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最後の魔女79 待ち伏せ
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今私たちは、とても強いボスがいると言うダンジョンの入り口へ来ていた。
この場には、私とリグ、剣王ドレイク、それと眷属《シャナリオーゼ》のシュリ。
「まさかこの嬢ちゃんが、生きておったとはな。流石に驚いたぞ。儂のせいで死なせてしまったのではないかと心配しておったんじゃ」
「実に不快です。リア様の命令でなければこの場で血祭りにしていたところです」
「激しく同意ね」
お爺さんにガンを飛ばすリグ。幼女がガンを飛ばしても可愛いだけなのにね。シュリも相変わらずお爺さんのことを嫌っていた。
最初も私が行くから仕方なしと嫌々ついて来ていたし。先が思いやられる。気持ちは分かるけど。
「儂が先導しよう」
道中の散策と、念の為周りを警戒しておいた方がいいかな。私だって実の所、このお爺さんを信用している訳ではない。寧ろ信用出来る訳がない。寝首をかかれないように注意しないと。
そっと気付かれないように、ダンジョンの入り口に眷属を忍ばせておく。
(手分けして、ここら一帯の調査と誰か入って来たら教えてね)
さて、後はダンジョンボスだけど、はたして私たちだけで勝てるのだろうか。中に入ると倒すまで出られない系のギミックらしいし。倒せなければそれ即ち死ってことだよね。最悪扉が開かないだけなら転移が使えるかもしれないけど。
お爺さんの言う通り、ダンジョンの中なのに道中は敵と遭遇することなく、巨大な扉の前まで辿り着いた。
「覚悟はいいかの?」
「お姉様は危険ですのでここで待っていて下さい。中へは私たちだけで入ります」
その時、微かな敵意を感じた。それは本当に極々僅かな感違いとも思えるものだった。私でなきゃ、見逃してたね、なんて。
中へ入ると、中央に何かの死体が横たわっていた。ドラゴンみたいなシルエットだろうか。それを見た瞬間私以外の二人が臨戦体制となった。まぁ、討伐対象が死んでいたら誰だって警戒する。
そんなタイミングで扉がバタンと閉まる。誰かが閉めた訳ではなく、そういう術式が施されていたのだろう。扉の外の方からは誰の気配を感じなかったからね。
さてと、やられたね。
「お爺さん、説明して」
どうみてもこれは罠にはめられたらしい。
「騙してすまんな嬢ちゃん。じゃがな、この世界の平穏の為には悪魔とその一派は邪魔なんじゃよ」
部屋の中から無数の反応が伺える。だけど目には見えない。隠蔽か何かを使っているのだろうか。
「私たちは何も悪さをしてない。だのにその命を奪うの?」
「うむ。もちょっと残虐非道ならばこちらもやり易いんじゃがな。儂も反対したんじゃぞ? じゃが教皇様の命は絶対なんじゃ、悪く思うな」
剣王ドレイクの合図で周りに潜んでいた者たちが一斉に姿を見せる。潜伏していた兵の一人がドレイクに剣を投げ渡す。
「あー清々するわ。やっと化けの皮を剥いだわね。これで堂々とアンタをやれるわ」
「これだから悪魔風情は。状況を見なさい。リア様を守りながらこれだけの数を相手に出来ると思いますか?」
「アンタと私なら余裕でしょ」
2人は拳と拳を合わせる。
あれ、いつの間にか仲良くなってる?
