221 / 242
第二百二十二話: 精霊界2
しおりを挟む
振り向いた先に居たのは、人型サイズになっている精霊のノアだった。
隣に、見知らぬ恐らく精霊だろう、同じく人型サイズの人物がいた。
「ノアじゃないか、久し振りだな。それにしても、ノアが敬語なんて何だか新鮮だな」
ノアは、若干頬を染める。
「しょうがないでしょ。仕来りなんだから!」
「ノアさん、お客様ですよ。親しき仲にも礼儀ありですよ」
「わ、分かってます!」
なるほど、口うるさそうな監視の目があるのね。
精霊の名前は、ククリナさんと言い、ノアの姉貴分的な存在らしい。
どちらも人型で、本当の姉妹の様に見えなくもない。
その後、ノア達に案内されて一際ゴージャスな建物の前へとやってきた。
左右に大きな穴が空いており、時折何やら呻き声が聞こえたかと思うと、そこから炎の渦だったり、竜巻だったり、渦潮だったりと、様々なものが噴き出していて、この場所が恐ろしく危険な場所だと言うのを表しているようだった。
拷問の館とかそんな感じの何かだろうか。何も知らずに近付くと酷い目に遭いそうだな。
「あれは、一体なんですか?」
ジラの疑問も最もだった。
「入れば分かります」
ぱっと見、入り口が見当たらない。
まさか、あの引っ切り無しに魔術を放出している通気口めいた場所から入るんじゃないだろうな。
最悪俺には魔術完全無効があるから問題なく通れはするだろう。だけどみんなは違う。
ククリナさんが建屋の前まで移動する。
徐に何かを唱えると、一瞬にして消えてしまった。
転移か何かか?
不思議そうに伺っていると、
「特殊な転送の術式が施してあるの。あそこの位置まで移動して、クエナ・アル・ノーズと唱えたらいいわ」
姉貴分のククリナさんがいない為か、ノアの口調がいつもの調子に戻っていた。
まずは俺が中へと入る。
今更だが、呪文めいた言葉を喋るのは些か抵抗があるんだよね。
基本、魔術を行使する時に呪文なんて唱えないしな。
恥ずかしさを押し殺して、唱えると景色が暗転した。
真っ暗な中に大小様々な球体が浮いている。
さながらその光景は宇宙と言っても過言では無い。
いや、実際俺自身も宙に浮いてる。
宇宙遊泳気分だ。
暗さを調整しているのか、薄暗い中も何とか部屋全体を見渡す事が出来た。
良く見ると、先に入ったククリナさんの姿も見える。
俺の様にジタバタせずに慣れた様子でその場にじっと佇んでいた。
遅れてジラ、クロ、セリアと最後にノアが、このヘンテコ空間に入ってくる。
ここは一体。
「お集まりの諸君。待たせて悪かったね」
何処からともなく俺たち以外の声が聞こえてくるが、肝心の声元の姿は見えない。
何処となくセリアの元気がないように見えるのは気のせいだろうか?
「紹介が遅れたね、私は精霊王。以後お見知り置きを。折角招待したからね、今日は取って置きの余興を用意したよ。是非楽しんでくれたらありがたいかな」
パチンと指を鳴らしたような音が聞こえたかと思うと、薄暗かった部屋が真っ暗に染まった。
俺には暗視があるはずなのだが、その機能が何故だか働いていない。
部屋の中央に突然小さな小石が出現したかと思うと、打ち上げ花火のように上へ上へと昇っていく。
昇った先にあったのは、これまた小さ小石だった。
互いの小石同士が衝突すると、そこに小さな爆発が起こり、小石が何当分にも砕けて散らばった。
まるで、ホログラムでも見ているようだった。
実際に近場に降り注いた小石にクロが手を伸ばすが、その手をすり抜けてしまった。
何度も何度も掴もうとするが、結果は変わらない。
「むぅぅ」と若干膨れつらになっているクロが可愛いのは言うまでもない。
最初は一つだった小石が無数に現れたかと思うと、同じようにぶつかっては砕けてを繰り返していく。
やがて、破片同士が密集し大きな岩石へと変貌を遂げる。
岩石は、まるで意思を持っているかのように彷徨いながら周りの小さな小石を取り込み次第に大きくなっていき、やがてその表面を薄い靄のようなものでが覆い包んだ。
すると、途端に景色が一変し、薄暗い世界から一転。
今度は、果てしない岩場が広がっているだけの殺風景な風景へと様変わりした。
「今見てもらった小惑星の中に転移したよ」
怪しい声の解説が入る。
小惑星?
