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第5話「年利28%!この金利、「高い」か「安い」か?③」

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第5話「年利28%!この金利、「高い」か「安い」か?③」

 翌日午前9時50分、森の運転する軽自動車で万沙と緒狩斗がラーメン屋の店主を迎えに来た。借り受ける候補店舗は、車で5分の位置にあった。店の前の30分100円のコインパーキングに車を止めると、3人でインターホンを鳴らした。
 「あいよ、店のカギは開いてるから入ってんか。」の声が聞こえたので、3人は店に入った。店主のラーメン店より、1.5倍ある中華料理店だった。カウンター席以外に、テーブル席が4つあり店主ひとりで店をまわすには「きついんとちゃうか?」と万沙は思った。厨房の奥から、やや警戒心を持った表情の杖をついた店主と同年代の白髪頭の男性が現れた。

 厨房機器は、元の店よりコンロ数も多く、冷凍冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、飲み物のショーケース、大型食洗器等も買取だったらしくほぼ残っている。副島は、店主に不足機材が無いことを確認すると森に耳打ちをした。
 貸主候補との交渉は30分かからずに終わった。森の表情を見ていると副島の描くシナリオ通りに進んだであろうことが予想できたが万沙はその場に立ち会えなかったので内容についてはわからないままである。
「じゃあ、明日にでも当方の条件を提示させてもらいます。「ご縁」が有れば、その時はよろしくお願いしますね。」
「こちらこそ。いい条件をご提示いただきありがとうございます。一時のことでなく、10年、20年先のことまで考えていただきありがとうございます。」
と森が相手と握手を交わし、店を出た。

 「副島のおっちゃん、森先生はどんな話してきたん?さっきの店のおじいちゃんの表情が来た時と帰る時と全然違ったやん。もしかして、えらい「鼻薬はなぐすり」でも嗅がせたん?帰る時は思いっきり「恵比須顔」やったけど何があったん?」
車に乗るなり、万沙が質問をした。緒狩斗も興味を持って聞いている。
「まあ、まだ話は「半分」や。店主さんの店に戻ってからがほんまの勝負やで。種明かしはそれからや。」
ともったいぶる副島の態度に万沙は少なからず不満を持ちながら、ラーメン屋に戻ると店の前に一台のスクーターが止まり、若い男が立っていた。

 「じゃあ、店主さん一杯ラーメンを作って見せてもらいましょか。」
副島が言うと、若い男も鞄からエプロンを取り出して一緒に厨房に入った。あらかじめ、鍋の火はかけていたようで茹で窯もスープの寸胴鍋も湯気を立てている。一杯目を店主が作るのを若い男はじっと見つめていた。
 出来上がった「こっさり」スープに素朴な具材のラーメンを若い男がカウンター席にまわり、両手を顔の前で合わせ「いただきます。」と呟いた。最初にレンゲでふたくちスープを口に含むと、チャーシューとメンマを口に入れた。繰り返し咀嚼しゆっくりと飲み込むと、煮卵を頬張り、麺をすすった。
「うん、旨いです。この「こっさりスープ」は女の子に受けそうですね。失礼を承知で言わせてもらいますけど、SNS無しで、かつ飲食店検索サービスに未登録で今のラーメン屋でやってこられてたのが不思議だったんですけど、今日、こうして食べさせてもらってこれは「残さないといけない味」だと確信しました。
 まだ「平ざる」を使いこなす技術は無いですが、「たぼ」で一度作らせてもらっていいですか?」
 男は、店主立会いの下、「たぼ」を振るい4人前のラーメンを作った。流行りのラーメン屋の派手なパフォーマンスでなく、最低限の動きで「湯切り」をする仕草を見て、緒狩斗が「狭い店も経験してるんでしょうね。」と呟くと、「せやな、最低限の基本はできてそうやな。」と店主が横で頷き、「合格やな。」とコメントを付け足した。

 そこからは森を中心に話が進められた。店主は、新店舗候補貸主から300万の一時金と不動産管理会社を通じての毎月30万円の家賃と保証料等を求められていた。もちろん、銀行、信金や政府系金融機関の事業融資は受けられず、あきらめかけていたのだが金城事務所の仲介によってその条件は大幅に緩和された。
 まず、第一に変わったきっかけが腰を悪くして調理に支障が出た新店舗貸主の自慢の「餃子」を残すことだった。
「立ち仕事はできずとも座っての仕込み作業はできますでしょ?たくさんのファンのついた餃子を新店主のラーメン屋でも売りましょうよ。もちろん「勇退」するならそれもいいですけど、まだまだ動ける間は「仕事」したいんじゃないですか?」
との副島の書いたシナリオを森が投げかけると速攻食いついたという。

