歪んだ愛

朽木昴

文字の大きさ
上 下
1 / 1

婚約者への復讐

しおりを挟む
「紅音、悪いけど、婚約を解消してくれ……」
「ど、どうしてですの!? わたくしのどこがいけないというの?」
「だって、紅音って……お金があるだけで、つまらない女だから」
「待って…待って……雅俊さん! わたくしを捨てないで……」

 高級マンションの一室で、紅音は太陽の光とともに目覚めたのだ。

「また、あの夢ですか。全く、あの男……。許せませんわね。ちょっと、誰かいないの? わたくしに水を持ってきてちょうだい!」

 紅音の声で水を持ってきたのは、一号と呼ばれるイケメン男性。実はこのマンションに、紅音は五人ほどイケメンを連れ込んでいるのだ。

「お待たせしました。紅音様」
「全く、遅いのよ! わたくしを待たせるなと何度言えば分かるのかしら?」
「も、申し訳……ありません」

 この紅音という女性、婚約者に振られてから、性格が変わってしまったのだ。イケメンを自分のそばにおき、飽きたらゴミのように捨てる。そんな日々が繰り返されていた。

「これなら、前の一号の方が優秀だったわね。それで、あの男はいつになったら、わたくしの元に引っ張ってくるのです?」
「それにつきましては、本日、出勤途中を狙って、紅音様の前にお連れする予定です」
「そう。分かったわ」

 ベッドから起き上がると、用意されている朝食に手をつける。すると、三号から雅俊を捕まえたと連絡が入ったのだ。その報せに、紅音の顔は悪魔のように笑っていた。


「ぼ、僕をどうするつもりだ! あ、紅音!? キミの仕業なのか!」
「お久しぶりね? 雅俊さん。全く、アナタにはうんざりよ。毎晩あの悪夢を見させられるの。だからね?」

 雅俊は、イケメン軍団に顔を床に押し付けられ、屈辱的な格好で紅音に問いかけていた。だが、紅音に渡された道具を見ると、顔が青ざめたのだ。

「あ、紅音……? それは、冗談だよ……な?」
「くすっ、ええ、もちろん、本気よ。こういう結果になったのは……あなたのせいですわよ?」

 悪魔の微笑みを浮かべ、雅俊の元へ近づいたのだ。そして、悲鳴とともに、雅俊という人間はこの世から消えていた。その代わり……六人目の男が紅音のそばにいたのであった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

君の浮気にはエロいお仕置きで済ませてあげるよ

サドラ
恋愛
浮気された主人公。主人公の彼女は学校の先輩と浮気したのだ。許せない主人公は、彼女にお仕置きすることを思いつく。

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

処理中です...