上 下
114 / 199

第二十七章「クラン戦」(5)

しおりを挟む


 僕たちはキルヒシュラーガー邸のログハウスでメアリーの話を聞くことにした。

 (落ち着いて話を聞く時は、珈琲コーヒーがいちばん)

 僕はみんなにメアリーの応対を任せて、お湯を湧かしてポットに移し、お湯を少しだけ冷ました。
 色々試してみて、深煎りのコーヒーはこうした方がスモーキーさが出過ぎず、イガイガした感じにならなくなって美味しくなることがわかったのだ。
 逆に浅煎りの場合はなるべく高温の方が後味まで甘くなって美味しいと思う。

 お湯を冷ましている間にフィルターを湯通ししておく。
 お湯が適温になったら豆を挽いた粉を入れ、全体が濡れるようにお湯をかけて、30秒から1分ぐらい蒸らすと、粉が「もこもこ」っとしたドーム状になる。
 あとは『の』の字を描くようにゆっくりとお湯を注いでいって、フィルターの中のお湯がなくなる頃にまた注いでいく。
 ハッキリ味を出したい時は少し強めに注いで、穏やかな味わいにしたい時は静かに注ぐ。
 素人感覚だけど、こうやって淹れると自分好みの珈琲に調節しやすかった。

「テレサ、いるかい?」
「はい、お兄様。……あぁ、いいかおりですね!」 
「ありがと」

 僕はにっこり笑って、一組のお皿とコーヒーカップをテレサに手渡した。

「これ、お屋敷にいる元帥閣下にお渡ししてくれる? たしか朝から書類作業をされていたと思うから」
「まぁ、お父様を気にかけてくださっていたんですね。ありがとうございます」

 テレサが受け取って、屋敷の方へ向かった。

「でも、こんなのをオレたちに見せていいのか? ウチの陣営に肩入れするってことだろ?」

 人数分の珈琲を淹れていると、キムがメアリーに聞いていた。

「ええ、そうですよ。城持ちクラン相手にクラン設立間もないベルゲングリューン伯が負けても、それは当たり前。記事にはならないですけど、逆なら……これはスクープです!!」
「報道ってのは公正中立が基本なのかと思ってたんだが……、そうでもないんだな」
「キム、公正中立な報道なんてものは存在しないよ」

 僕は珈琲を淹れながらキムに言った。

「人間という生き物が公正中立でない以上、公正中立な記者なんているはずがないし、公正中立な記者がいないなら公正中立な報道なんてあるはずがない。公正中立をうたう記者なんて、僕は絶対に信用しない。それは『自分が公正中立である』という思い込みが強いだけだということだからね」
「おおっ……記者である私の前でまさかの報道批判……」
「批判じゃないよ。あなたが公正中立を謳う記者じゃないとわかったから、こうして僕は珈琲コーヒーを淹れているんだよ」

 僕はにっこり笑って、トレイに載せたコーヒーカップをメアリーの前に置いた。

「おいしい……」

 銀縁シルバーフレームの眼鏡を湯気で少し曇らせながら、メルがつぶやく。
 メルはミルク入りだ。

「これが、ベル君が淹れた珈琲かぁ……」

 ミスティ先輩が言った。
 っていうか、いつの間にか呼び方が「まっちー君」じゃなくなっとる……。

「腕を上げたわね……、もう私が淹れるより美味しくなってる……」

 嬉しそうに、でもちょっぴり悔しそうにアリサが言った。

「にっがっ!! にっが!!!」

 花京院が大声で言ってぶち壊した。

「ええ……、そんなに苦くないと思うけど……」
「ミヤザワ君、花京院はまだ舌が子供なのだ」

 ジルベールが珈琲をシブく味わいながら言った。
 ジルベールがミヤザワくんのことを「ミヤザワ君」って呼ぶの、僕はちょっと気に入っている。

「お、俺はブラックでも全然平気だぜ」
「ルッ君は砂糖とミルクをお皿に置いてあるから、みんなが見てない時に使ってね」
「……そうだ、俺はヘンにカッコつけず、大人になるって決めたんだった。……でもさ、この場合、素直に砂糖とミルクを使うのと、無理してブラックを飲むの、どっちが大人だと思う?」
「そんなこと気にしないのが一番の大人よ」