相手の数は、少なく見積もっても30弱。対する私たちの数は4(・)。もしも全員がお爺さんくらい強いのなら危なかったかもしれない。だけど、見た感じそこまで脅威とは思えない。でもたぶん、真っ向勝負ではなく、何か策をろうしていると考えるべきかな。
今までも追い詰められ窮地に陥った局面は何度かあった。だけど、私がまだ生きているのは私が一人だったから。一人ならば切り抜けることは容易かった。でも今は違う。リグと言う新しく出来た妹がいる。自分一人が逃げればいいと言う訳ではない。それに、実の所私は人を殺めたことはない。
そりゃ、極悪人は別だよ? 盗賊だとか明らかな犯罪者は何人もこの手で殺めている。
でも、今回のような私を追って来た連中は、少なくとも極悪人ではない。彼等だってそれが仕事なのだから、返り討ちで殺してしまうのは避けたい。だけどそれは私が圧倒的に優位な立場にあることが前提。恐らく用意周到に準備万端で手ぐすね引いて待ち構えているはず。そう簡単には逃げれない。命の奪い合いをしたくないなどと甘いことを言っていれば私ないしはリグの命を危険に晒すことになる。
⋯覚悟を決める時が来たのかもしれない。
こちらに勝機があるとすれば、まだお爺さんの知り得ていないカードを切る他ない。
(リア様、一時お側を離れることをお許し下さい)
(ん、許す)
シュリからの念話だった。
私は壁を背にしリグが私の前に立つ。そして、シュリが仕掛けようとしたまさにその瞬間だった。
「おっと、動かない方がいいぞ。周りを良く見るんじゃな」
中央のドラゴンの死骸が淡く光出していた。
《対魔消失結界・六》
力で劣る人族が魔法を駆使する魔族や悪魔に対抗する為に編み出された術式。対魔消失結界。別名、魔法殺しの聖域。
この結界を展開する為には、ランクによって多大な下準備といくつかのクリアしなければならない条件が存在する。
また、結界の強さには10段回のランクがあり、今回ドレイクたちが準備したのは、最高位の十から4つ下の六。
この結界は、悪魔と魔族に対して移動阻害の効果があった。
リグが苦しそうにその場で膝をつく。
「ぐぅ⋯卑怯よ!」
「悪く思うな。確実にお前さん方を仕留める為じゃ」
シュリの方はと言うと、まるで時間を止められたかのようにその場で硬直していた。
そのシュリ目掛けて、剣士の青年が大剣を振り下ろす。
この場には、私とリグ、剣王ドレイク、それと眷属《シャナリオーゼ》のシュリ。
「まさかこの嬢ちゃんが、生きておったとはな。流石に驚いたぞ。儂のせいで死なせてしまったのではないかと心配しておったんじゃ」
「実に不快です。リア様の命令でなければこの場で血祭りにしていたところです」
「激しく同意ね」
お爺さんにガンを飛ばすリグ。幼女がガンを飛ばしても可愛いだけなのにね。シュリも相変わらずお爺さんのことを嫌っていた。
最初も私が行くから仕方なしと嫌々ついて来ていたし。先が思いやられる。気持ちは分かるけど。
「儂が先導しよう」
道中の散策と、念の為周りを警戒しておいた方がいいかな。私だって実の所、このお爺さんを信用している訳ではない。寧ろ信用出来る訳がない。寝首をかかれないように注意しないと。
そっと気付かれないように、ダンジョンの入り口に眷属を忍ばせておく。
(手分けして、ここら一帯の調査と誰か入って来たら教えてね)
さて、後はダンジョンボスだけど、はたして私たちだけで勝てるのだろうか。中に入ると倒すまで出られない系のギミックらしいし。倒せなければそれ即ち死ってことだよね。最悪扉が開かないだけなら転移が使えるかもしれないけど。
お爺さんの言う通り、ダンジョンの中なのに道中は敵と遭遇することなく、巨大な扉の前まで辿り着いた。
「覚悟はいいかの?」
「お姉様は危険ですのでここで待っていて下さい。中へは私たちだけで入ります」
その時、微かな敵意を感じた。それは本当に極々僅かな感違いとも思えるものだった。私でなきゃ、見逃してたね、なんて。
中へ入ると、中央に何かの死体が横たわっていた。ドラゴンみたいなシルエットだろうか。それを見た瞬間私以外の二人が臨戦体制となった。まぁ、討伐対象が死んでいたら誰だって警戒する。
そんなタイミングで扉がバタンと閉まる。誰かが閉めた訳ではなく、そういう術式が施されていたのだろう。扉の外の方からは誰の気配を感じなかったからね。
さてと、やられたね。
「お爺さん、説明して」
どうみてもこれは罠にはめられたらしい。
「騙してすまんな嬢ちゃん。じゃがな、この世界の平穏の為には悪魔とその一派は邪魔なんじゃよ」
部屋の中から無数の反応が伺える。だけど目には見えない。隠蔽か何かを使っているのだろうか。
「私たちは何も悪さをしてない。だのにその命を奪うの?」
「うむ。もちょっと残虐非道ならばこちらもやり易いんじゃがな。儂も反対したんじゃぞ? じゃが教皇様の命は絶対なんじゃ、悪く思うな」
剣王ドレイクの合図で周りに潜んでいた者たちが一斉に姿を見せる。潜伏していた兵の一人がドレイクに剣を投げ渡す。
「あー清々するわ。やっと化けの皮を剥いだわね。これで堂々とアンタをやれるわ」
「これだから悪魔風情は。状況を見なさい。リア様を守りながらこれだけの数を相手に出来ると思いますか?」
「アンタと私なら余裕でしょ」
2人は拳と拳を合わせる。
あれ、いつの間にか仲良くなってる?
相手の数は、少なく見積もっても30弱。対する私たちの数は4(・)。もしも全員がお爺さんくらい強いのなら危なかったかもしれない。だけど、見た感じそこまで脅威とは思えない。でもたぶん、真っ向勝負ではなく、何か策をろうしていると考えるべきかな。
今までも追い詰められ窮地に陥った局面は何度かあった。だけど、私がまだ生きているのは私が一人だったから。一人ならば切り抜けることは容易かった。でも今は違う。リグと言う新しく出来た妹がいる。自分一人が逃げればいいと言う訳ではない。それに、実の所私は人を殺めたことはない。
そりゃ、極悪人は別だよ? 盗賊だとか明らかな犯罪者は何人もこの手で殺めている。
でも、今回のような私を追って来た連中は、少なくとも極悪人ではない。彼等だってそれが仕事なのだから、返り討ちで殺してしまうのは避けたい。だけどそれは私が圧倒的に優位な立場にあることが前提。恐らく用意周到に準備万端で手ぐすね引いて待ち構えているはず。そう簡単には逃げれない。命の奪い合いをしたくないなどと甘いことを言っていれば私ないしはリグの命を危険に晒すことになる。
⋯覚悟を決める時が来たのかもしれない。
こちらに勝機があるとすれば、まだお爺さんの知り得ていないカードを切る他ない。
(リア様、一時お側を離れることをお許し下さい)
(ん、許す)
シュリからの念話だった。
私は壁を背にしリグが私の前に立つ。そして、シュリが仕掛けようとしたまさにその瞬間だった。
「おっと、動かない方がいいぞ。周りを良く見るんじゃな」
中央のドラゴンの死骸が淡く光出していた。
《対魔消失結界・六》
力で劣る人族が魔法を駆使する魔族や悪魔に対抗する為に編み出された術式。対魔消失結界。別名、魔法殺しの聖域。
この結界を展開する為には、ランクによって多大な下準備といくつかのクリアしなければならない条件が存在する。
また、結界の強さには10段回のランクがあり、今回ドレイクたちが準備したのは、最高位の十から4つ下の六。
この結界は、悪魔と魔族に対して移動阻害の効果があった。
リグが苦しそうにその場で膝をつく。
「ぐぅ⋯卑怯よ!」
「悪く思うな。確実にお前さん方を仕留める為じゃ」
シュリの方はと言うと、まるで時間を止められたかのようにその場で硬直していた。
そのシュリ目掛けて、剣士の青年が大剣を振り下ろす。
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