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第7話 約束の少女
運命の赤い糸 その一
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その日の朝は、二人の再会を祝福する様な青空が広がっていた。直哉は朝食を済ませると、クローゼットから今日着ていく洋服を選んでいた。
約束の少女と会う為に普段より少しオシャレな服に着替え終わり、再会した時に何を話すか悩んでいた。
(何て話そうかな・・・・・・。素直な気持ち・・・・・・でいいのかな。それとも、謝った方が・・・・・・)
時間を忘れ色々と考えていた直哉が、ふと時計を見ると約束の時間まで三十分をきっている。
慌てた直哉はアパートを飛び出し、待ち合わせ場所へと急いで向かったのだ。
息を切らした直哉が待ち合わせ場所に来ると、一人の少女が立っていた。まるで長年待ち焦がれた様に・・・・・・。
静かに佇んでいた少女が直哉の気配に気がつくと、その少女は振り向気数年ぶりの再会を喜ぶ様に、突然直哉の方へ走り寄ってきたのだった。
直哉がその少女と会う一時間程前である。沙織の部屋に優子と紗英そして葵が集まっていた。
昨日、直哉と別れた後に優子が沙織に連絡をすると、こっそり見に行こうという話になってしまった。
「亜子様はどうしても外せない用事があるとかで、来られないと仰っていましたわね」
「そうなんだよねぇ、亜子にしては珍しいと思うよぉ」
「ところで葵さんの仕事は・・・・・・大丈夫なのですか?」
「こんな時に、私だけ除け者に何かして欲しくないからね。沙織に無理を承知で頼んだらさ、あっさり許してくれたのよ」
「まぁ、仕事を脱走されても困りますのでね。それに、この件が終わりましたら・・・・・・馬車馬の如く働いて貰いますので」
笑顔で葵を見つめる沙織に、優子と紗英はこの人だけは敵に回したらダメと心の中で思っていた。
「ええ、どうぞお好きにして下さい。馬車でも馬でも何でもやりますよ~だ」
「でも、こっそりつけた後はどうするの?ずっと隠れて見てるの?」
「そんなの決まっているわ。二度と私の直哉に近づかないよう脅してあげるのよ」
葵は拳を力強く握り締め悪魔の笑みを浮かべている。
「う~ん、でも直哉は来ちゃダメって言ってたんだし、それに・・・・・・そんな事したら嫌われちゃうかもよぉ」
「うぅ・・・・・・。それは困るわ・・・・・・。直哉に嫌われたら・・・・・・私は生きていけないもの」
「でも・・・・・・約束の相手ってどんな人なのかな。直哉君は誰なのか分かったって言ってたけど・・・・・・」
「同じ高校の誰か・・・・・・かもしれませんわね」
沙織は唇に指を当て探偵の様に推測をしたのだ。その姿は上品で絵になりそうなくらい美しかった。一つ上とは思えない程大人っぽく、まるで映画のワンシーンを観ている様であった。
「う~ん、そんな子いたかなぁ。全然気が付かなかったよぉ」
「優子様は直哉様しか目に入っていませんからね。周りに気がつけなくても仕方ありませんわ」
「な、そんなに見てないよぉ。た、多分・・・・・・」
「そうでしょうか、この際ハッキリさせておきましょうか。優子様が直哉様をどう思われているのか」
葵は直哉を自分の物だと公言しており、沙織も直哉の妻と言って隣りに引越しをして来た。
紗英も最近は自分の心の内をさらけ出す事が多くなっているが、優子は幼なじみという言葉で逃げていた。
「私は・・・・・・直哉の事・・・・・・」
自分の心をさらけ出すのが恥ずかしかった。みんなの様な勇気が優子にはなかった。
でも、ここで自分の気持ちをさらけ出さないと、同じ土俵には立てないと思い、なけなしの勇気を絞り出したのだ。
約束の少女と会う為に普段より少しオシャレな服に着替え終わり、再会した時に何を話すか悩んでいた。
(何て話そうかな・・・・・・。素直な気持ち・・・・・・でいいのかな。それとも、謝った方が・・・・・・)
時間を忘れ色々と考えていた直哉が、ふと時計を見ると約束の時間まで三十分をきっている。
慌てた直哉はアパートを飛び出し、待ち合わせ場所へと急いで向かったのだ。
息を切らした直哉が待ち合わせ場所に来ると、一人の少女が立っていた。まるで長年待ち焦がれた様に・・・・・・。
静かに佇んでいた少女が直哉の気配に気がつくと、その少女は振り向気数年ぶりの再会を喜ぶ様に、突然直哉の方へ走り寄ってきたのだった。
直哉がその少女と会う一時間程前である。沙織の部屋に優子と紗英そして葵が集まっていた。
昨日、直哉と別れた後に優子が沙織に連絡をすると、こっそり見に行こうという話になってしまった。
「亜子様はどうしても外せない用事があるとかで、来られないと仰っていましたわね」
「そうなんだよねぇ、亜子にしては珍しいと思うよぉ」
「ところで葵さんの仕事は・・・・・・大丈夫なのですか?」
「こんな時に、私だけ除け者に何かして欲しくないからね。沙織に無理を承知で頼んだらさ、あっさり許してくれたのよ」
「まぁ、仕事を脱走されても困りますのでね。それに、この件が終わりましたら・・・・・・馬車馬の如く働いて貰いますので」
笑顔で葵を見つめる沙織に、優子と紗英はこの人だけは敵に回したらダメと心の中で思っていた。
「ええ、どうぞお好きにして下さい。馬車でも馬でも何でもやりますよ~だ」
「でも、こっそりつけた後はどうするの?ずっと隠れて見てるの?」
「そんなの決まっているわ。二度と私の直哉に近づかないよう脅してあげるのよ」
葵は拳を力強く握り締め悪魔の笑みを浮かべている。
「う~ん、でも直哉は来ちゃダメって言ってたんだし、それに・・・・・・そんな事したら嫌われちゃうかもよぉ」
「うぅ・・・・・・。それは困るわ・・・・・・。直哉に嫌われたら・・・・・・私は生きていけないもの」
「でも・・・・・・約束の相手ってどんな人なのかな。直哉君は誰なのか分かったって言ってたけど・・・・・・」
「同じ高校の誰か・・・・・・かもしれませんわね」
沙織は唇に指を当て探偵の様に推測をしたのだ。その姿は上品で絵になりそうなくらい美しかった。一つ上とは思えない程大人っぽく、まるで映画のワンシーンを観ている様であった。
「う~ん、そんな子いたかなぁ。全然気が付かなかったよぉ」
「優子様は直哉様しか目に入っていませんからね。周りに気がつけなくても仕方ありませんわ」
「な、そんなに見てないよぉ。た、多分・・・・・・」
「そうでしょうか、この際ハッキリさせておきましょうか。優子様が直哉様をどう思われているのか」
葵は直哉を自分の物だと公言しており、沙織も直哉の妻と言って隣りに引越しをして来た。
紗英も最近は自分の心の内をさらけ出す事が多くなっているが、優子は幼なじみという言葉で逃げていた。
「私は・・・・・・直哉の事・・・・・・」
自分の心をさらけ出すのが恥ずかしかった。みんなの様な勇気が優子にはなかった。
でも、ここで自分の気持ちをさらけ出さないと、同じ土俵には立てないと思い、なけなしの勇気を絞り出したのだ。
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