『チート級の「正義感」に能力をふられたサキュバス夏子＆ワルキューレ陽菜の死神見習い日誌』※令和６年リライト版

第８話「ラグナロク勃発！サキュバス夏子＆ワルキューレ陽菜よ永遠に…」

８－５「勝利」

「勝利」
　プルメリアは、金縛り状態の夏子と陽菜に３度の「往復びんた」を入れた。夏子は鼻血を噴き出した。次に腰につけた大きなコンバットナイフを抜き、夏子と陽菜の顔の前でちらつかせると頬を刃の側面でぺちぺちと叩いた。刺されると思ったが、いたぶりですんだのかと陽菜の気が抜けた瞬間に、ナイフの柄で陽菜の鼻っ柱にパンチを入れた。陽菜も鼻血が出て顔を赤く染めた。狂気的な叫び声をあげ、プルメリアは夏子と陽菜を殴打し続けた。
「さあ、そろそろお終いだよ。ブサイクな顔をさらにブサイクにしてやろうか！日本風に「口裂け女」がいいかねぇ！まずはサキュバスから！」
とナイフの刃を夏子に突きつけて言った瞬間、巨大な金タライが「ガンっ！」とプルメリアの頭上に落ち、プルメリアは地面に頭から落下し、あおむけに倒れたところ、空中でバケツがひっくり返り大量の水を浴びた。その上から小麦粉が丸々一袋振りかけられた。視界を奪われ、咳き込み真っ白になったプルメリアの束縛術の威力が弱まった。

　
　「このやろう！おれのなっちゃんに何すんねん！許せへんぞ！」
と立ち上がった弘道がガーゴイルにもらった、「対妖精」スタンガンをプルメリアに突きつけた。「バリバリバリ」と大量の水で電気を通しやすくなっていた分、青い火花を散らし、プルメリアは全身を痙攣させた。
　動けなくなったプルメリアを預かった魔界手錠で捕縛すると、笑顔のホブコとプリンが笑いながら姿を現した。
「なっちゃん、陽菜ちゃん、鼻血でかわいい顔が台無しだよ。彼氏にそんな顔見せられないから、顔を拭きなよ。」
と出されたタオルで顔を拭くと、今度は真っ黒になった。どうやら、黒い炭の粉をたっぷりと振りかけられてたらしい。

　「ホブコちゃん、プリンちゃん、この悪戯は、まあ命を救ってもらったから許したるわ。このうっぷんはこいつに返したらんとな！陽菜ちゃん、やるで！」
「あいよ、なっちゃん！姐さんからのお土産は２本ずつあるから１本ずつこの「イケず」女にごちそうしてやるわな！」
と土産でもらった「からし」と「もみじおろし」をプルメリアの両鼻の穴に突っ込み、空になるまで絞り出した。プルメリアは陸に上がった魚のようにもんどりうった。夏子は満足げに真っ黒になった「鼻血顔」で勝利宣言した。
「ぎゃはははは！これで、私らの２連勝や！私は優しいから、あとは、ホブゴブリンの「くすぐりの刑」で堪忍しといたるわ！」

　幸せ顔で白目をむいて倒れたままの智の横で、束縛が解けた弘道と良太郎が夏子と陽菜の顔を優しく拭いている間、プルメリアをいたぶるホブコとプリンの「キャッキャ」という笑い声が空に響いていた。
　起き上がってきた良太郎に、真っ黒な顔の陽菜が照れながら聞いた。
「良太郎、大丈夫やった？変な夢見せられたんやろ？聞きにくいことやねんけど、「勃ったん？」きゃー、はずかしいー！」
「ううん、ぜんぜん！送り込まれた女のイメージが「巨乳」やったから、全然好みでなかったわ！「ミクロ乳」バンザイや！」
と良太郎は陽菜を抱きしめた。

　夏子は、弘道に陽菜と同じように尋ねると
「俺んとこに出てきた女金髪ロングの「爆乳」やったから好みじゃなかったわ。俺が好きなんはなっちゃんだけやからな。」
と優しく夏子をハグした。
　ホブコとプリンが「ひゅーひゅー」と冷やかしている。
「うーん、天界の女も発想が貧困やな。「おっぱい」でかけりゃ男は喜ぶと思いこんでんねんな。まあ、智だけは「昇天」してしもたみたいやけどな。ズボンに「染み」ができてるわ。ケラケラケラ。」
と４人で笑った。

　陽菜は、魔界スマホで天女火車に連絡をとると、エルフの元に駆けつけたときには、すでに送られてきた写真の機材とともに、どこかに消えていて、ブラウニーとも連絡がつかなくなっているとの事で、周辺捜索に入るということだった。
　プルメリアを再度捕縛したことを伝えると、「私らの代わりに課長に行ってもらうようにするね。」と言われ一方的に切られた。３分後、グリムリーパーと閻魔がやってきた。珍しく、グリムリーパーが
「よくやった。１度ならず２度までも…。すまんが、天女火車に合流して、エルフの企みを止めてくれ。頼む。」
と夏子と陽菜に頭を下げた。
「がはははは！なかなかやるじゃないか！無事に、ことを収めることができたら、わしの奢りで何でも食べさせてやるぞ！エルフは手強いぞ。気を引き締めて引き続き任務にあたってくれい！」
と閻魔も夏子と陽菜を絶賛すると、真っ白になったプルメリアに何枚かお札を張り付けると、肩に担いで魔界に帰っていった。