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第4話 傲慢なアイドル
アイドルの本音
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「ゆっくりできましたか?」
「・・・・・・う、うん。あの・・・・・・見た・・・・・・?」
「何をですか・・・・・・?」
「その・・・・・・私の・・・・・・下着姿を・・・・・・」
「い、一瞬だけ・・・・・・。でも、すぐに目を背けたので安心して下さい」
そんな事言われても安心出来るわけないと葵は思ったが、恥ずかしさが何より勝っていたので何も言えずにいた。
仕事で水着を着ることには慣れているが、プライベートでしかも同年代の男子に下着姿を見られる事はまずない。葵は完全に頭が真っ白になってしまったのだ。
「あの・・・・・・カレーライスお口に合いませんか?」
「え?あ、ううん・・・・・・。美味しい・・・・・・よ」
「なら良かった。口に合わなかったらどうしよかと、内心ドキドキだったんですよ」
葵は恥ずかしそうにしながら、直哉の作ったカレーライスを黙々と食べていた。心臓の鼓動が早くなり、今にも飛び出しそうであった。
こんな事は今まで一度もなかった、しかも利用しようとしている相手にこんな感情は・・・・・・。
それはきっと葵の目的を妨げる試練なのだ、だからこれは乗り越えなければならない。こんな感情はきっと一時のもので、すぐに元の葵に戻ると信じていた。
「ねぇ・・・・・・。直哉君は・・・・・・私の事どう思ってる・・・・・・の?」
思っている事とは裏腹に出てきた言葉に、葵は自分でもビックリし固まっていた。何を聞いてきいるんだろ、何でこんな事を口走ったのだろう。
自分で何をしたいのかもう分からなくなっていたのだ。
「え?ん~、そりゃアイドルだし可愛いと思うよ。性格は別としてね」
「むぅ、悪かったわね・・・・・・。どうせ、性格は可愛くないですよ~だ」
「でも・・・・・・何でそんな態度を取り続けるんだろうってずっと思ってた。沙織さんと仲が悪いみたいだし」
「みたいじゃなくて、悪いのよ。あんな・・・・・・苦労も何も知らない女・・・・・・嫌いだわ。私は・・・・・・上に行かないといけないのよ。どんな事をしてもね・・・・・・」
「沙織さんは沙織さんで苦労してるんだよ。自由に見えても自由なんてない、だから今それを手に入れる為に頑張っているんだ。だから僕も協力しているんだよ」
「・・・・・・だからって・・・・・・今更好きになんか・・・・・・なれないわよ。ねぇ、もし、もしね・・・・・・私が・・・・・・貴方の事を利用してあの女の弱みを握ろうと考えていたらどう思う?」
何故そんな事を直哉に聞いたのか、自分でも分からなかった。自然と無意識に言葉が出てきてしまい、困惑する一方で嫌われた方が今後も利用しやすいと考えていたのだ。
「そうだと思ったよ。今日の事沙織さんに内緒って言われたからね」
「ふ、ふん。私の事嫌いになったでしょ?私は貴方を利用してもっと上の地位に行く。それだけよ・・・・・・」
「嫌いにはならないよ。それなら、今日の事沙織さんに伝えるし。それに・・・・・・この先何十年もずっと一人で戦い続けるの?それって寂しいんじゃないかな。何でそこまで地位に拘るか分からないけど、自分の事を本当に理解してくれる人を一人だけでもいいから作って欲しいかな」
直哉の言葉が葵の胸に深く突き刺さる。今までに感じた事がない痛みが、葵の心に刻まれていく。
初めて感じる罪悪感、それは下着姿を見られたからなのか、それとも利用されてると知っても優しくされた事なのか。それは、葵にとって初めての経験であった。
「・・・・・・う、うん。あの・・・・・・見た・・・・・・?」
「何をですか・・・・・・?」
「その・・・・・・私の・・・・・・下着姿を・・・・・・」
「い、一瞬だけ・・・・・・。でも、すぐに目を背けたので安心して下さい」
そんな事言われても安心出来るわけないと葵は思ったが、恥ずかしさが何より勝っていたので何も言えずにいた。
仕事で水着を着ることには慣れているが、プライベートでしかも同年代の男子に下着姿を見られる事はまずない。葵は完全に頭が真っ白になってしまったのだ。
「あの・・・・・・カレーライスお口に合いませんか?」
「え?あ、ううん・・・・・・。美味しい・・・・・・よ」
「なら良かった。口に合わなかったらどうしよかと、内心ドキドキだったんですよ」
葵は恥ずかしそうにしながら、直哉の作ったカレーライスを黙々と食べていた。心臓の鼓動が早くなり、今にも飛び出しそうであった。
こんな事は今まで一度もなかった、しかも利用しようとしている相手にこんな感情は・・・・・・。
それはきっと葵の目的を妨げる試練なのだ、だからこれは乗り越えなければならない。こんな感情はきっと一時のもので、すぐに元の葵に戻ると信じていた。
「ねぇ・・・・・・。直哉君は・・・・・・私の事どう思ってる・・・・・・の?」
思っている事とは裏腹に出てきた言葉に、葵は自分でもビックリし固まっていた。何を聞いてきいるんだろ、何でこんな事を口走ったのだろう。
自分で何をしたいのかもう分からなくなっていたのだ。
「え?ん~、そりゃアイドルだし可愛いと思うよ。性格は別としてね」
「むぅ、悪かったわね・・・・・・。どうせ、性格は可愛くないですよ~だ」
「でも・・・・・・何でそんな態度を取り続けるんだろうってずっと思ってた。沙織さんと仲が悪いみたいだし」
「みたいじゃなくて、悪いのよ。あんな・・・・・・苦労も何も知らない女・・・・・・嫌いだわ。私は・・・・・・上に行かないといけないのよ。どんな事をしてもね・・・・・・」
「沙織さんは沙織さんで苦労してるんだよ。自由に見えても自由なんてない、だから今それを手に入れる為に頑張っているんだ。だから僕も協力しているんだよ」
「・・・・・・だからって・・・・・・今更好きになんか・・・・・・なれないわよ。ねぇ、もし、もしね・・・・・・私が・・・・・・貴方の事を利用してあの女の弱みを握ろうと考えていたらどう思う?」
何故そんな事を直哉に聞いたのか、自分でも分からなかった。自然と無意識に言葉が出てきてしまい、困惑する一方で嫌われた方が今後も利用しやすいと考えていたのだ。
「そうだと思ったよ。今日の事沙織さんに内緒って言われたからね」
「ふ、ふん。私の事嫌いになったでしょ?私は貴方を利用してもっと上の地位に行く。それだけよ・・・・・・」
「嫌いにはならないよ。それなら、今日の事沙織さんに伝えるし。それに・・・・・・この先何十年もずっと一人で戦い続けるの?それって寂しいんじゃないかな。何でそこまで地位に拘るか分からないけど、自分の事を本当に理解してくれる人を一人だけでもいいから作って欲しいかな」
直哉の言葉が葵の胸に深く突き刺さる。今までに感じた事がない痛みが、葵の心に刻まれていく。
初めて感じる罪悪感、それは下着姿を見られたからなのか、それとも利用されてると知っても優しくされた事なのか。それは、葵にとって初めての経験であった。
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