やっぱり、さっきのは宇宙の映像を見ていたのか。
360°見渡してもゴツゴツとした岩肌しか見えない。
小さな小石の集合体だけあってか、表面はなだらかではなく、いくつもの隆起した突起が目立ち、それはとても人が歩く事が出来なさそうな程に不規則に歪んでいた。
そうして視界を巡らせていると大地に一人の人物が降り立った。
全身白一色の服を着た人物で、後ろに真っ白な翼を生やした年配の老人だ。
同様に顔にも白いフサフサの豊かな髭を生やしている。
手には錫杖を持っていて、それを振りかざした瞬間、周り全体を淡く白い光が包み込む。
光の濃さはどんどん増していき、やがて光色一色で何も見えなくなった。
やがて光が晴れると、そこに広がる光景は驚くべきものだった。
ゴツゴツとした岩肌しかなかったにも関わらず、そこには青々と生い茂る豊かな自然と広大な海が広がっていた。
複数人の人が、種族毎に別れて二人一組で集まっていた。
頭の上に獣人特有の耳や魔族特有のツノが生えている。
この世界の住人達なのだろうか。
手を取り合い、輪になっている。
その中心には、最初にいた豊かな髭を生やした老人だ。
その光景のまま、すーっと、抜けるように目の前の映像めいたものが消え、部屋の中の風景になった。
「楽しんでもらえただろうか? 今キミ達に見てもらったのは、この世界の誕生秘話さ。ユウくん。キミならば興味があると思ってね」
背後から聞こえた声に振り向くと、端正な顔立ちの青年が立っていた。
しかし、何故俺の名前を知っているのだろうか。
その姿を見るや否や、ククリナさん、ノア、セリアが頭を下げた。
それを見た俺も慌てて、頭を下げる。
更にそれを見たジラとクロも頭を下げていた。
「畏まらなくて結構だよ。呼びつけたのはむしろ私の方だしね」
いいからいいから楽にしてと言わんばかりに背中をバシバシと叩く青年。
精霊達の態度から察するに、自己紹介は無くとも目の前の人物の正体は容易に想像できる。
この目の前の若々しい青年こそ、セリアの父親でもある精霊王だろう。
にしても、姿格好は人族と変わらない。
精霊っぽさを全く感じない。
そもそも本来、精霊達は固有の形を持っていない種族だ。
セリアやノアがたまたま人族に近い姿をしているだけで、実際はまぁ、ちみっこなんだけど、中には獣に近い獣人にしか見えない姿をしている者や道中に出会ったような巨人の姿をした者まで様々だった。
「キミが考えている事を当ててみようか?」
ニヤリとした眼差しでそんな事を言うものだから、速攻でお断りしておいた。
「初めまして、冒険者をしているユウと言います。で、こっちが、仲間のジラとクロです」
俺の自己紹介に合わせて二人がぺこりとお辞儀する。
「ご丁寧にありがとう。私は、ここ精界で王をしているトゥエルと言う。よろしく頼むよ。そして、単刀直入に言うと、キミの事が嫌いだ」
は?