 メルがきっぱりと言いながら、ミルクコーヒーを口にした。
 大人だ……。

「ほわぁぁ……、ほのかな酸味に深いコク、後からくる甘み……、ベルゲングリューン伯はえっちですねぇ……」
「あらアナタ、わかってるじゃない! しっかり味わいなさい! これがまつおちゃんの味なのよ!」
「だ、だからジョセフィーヌ! 飲めなくなっちゃうでしょ!! メアリーさんもちょっと自重してくれる?」

 メアリーとジョセフィーヌにユキがツッコんだ。

「……それで、このリストの◎、◯、△というのと、横の数字は何?」

 僕はカップを右手に、左手にリストを見ながら、メアリーに尋ねた。
 それぞれの組織と主要兵科がまとめられたリストの横には、◎、◯、△の記号と、「3ー5」といった数字が振られていた。

「◎は同盟クラン、◯は参戦確定、△は参戦予定です! 数字の方は、兵数と強さを10段階評価にしています。たとえば「1-10」なら兵数は少ないけどメチャ強いってことで、「10-10」は兵数も多いしメチャ強いってことです!」
「へぇ……、メアリーって有能なんだねー」
「えへへ、わかっちゃいましたか!!」

 メアリーがもんのすごいドヤ顔をしたので、僕は思わず顔をそらした。

「この『月光の魔術師団』というのが同盟クランか。兵科は魔導師で、3-7。厄介だな……」
「リーダーがメンバー唯一の大魔導師ハイウィザードで大魔法が使えます。得意技は範囲魔法の雷嵐魔法サンダーストーム
「そんなことまで調べてるの?!」
「えへへー」

 あ、しまった。うっかり褒めてしまった。
 褒めるたびにこんなえげつないドヤ顔さえしなければ、いくらでも褒めるのに。

「うーん、多いし、どの組織も兵数、強さともに評価が高めだなぁ……。メアリーはさ、なんかこう、それぞれのヤバいスキャンダルとか握ってないの?」
「へっ……?」

 メアリーがびっくりしたような顔で僕を見る。

「スキャンダルで相手を蹴落とすとか、ベルゲングリューン伯って、そんなエグいこともしちゃうんですか?」
「当たり前でしょ。手段なんて選んでられないんだから」

 僕はきっぱりと言った。

「うわー、その若さで英雄じゃなくて奸雄かんゆうタイプとは、恐れ入りました……」
「ふふ、僕はむしろ、君のそういう素質に期待をしているんだけどな」

 僕はそう言って、わざと邪悪な顔を作ってメアリーに笑った。

「ユ、ユ、ユキちゃん……、ベルゲングリューン伯って、今まで聞いてた話よりおっかない人なんだけど!! めっちゃ腹黒いよ!! この人!!」

 僕に聞こえないように小声で隣のユキに話しているんだろうけど、地声が大きいので全部聞こえている。

「まっちゃんは元からこういう奴よ、メアリーさん。策士策におぼれるっていうか、腹黒いことばっかり考えすぎて、目の前の穴に頭からずっぽりハマっちゃうタイプね」

(……ひどい言われようだ)

「で、どうなの? 君なら何か情報を握っているんじゃない?」
「え、えっと……、月光の魔術師団には、『いくみん』という名の魔導師がいるんです。魔導師としての実力は大したことないのですが、その、なんというか、男だらけのクランの『姫』的な存在で。クランメンバー同士で彼女を取り合っている状態です。リーダーもその一人で、結構泥沼入ってます」
「うわぁ……」

 アリサがうめいた。

「そんなクラン、私だったらすぐ辞めちゃうな」
「それが、『いくみん』さんはまんざらでもないみたいで、自己陶酔しながら言う、『わたしのために争わないで……』が口癖になっています」
「そういうコに限って、大して可愛くなかったりするのよねェ~」

