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第6話 約束の約束

約束の内容とは

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「直哉様、約束の少女にお心当たりはございますか?」
「そんな名前に人は流石に知らないよ~」

 慎重に開封すると、中には一通の手紙が二つ折りになって入っていたのだ。丁寧に手紙を開くと中にはこう書かれていた。

『直哉君。お久しぶりですね。と言っても直哉君は全然覚えていなくて、初めて会った時はショックだったのよ。でも、楽しそうな直哉君を見ててそれでもいいかなって思っていたの。でもね、でも・・・・・・自分でそうしようと思ったのに、心がね言う事を聞かなくなっちゃって・・・・・・それで決めたの。直哉君、私との約束をちゃんと思い出して私を探し出してね。でないと私・・・・・・きっと壊れてしまうと思うから。だから、必ず思い出してね?約束だからね』

「怪文書・・・・・・ですわね。イタズラとも思えますし」
「う~ん、イタズラなのかなぁ。それにしても約束って・・・・・・。他の人の意見も聞いてみよう。でも、今日はもう遅いから明日かな」
「そうですわね、ではわたくしも今日は寝るとしますわ」

沙織がゆっくり立ち上がり、自分の部屋と戻ると思いきや、直哉のベッドに潜り込み一緒に寝ようとする。

「沙織さん・・・・・・自分のベッドで寝て下さい」
「直哉様は照れ屋なんですね。仕方ありませんわ、今日は自分の部屋で一人寂しく夜を明かすとします」

 わざとらしく泣き真似をしながら自分の部屋へと戻る沙織を見送ると、直哉は手紙をもう一度読み直していた。

 本当にイタズラなのだろうか。そんな事を考えながらその日は眠ってしまった。

 翌日の昼過ぎ、直哉は優子にこの事を話すとその手紙を見たいと、直哉のアパートまで来る事になったのだ。

 この話は伝言ゲームの様に内容を少しずつ変えながら、次々と直哉に関係のある少女達へと伝わり、旅行の続きと言わんばかりに集まっていたのだ。

「そういえば南雲様、お仕事はどうされたのですか?本日は確か・・・・・・ドラマの撮影があったと思ったのですが」
「ふんっ、そんな事、直哉に送られたラブレターに比べたら些細なものだわ。適当な言い訳をつけて延期して貰ったのよ」
「やはり無人島計画を実行するしかないわね・・・・・・」
「ま、待って。だって、直哉にラブレターとか仕事に集中出来ないでしょ?だからよ。だから・・・・・・今回だけは見逃して下さい・・・・・・」

 葵は沙織に懇願し、何でもするから今日だけはという事で、沙織は渋々見逃す事にしたのだ。

 このまま強引に仕事へ行かせても、相手に迷惑を掛けてしまうだろうと結論を出していたのだ。

「ねぇ、凄く気になってたんだど・・・・・・沙織さんって、いつも直哉君の部屋に一番最初に来てるよね。まさか・・・・・・一緒に暮らしてるとかいうオチはないよね」
「それ私も気になってたぁ。直哉どうなの?亜子の言う通り、まさか同棲とか・・・・・・してないわよね?」

 いつかこの日が来るとは思っていた。普通に考えればおかしいと気がつくのは、至極真っ当な事である。

 ジト目の優子が、今にも直哉に襲い掛かりそうな黒いオーラを出していたのだ。

「別に隠すつもりはなかったんだけど、実は・・・・・・」
「遂に隠しきれなくなりましたわね、直哉様。ええ、その通りですわ。既に婚姻届にもハンコを押してありますの」
「な~お~や~。直哉を殺して私も死ぬうううう」
「優子、頼むから落ち着いてくれよ。もう、沙織さん笑いすぎですって」

 お腹を抱えて笑う沙織に気がつくことなく、優子は直哉に飛びかかっていた。そんな中で、葵と紗英は直哉から借りた手紙を真剣に分析していたのだ。
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