初対面で何を言うかと思えば…
「ちょっとお父様、ユウさんの事を悪く言うといくらお父様でも許さないですよ!」
俺の代わりにセリアが抗議する。
「既にセリアから聞いているとは思うが、セリアは私の娘だ。その娘が誰かの宿主、ましてや人族の年若い青年などと聞いたときは煮え繰り返る思いで一杯だったよ。当の本人は姿を眩まし、行方が分からない始末だったしね。本当に困った子だ」
なるほど、だからセリアはここに帰ってきたくなかったんだな。
しかし、一方的に言われるだけというのは、こっちとしても腹が立つわけで・・それにまるで娘を嫁に出すみたいな言い方はやめて欲しい。
少し反論してやるか。
「宿主になるならないは、セリア自身が決めた事です。親だからって、娘を束縛するのは――」
「皆まで言わずともよい。私は、私自身が認めた存在でない限り娘をやるつもりはない」
「だからっ…まるで俺がセリアを嫁に貰うみたいな言い方はやめて下さい。俺とセリアはそんな関係じゃありませんから!」
「生きとし生けるものの宿主になるという事は、嫁に出す事と同じ事なのだよ」
まじかよ。
って、セリア、なぜ顔を赤くしてるんだ。
「キミに決闘を申し込む!キミが娘にとって相応しい存在かどうか私自ら見定めてくれよう」
「すいません、お断り――」
「問答無用!」
またしても景色が変わり、室内から何処かの荒野めいた場所へと移動していた。
隣に、見知らぬ恐らく精霊だろう、同じく人型サイズの人物がいた。
「ノアじゃないか、久し振りだな。それにしても、ノアが敬語なんて何だか新鮮だな」
ノアは、若干頬を染める。
「しょうがないでしょ。仕来りなんだから!」
「ノアさん、お客様ですよ。親しき仲にも礼儀ありですよ」
「わ、分かってます!」
なるほど、口うるさそうな監視の目があるのね。
精霊の名前は、ククリナさんと言い、ノアの姉貴分的な存在らしい。
どちらも人型で、本当の姉妹の様に見えなくもない。
その後、ノア達に案内されて一際ゴージャスな建物の前へとやってきた。
左右に大きな穴が空いており、時折何やら呻き声が聞こえたかと思うと、そこから炎の渦だったり、竜巻だったり、渦潮だったりと、様々なものが噴き出していて、この場所が恐ろしく危険な場所だと言うのを表しているようだった。
拷問の館とかそんな感じの何かだろうか。何も知らずに近付くと酷い目に遭いそうだな。
「あれは、一体なんですか?」
ジラの疑問も最もだった。
「入れば分かります」
ぱっと見、入り口が見当たらない。
まさか、あの引っ切り無しに魔術を放出している通気口めいた場所から入るんじゃないだろうな。
最悪俺には魔術完全無効があるから問題なく通れはするだろう。だけどみんなは違う。
ククリナさんが建屋の前まで移動する。
徐に何かを唱えると、一瞬にして消えてしまった。
転移か何かか?
不思議そうに伺っていると、
「特殊な転送の術式が施してあるの。あそこの位置まで移動して、クエナ・アル・ノーズと唱えたらいいわ」
姉貴分のククリナさんがいない為か、ノアの口調がいつもの調子に戻っていた。
まずは俺が中へと入る。
今更だが、呪文めいた言葉を喋るのは些か抵抗があるんだよね。
基本、魔術を行使する時に呪文なんて唱えないしな。
恥ずかしさを押し殺して、唱えると景色が暗転した。
真っ暗な中に大小様々な球体が浮いている。
さながらその光景は宇宙と言っても過言では無い。
いや、実際俺自身も宙に浮いてる。
宇宙遊泳気分だ。
暗さを調整しているのか、薄暗い中も何とか部屋全体を見渡す事が出来た。
良く見ると、先に入ったククリナさんの姿も見える。
俺の様にジタバタせずに慣れた様子でその場にじっと佇んでいた。
遅れてジラ、クロ、セリアと最後にノアが、このヘンテコ空間に入ってくる。
ここは一体。
「お集まりの諸君。待たせて悪かったね」
何処からともなく俺たち以外の声が聞こえてくるが、肝心の声元の姿は見えない。
何処となくセリアの元気がないように見えるのは気のせいだろうか?