 ジョセフィーヌが言った。
 ジョセフィーヌは基本的にブリッ娘ちゃんしている女性に辛辣だ。

「まだ、メンバーの誰とも付き合ってないの?」
「そのようです。実は既婚で、旦那さんは南のエスパダ王国に単身赴任中という噂も……」

 メアリーの生々しい情報提供に、みんながドン引きしている。

「……なるほど。よし、ルッ君が大活躍する時が来たようだ」
「へっ、俺?!」

 急に名指しされて、ルッ君が目を丸くした。

「『暁の明星』のリーダーから『いくみん』への偽ラブレターを作って、花束と一緒に送る。内容は、『君がメンバーに隠れて『月光の魔術師団』のリーダーと関係があるのは知っているが、私はあの時の夜のことがどうしても忘れられない。今回のクラン戦が終わった時には私の勇名にも箔が付くだろう。その暁には、今のクランを抜け、私の元に来てくれないだろうか。あの情熱的な夜の続きがしたい』」
「「「「「「「う、うわぁ……」」」」」」」

 みんながドン引きしている声が聞こえるが、僕はあえて続けた。

「で、それをいくみんでも、月光の魔術師団のリーダーでもなく、いくみんに横恋慕していて、かつ、一番血の気が多そうな奴が偶然拾っちゃったていにする。その人選はメアリーがして、ルッ君はそいつが拾い上げる場所に設置する担当。手紙はやっぱりジョセフィーヌに書いてもらおうかな」
「べ、ベルゲングリューン伯、じょ、冗談ですよね? まさかクラン戦でそんな権謀術数を……」
「何を言うんだ。僕のことを奸雄と言ったのは君ではないか」

 ドン引きするメアリーさんに僕は言った。
 ジルベールが爆笑しているのが見える。

「まず、月光の魔術師団のメンバー内に亀裂が走る。で、リーダーが手紙を見て、今度は暁の明星との間に決定的な亀裂が生じる、と。『姫』を取り合うようなクランだ。元から一枚岩じゃないだろう」
「……クズ作戦すぎません?」

 メアリーがかすれた声で僕に言った。

「メアリー君。真の戦いとは、始まった時にはすでに勝敗が決まっているものなのだよ」

『あっはっは! 『はじまりの勇者』がそなたのようであれば、私も助力は惜しまなかっただろうにな』

 アウローラは上機嫌だった。

「くっくっく……、月光の魔術師団とやらも、卿を敵に回しさえしなければ、のんびり恋愛ごっこをやっていられたものを……」
「メアリーちゃん、ゴメンね……、ワタシ、そのお手紙書くの、ちょっとわくわくしちゃうかも……」

 ジルベールとジョセフィーヌも意外とノリノリだった。

「あのね、私、思うんだけど……。メアリーさんって、ベルくんに絶対に引き合わせちゃいけない人だったんじゃ……」

 アリサがぼそっと言った。

「私もそう思う。人喰鮫ひとくいザメに大海原を与えちゃったみたいな……」

 メルがぼそっと言った。
 ひどい……。

「で、大海原を与えちゃった人のことも食べちゃって、その人が死にながら「なんで食べたの?」って聞いたら、きっとこう言うのよ。『え? 僕が人喰鮫ひとくいざめだってことは知ってたんでしょう?』って……」
「こわっ! こっわ!!」

 ミスティ先輩とユキが言った。

「まぁまぁ、うまくいくとは限らないでしょ?」
「本当にそう思ってるなら、なぜ今、リストの『月光の魔術師団』に斜線を入れたですか……」

 メアリーが力なく僕にツッコんだ。

「戦わずに勝てたなら、敵も味方もハッピーでしょ。こういうのを上策というんだ。ヴェンツェルもきっとそう言うさ」
「絶対言わないと思う……」

 ユキが言った。

「……みんなをドン引きさせちゃったところで、ちょっとだけ、真面目な話をするよ」

 僕はメアリーに言った。

「連中は、僕らみたいな駆け出しのクランを大手ギルドで寄ってたかって総叩きにしようっていうんだ。野良犬をいじめた奴らが噛み返されて狂犬病になってしまったとしても、僕はそいつらに同情なんてしない」
「ごくっ……」