 300万の一時金を今後の生活費に充当する予定だったものを、毎月の給与に振り返れば一時金は必要なく、更に、ラーメン屋の店主の年齢は65歳。長く続いたとしても「10年」。万一のことがあれば、翌月にも家賃が入らなくなる可能性について指摘すると、同年代で立ち仕事ができなくなった自分と重ねた。
そこで、人気店である新店舗に後継者候補の若い者が入ることで、存命中は「確実」に家賃収入は入り続ける可能性を提示した。

 その結果、一時金の300万は無しにし、ひと月分の家賃を保証金として入れることで納得してもらった。森が連れて来た若い男は、金城事務所に融資相談に来ていた30歳の男だった。27歳まで公務員で勤めていたが、「ラーメン好き」がたたり、退職後、調理専門学校の「中華コース」を卒業し、この2年間はいろいろな店で修行していたのだが「経理面」でラフな店が多く、給与は「ドンブリ勘定」での手渡しで確定申告も行っていなかった為、所得証明が上がらず政府系金融機関も民間金融機関からも融資申請に「総スカン」を食っていた。
そんな中、人気店の「後継者の道」もありつつ、土日の2日間は「別屋号」で「オリジナル」メニューを提供し自分の「作品」の評価を生で見られるという話に乗ったのだった。もちろん週2日、店を自由にする分の家賃、水光熱費負担として日割りよりやや少ない25%は負担するのだが、厨房機器や店舗賃貸の初期費用が掛からないだけでもメリットを感じてくれている。

 最終的に、当座の運転資金と新従業員の提案する「飲食店検索サイト」の掲載初期費用とホームページ作成費用の「50万」のみ、金利28%の金城司法書士事務所の金主からの無担保無保証人でのエンゼル出資を受けることになった。1年後の支払い金利は14万になると森は伝えた後、付け加えた。
「店主さん、金利は日割り計算しますんで、返せる状況になったらいつでも払ってもろたらええですからね。負担はちょっとでも少ない方がええでしょ。」
「トータルで300万以上のメリットがあった上、書類作成費用の3万だけじゃ申し訳あれへんかあら、喜んで全額金利は払わせてもらいまっせ。コンサル付きと考えたら28%は格安ですやん。」
と店主は喜んでいる。
 ご機嫌で生ビールをサービスしてくれ、4人で「乾杯」をした。

「いやー、緒狩斗さんのおかげですべてがうまくいきましたわな。ここまでしてもろて14万円の金利だけって、森先生のところへのコンサル料にもなりませんわね。緒狩斗さんと森先生とそっちのお嬢ちゃんは今後1年間、うちでの飲食料は無料にしますさかい、いつでも来てくださいね!」
と店主が感謝の気持ちを述べると
「すんません、店主はん、その「飲食料」の中には「黒松剣菱」と裏メニューの「和風チャーシュー」と「ピリ辛メンマ」も入りますのんか?それやったら、あと1年3カ月の間、週3で「おいちゃん」は通わせてもらうけどかまへんのかな?」
と副島が暴走しだしたので、慌てて森が万沙を店の外に連れ出した。

 「緒狩斗さん、なんか、不思議な娘さんですな。まあ、私にしたら「幸運を呼び込む女神」ですさかい、あのもいつでも、何度でも連れて来てくださいね。今後とも御贔屓にしてくださいな!」
と店主が緒狩斗におかわりの生ビールを提供し再度の「乾杯」をかわした。



「今日のおまけ」

はい、「エンゼル出資」編も終わりました。
ラーメン屋の話だったんで、お気に入りマンガの

能條純一大先生の
「ばりこく麺」

を紹介しようと思ったんですけど「本」が見つからない(泣)。
写真無しですみません!
(。-人-。) ゴメンネ

いろんな「ラーメンマンガ」がありますけど、赤井の一押し作品です!
天才シェフが作るラーメンを食べるキャラの顔がいい!
「世界で一番うまそうにラーメンを食べるマンガ」
だと思います。
もちろん、なんでも「ラーメン」で解決するストーリーも最高です!
久しぶりに読みたかったんですけど、どこにいっちゃったんやろか?
人に勧めて「貸しちゃった」か「あげちゃった」なんでしょうけどね…。


さて、「本編」はページ数の都合でいよいよ後半戦ですね。
全然、続きが書けてないけど(泣)。Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
という事でなんの「予告」もできないんでイラストに逃げましょう(笑)。

各話の「締め回」ですのでお決まりの
「行儀の悪い万沙ちゃん」

「お疲れ「生」です!」
にしました(笑)。







最後は男性「旧ドク」のみなさんに忖度して「チラリ」(笑)。


そして「チャーシューネギだく載せ」食べて、爪楊枝で
「シーハー」
する「行儀の悪い万沙ちゃん」



で締め(笑)。


そして、毎度「オジサンリクエスト」をくれる「なっち」さんにも忖度!





緒狩斗監督と森先生!
明日からは「新章」です!
「ブラック企業におーしーおーきーだーべ―(笑)!」
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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