「紹介が遅れたね、私は精霊王。以後お見知り置きを。折角招待したからね、今日は取って置きの余興を用意したよ。是非楽しんでくれたらありがたいかな」
パチンと指を鳴らしたような音が聞こえたかと思うと、薄暗かった部屋が真っ暗に染まった。
俺には暗視があるはずなのだが、その機能が何故だか働いていない。
部屋の中央に突然小さな小石が出現したかと思うと、打ち上げ花火のように上へ上へと昇っていく。
昇った先にあったのは、これまた小さ小石だった。
互いの小石同士が衝突すると、そこに小さな爆発が起こり、小石が何当分にも砕けて散らばった。
まるで、ホログラムでも見ているようだった。
実際に近場に降り注いた小石にクロが手を伸ばすが、その手をすり抜けてしまった。
何度も何度も掴もうとするが、結果は変わらない。
「むぅぅ」と若干膨れつらになっているクロが可愛いのは言うまでもない。
最初は一つだった小石が無数に現れたかと思うと、同じようにぶつかっては砕けてを繰り返していく。
やがて、破片同士が密集し大きな岩石へと変貌を遂げる。
岩石は、まるで意思を持っているかのように彷徨いながら周りの小さな小石を取り込み次第に大きくなっていき、やがてその表面を薄い靄のようなものでが覆い包んだ。
すると、途端に景色が一変し、薄暗い世界から一転。
今度は、果てしない岩場が広がっているだけの殺風景な風景へと様変わりした。
「今見てもらった小惑星の中に転移したよ」
怪しい声の解説が入る。
小惑星?
やっぱり、さっきのは宇宙の映像を見ていたのか。
360°見渡してもゴツゴツとした岩肌しか見えない。
小さな小石の集合体だけあってか、表面はなだらかではなく、いくつもの隆起した突起が目立ち、それはとても人が歩く事が出来なさそうな程に不規則に歪んでいた。
そうして視界を巡らせていると大地に一人の人物が降り立った。
全身白一色の服を着た人物で、後ろに真っ白な翼を生やした年配の老人だ。
同様に顔にも白いフサフサの豊かな髭を生やしている。
手には錫杖を持っていて、それを振りかざした瞬間、周り全体を淡く白い光が包み込む。
光の濃さはどんどん増していき、やがて光色一色で何も見えなくなった。
やがて光が晴れると、そこに広がる光景は驚くべきものだった。
ゴツゴツとした岩肌しかなかったにも関わらず、そこには青々と生い茂る豊かな自然と広大な海が広がっていた。
複数人の人が、種族毎に別れて二人一組で集まっていた。
頭の上に獣人特有の耳や魔族特有のツノが生えている。
この世界の住人達なのだろうか。
手を取り合い、輪になっている。
その中心には、最初にいた豊かな髭を生やした老人だ。
その光景のまま、すーっと、抜けるように目の前の映像めいたものが消え、部屋の中の風景になった。
「楽しんでもらえただろうか? 今キミ達に見てもらったのは、この世界の誕生秘話さ。ユウくん。キミならば興味があると思ってね」
背後から聞こえた声に振り向くと、端正な顔立ちの青年が立っていた。
しかし、何故俺の名前を知っているのだろうか。
その姿を見るや否や、ククリナさん、ノア、セリアが頭を下げた。
それを見た俺も慌てて、頭を下げる。
更にそれを見たジラとクロも頭を下げていた。
「畏まらなくて結構だよ。呼びつけたのはむしろ私の方だしね」
いいからいいから楽にしてと言わんばかりに背中をバシバシと叩く青年。
精霊達の態度から察するに、自己紹介は無くとも目の前の人物の正体は容易に想像できる。
この目の前の若々しい青年こそ、セリアの父親でもある精霊王だろう。
にしても、姿格好は人族と変わらない。
精霊っぽさを全く感じない。
そもそも本来、精霊達は固有の形を持っていない種族だ。
セリアやノアがたまたま人族に近い姿をしているだけで、実際はまぁ、ちみっこなんだけど、中には獣に近い獣人にしか見えない姿をしている者や道中に出会ったような巨人の姿をした者まで様々だった。
「キミが考えている事を当ててみようか?」
ニヤリとした眼差しでそんな事を言うものだから、速攻でお断りしておいた。
「初めまして、冒険者をしているユウと言います。で、こっちが、仲間のジラとクロです」
俺の自己紹介に合わせて二人がぺこりとお辞儀する。
「ご丁寧にありがとう。私は、ここ精界で王をしているトゥエルと言う。よろしく頼むよ。そして、単刀直入に言うと、キミの事が嫌いだ」
は?
