上 下
14 / 71
第2話 人見知りのクラスメイト

幼なじみへの紹介

しおりを挟む
 翌日、お昼になると亜子、優子、直哉と紗英がテーブルにお弁当を並べていた。直哉が優子と亜子にお願いをして、紗英も一緒にお昼をと頼み込んだのだ。優子はピクリと眉を動かしたが、その場はとりあえず直哉の提案を飲むことにしたのだった。
「えっと・・・・・・こちらは澤村紗英さんで、いつも一人でお昼食べてたから、僕達と食べた方が美味しいと思って誘ったんだ」
「・・・・・・ふ~ん。随分と仲良さそうねぇ。まっ、直哉が誰と仲良くしようが、別に構わないけれどっ」
「ふふふ、神崎君あまり気にしないでね。優子もあんまり拗ねると嫌われちゃうわよ。澤村さんよろしくね」
「あ、あの・・・・・・よろ・・・・・・よろしく・・・・・・お願いしま・・・・・・す」
「井上さん大丈夫だよ。優子は子供っぽい所があるからね」
「亜子、別に拗ねてないわよ。それと直哉~、子供っぽいってどういう事よ~」
 タコのように顔を真っ赤にして、直哉に怒った優子だが、まさか紗英から直哉を庇う声があるとは思っていなかった。紗英は勇気を振り絞り、自分の人見知りを治す為協力してくれている直哉を弁護したのだった。
「あの・・・・・・あまり・・・・・・直哉君を責めないで上げて下さい。直哉君は・・・・・・私の為に・・・・・・してくれたん・・・・・・です」
「紗英さん、大丈夫だって。気にしなくていいから。いつもの事だからね」
「・・・・・・直哉君に・・・・・・紗英さん・・・・・・? お互いを名前で呼び合う仲なのね。そう、そうなのね・・・・・・。直哉・・・・・・やっぱり巨乳好きだったのね」
「そういう訳じゃないから・・・・・・。優子、とりあえず落ち着こうよ。井上さんも笑ってないで止めてくれよ~」
「ごめん、ごめん。ほら、優子も落ち着きなさい。別に名前で呼んだからっていいじゃないの。澤村さんごめんね。優子も悪気があるわけじゃないからね」
「は、はい。三嶋さんは素敵な方です・・・・・・よね。入学式の日からお見かけして・・・・・・羨ましかったの・・・・・・です」
「え・・・・・・そ、そう。ま、まぁ、名前で呼ぶくらい気にしない・・・・・・よ。澤村さん、ごめんなさい」
 急に褒められた優子の態度が一変し、紗英を認め始めようとしていた。クラス一の美女に褒められて悪い気はしなかったのだ。
「あの・・・・・・もしよろしかったら・・・・・・お二人を名前で呼んでも・・・・・・よろしいでしょう・・・・・・か?」
「私は構わないわよ。優子もいいわよね?」
「え? あ、うん。いいよ。その方が親しみやすいからね」
「ありがとうござい・・・・・・ます。嬉しくて泣いてしまいそう・・・・・・です」
 目に涙を浮かべ紗英は喜び、直哉はそんな紗英を見て微笑していた。ほんの少しではあるが、確実に進歩していると思い、自分の事の様に嬉しかったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

無自覚愛されキャラの天使は今日も気づかずあの子を堕とす

なかの豹吏
恋愛
 灰垣空(はいがきそら)高校一年生。  小柄な体躯とその愛らしい容貌から、別名「天使」と呼ばれている。   彼の周囲を取り巻くのは、それぞれに劣等感や悩みを持つ女性達。   そんな彼女達は、無自覚愛され系天使によって少しずつ変わっていく。   周りの人々を笑顔にする空だったが、彼も当然天使ではなく人間。 抱えているものや、願望だって持っている筈。  日常がほんの少し上向きになる、ほのぼの系恋愛ラブコメ(予定)。 ※ この作品は他サイトでも掲載されております。

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。

天織 みお
恋愛
「おめでとうございます。奥様はご懐妊されています」 目が覚めたらいきなり知らない老人に言われた私。どうやら私、妊娠していたらしい。 「だが!彼女と子供が出来るような心当たりは一度しかないんだぞ!!」 そして、子供を作ったイケメン王太子様との仲はあまり良くないようで――? そこに私の元婚約者らしい隣国の王太子様とそのお妃様まで新婚旅行でやって来た! っていうか、私ただの女子高生なんですけど、いつの間に結婚していたの?!ファーストキスすらまだなんだけど!! っていうか、ここどこ?! ※完結まで毎日2話更新予定でしたが、3話に変更しました ※他サイトにも掲載中

処理中です...