 メアリーが息を呑む音が聞こえる。

「もし君が書きたいなら、僕の今回の作戦も記事にしちゃっていいよ。僕に下手なケンカを売ったらこういう目に遭うんだってわかれば、もう少し賢く立ち回ろうとする人が増えるだろから」
「はわわ、そんな恐ろしいことできませんよ……。ベルゲングリューン伯って……、もう奸雄っていうか魔王なんじゃ……」

 メアリーが小声で言った。

「たぶんだけど……、ベル、実はすごく怒ってるんだと思う」

 メルが言った。

「普段はさすがに、ここまではやらないもの……」
「ありがと、メル」

 擁護してくれたメルに、僕はにっこり笑った。

「実はそうなんだ。勝手に僕の領内に立ち入って怒鳴り込んできたのも腹が立つけど、一番許せないのは、ここまで話を大きくしたことで、ミスティ先輩がめちゃくちゃ負い目を感じていることだ」
「ベル君……」
「暁の明星のクラン募集のチラシをもらってきたんだ。『退会自由! まずは気軽に入会申請を!』って大きく書いてあった。つまり、ミスティ先輩が何かを気にすることも、僕が連中から難癖つけられる筋合いもない」
「たしかに、そうだな」

 キムがうなずいた。

「だからさ、今回の戦いって、勝つのは難しいだろうけど、絶対勝ちたいんだよね。そのための手段を、選ばないとは言わない。僕はいつだって、目的のために手段を選ぶ」

 僕はみんなを見渡してから言った。

「でも、こんなのは『手段を選ばない』とは言わない。せっかくメルが擁護してくれたのにあれなんだけどさ、今後も、僕と戦う相手にこのぐらいのことは平気でするよ」
「あはは! よく考えたらそうかも」

 メルが笑った。

「若獅子祭の時の戦乙女ヴァルキリー騎士団も、すっごく怒ってたもんね」
「ジルベール大公に『お手』、させてたし……」
「俺の姉ちゃんといつの間にか仲良くなって、俺の弱みを聞き出してたし……」
「自分の手に付いた鳩のフンを、ロドリゲス教官のマントで拭いてたしな……」
「廃屋敷に籠もった正体不明の連中を閉じ込め、野犬などのフンを焼いていぶした時点で、私は卿に一般人の道徳観念は期待しておらん」
「しかもこいつ、クソを焼くのに俺が大事にしていた盾を使ったんだぞ? 信じられるか?」

 僕の過去の罪状を思い出して、みんなが妙に納得しはじめた。
 
「ところで、こっちの『弓手愛好会』っていう同盟クランなんだけど……」
「えっ、ほ、他にもやるんですか?!」

 メアリーがびっくりしたように顔を上げる。

「……だって、僕たちが勝って、君にいい記事をかいてもらわないとでしょ?」

 僕はメアリーに向かってにっこりと笑った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす

こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜

白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます! ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

石田三成だけど現代社会ふざけんな

実は犬です。
ファンタジー
 関ヶ原の戦いで徳川家康に敗れた石田三成。  京都六条河原にて処刑された次の瞬間、彼は21世紀の日本に住む若い夫婦の子供になっていた。  しかし、三成の第二の人生は波乱の幕開けである。 「是非に及ばず」  転生して現代に生まれ出でた瞬間に、混乱極まって信長公の決め台詞をついつい口走ってしまった三成。  結果、母親や助産師など分娩室にいた全員が悲鳴を上げ、挙句は世間すらも騒がせることとなった。  そして、そんな事件から早5年――  石田三成こと『石家光成』も無事に幼稚園児となっていた。  右を見ても左を見ても、摩訶不思議なからくり道具がひしめく現代。  それらに心ときめかせながら、また、現世における新しい家族や幼稚園で知り合った幼い友人らと親交を深めながら、光成は現代社会を必死に生きる。  しかし、戦国の世とは違う現代の風習や人間関係の軋轢も甘くはない。  現代社会における光成の平和な生活は次第に脅かされ、幼稚園の仲間も苦しい状況へと追い込まれる。  大切な仲間を助けるため、そして大切な仲間との平和な生活を守るため。  光成は戦国の世の忌むべき力と共に、闘うことを決意した。 歴史に詳しくない方も是非!(作者もあまり詳しくありません(笑))

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...