初対面で何を言うかと思えば…
「ちょっとお父様、ユウさんの事を悪く言うといくらお父様でも許さないですよ!」
俺の代わりにセリアが抗議する。
「既にセリアから聞いているとは思うが、セリアは私の娘だ。その娘が誰かの宿主、ましてや人族の年若い青年などと聞いたときは煮え繰り返る思いで一杯だったよ。当の本人は姿を眩まし、行方が分からない始末だったしね。本当に困った子だ」
なるほど、だからセリアはここに帰ってきたくなかったんだな。
しかし、一方的に言われるだけというのは、こっちとしても腹が立つわけで・・それにまるで娘を嫁に出すみたいな言い方はやめて欲しい。
少し反論してやるか。
「宿主になるならないは、セリア自身が決めた事です。親だからって、娘を束縛するのは――」
「皆まで言わずともよい。私は、私自身が認めた存在でない限り娘をやるつもりはない」
「だからっ…まるで俺がセリアを嫁に貰うみたいな言い方はやめて下さい。俺とセリアはそんな関係じゃありませんから!」
「生きとし生けるものの宿主になるという事は、嫁に出す事と同じ事なのだよ」
まじかよ。
って、セリア、なぜ顔を赤くしてるんだ。
「キミに決闘を申し込む!キミが娘にとって相応しい存在かどうか私自ら見定めてくれよう」
「すいません、お断り――」
「問答無用!」
またしても景色が変わり、室内から何処かの荒野めいた場所へと移動していた。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった
白雲八鈴
恋愛
私はウォルス侯爵家に15歳の時に嫁ぎ婚姻後、直ぐに夫は魔王討伐隊に出兵しました。6年後、戦地から夫が帰って来ました、妻という女を連れて。
もういいですか。私はただ好きな物を作って生きていいですか。この国になんて出ていってやる。
ただ、皆に喜ばれる物を作って生きたいと願う女性がその才能に目を付けられ周りに翻弄されていく。彼女は自由に物を作れる道を歩むことが出来るのでしょうか。
番外編
謎の少女強襲編
彼女が作り出した物は意外な形で人々を苦しめていた事を知り、彼女は再び帝国の地を踏むこととなる。
私が成した事への清算に行きましょう。
炎国への旅路編
望んでいた炎国への旅行に行く事が出来ない日々を送っていたが、色々な人々の手を借りながら炎国のにたどり着くも、そこにも帝国の影が・・・。
え?なんで私に誰も教えてくれなかったの?そこ大事ー!
*本編は完結済みです。
*誤字脱字は程々にあります。
*なろう様にも投稿させていただいております。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】もうやめましょう。あなたが愛しているのはその人です
堀 和三盆
恋愛
「それじゃあ、ちょっと番に会いに行ってくるから。ええと帰りは……7日後、かな…」
申し訳なさそうに眉を下げながら。
でも、どこかいそいそと浮足立った様子でそう言ってくる夫に対し、
「行ってらっしゃい、気を付けて。番さんによろしくね!」
別にどうってことがないような顔をして。そんな夫を元気に送り出すアナリーズ。
獣人であるアナリーズの夫――ジョイが魂の伴侶とも言える番に出会ってしまった以上、この先もアナリーズと夫婦関係を続けるためには、彼がある程度の時間を番の女性と共に過ごす必要があるのだ。
『別に性的な接触は必要ないし、獣人としての本能を抑えるために、番と二人で一定時間楽しく過ごすだけ』
『だから浮気とは違うし、この先も夫婦としてやっていくためにはどうしても必要なこと』
――そんな説明を受けてからもうずいぶんと経つ。
だから夫のジョイは一カ月に一度、仕事ついでに番の女性と会うために出かけるのだ……妻であるアナリーズをこの家に残して。
夫であるジョイを愛しているから。
必ず自分の元へと帰ってきて欲しいから。
アナリーズはそれを受け入れて、今日も番の元へと向かう夫を送り出す。
顔には飛び切りの笑顔を張り付けて。
夫の背中を見送る度に、自分の内側がズタズタに引き裂かれていく痛みには気付かぬふりをして――――――。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる