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二章、後編 聖地の落とし物

41話 隠れ家

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 道なき道を突き進む。ほどなくして、私たちの目の前にお社おやしろが現れた。
 教会が誕生する以前に、人々によって信仰されていた神様の家。
 両脇には縦一列に石灯篭いしとうろうが並んでいる。

「あれ、キィーナは?」
 先頭にいた彼女の姿が見えないことに気づくと一瞬、慌てふためいてしまった。
 ソフィーが無言で灯篭の一つを指差した。

 よく見ると白い尻尾が生えている。
 頭隠して尾を隠さずとはこういうことだろう。
 本人は隠れながらも、私たち見つけて欲しくてわざと証拠をさらしている。
 無邪気な子供のちょっとした遊びだ。

「キィーナ、どこ? 出ておいで~!」

「ディ、ここだよー!!」

 たまには、こういう遊びに付き合うのも悪くない。
 わざと探すふりをしながら、辺り見回す。
 苔むした灯篭のそばで、彼女の尻尾が揺れている。
 こんなやり取りを何度か繰り返し「見ぃつけた!」と隠れていた彼女の背に飛びつく。
 キャキャ、言いながらキィーナははしゃいでいた。
 その手を取り皆でお社の前へと向かうと両手を合わせ軽くお辞儀をした。

 いくら神官である私でも、お社についてはさほど詳しくない。
 なので正しい礼儀作法も曖昧である。
 あまりにスッキリしないので、そこは御愛嬌と笑ってみせた。
 ソフィーもちゃんと神様に挨拶しようとする心があれば問題ないと言ってくれたので、気に留めておく程度で済ませた。

「この横道を進んだ所に、私たちの隠れ家があります」
 左側の脇道を見ながらソフィーは頷いた。
 この先にある道は、木々の枝葉がアーチ状に伸びて、新緑の小トンネルを造っていた。

「そんでもって、反対の道を進めば結界が張られている聖域ね」
 右側に視線を移し、森林を眺める。まったくもって静けさだけが辺りを支配している。
 本当に遺跡の中で大型魔物が暴れているのか、怪しい。


「どうしますか? さきに聖域の方へ行って調査を開始しますか?」

「いいや、ソフィーのおばあ様に会うのが先決だよ。村に滞在する時間はまだあるから急がなくて問題ないよ」

 今度はソフィーを先頭にしてトンネル小路を渡ることになった。
 長さ、数十メートルのトンネルをくぐり抜けた先に、あったのは隠れ家どころか集落だった。
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