると、スキップのップぐらいで人にぶつかってしまった。

「あぁーなんてこと。ごめんなさい。お怪我はございませんか」

「オラァコラァ!どこに目ん玉付いてんだボケェ」

僕の紳士的な丁寧な謝罪に対しての返答とは到底思えない、バーバリアンな返答が返ってきた。

「え...あの...顔に付いてます」

真っ白なキャンパスに唐突に泥団子を投げられたような、理解不能な状態に陥り、思わず狼狽えてしまう。

「あぁん?舐めてんのかコラァ?
お前のその使えない目ん玉引き抜いて、代わりにビー玉埋め込むぞオラァ」

僕は質問されたから真摯に答えただけだ。それなのに何故、逆ギレされるのだろう。こいつは頭がおかしいのか。

「いえ、質問に答えたまでです。あなたがどこに目ん玉付いてんだと聞いてきたので」

笑顔が足りなかったのだろうか?僕は、天使にも参考にされそうな程のベストスマイルをバーバリアンに向けた。

「あまり舐めてるといてまうぞワレ!ファーストいてまうぞワレの後にセカンドいてまうぞワレもあるぞワレ」

ワレワレうるさいな宇宙人か。しかし僕は高尚な人間である。思ったことをすぐに口に出したりはしない。

「分かりました。なにが目的ですか?手短に話してください」

もう構ってはいられない。僕の煌びやかな寿命を1ミリ秒もこの男に与えたくない。彼女も待ってるし。

「金だよ金。大人が迷惑をかけた時は謝罪だけではどうにもならないこと知ってるだろ。金を払わないとなぁ~、なぁ!金払え」

フッ。彼女が待っていなければな。正義の為にしか振るうことがない僕の拳が炸裂するところだ。運がいい男め。

「分かりました。さぁ!受け取りなさい」

僕は優雅にガマ口財布を投げてよこした。

「へへ、話がはえーじゃねーか。どれどれ中身は...っておい!なんだこれ。一円玉しか入ってねぇーじゃねーか!舐めてんのか」

「お前のような醜い腐った心では一円玉にしか見えないのだろうな。だがな、清廉な僕の瞳には1カラットのダイヤモンドがひしめき合って見えるぜ」

どうやら僕との人間力の差をまざまざと見せつけられ落胆しているらしい。バーバリアンが口を開けて固まっている。

「最後に問おう。名前は」

「わ...渡部」

「渡部君。君にも幸があるように頼んでみよう。神様と友達の僕がね。では、さらば!トゥ」

作り物のようにくっきりした姿の太陽に向かってジャンプする。

彼女の女体を思いながら。今日はどこを責めてやろうか!とね。
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