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第八章 暗黒王子と学園生活
心強い助っ人が増えました
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「桜の好みくらいちゃんと把握しとんで」
カナちゃんの優しさがじんわりと胸に染みる。今度は嬉しくて涙が出そうだった。
「ありがとう。やっぱり私、カナちゃん大好きだよ。今日改めてそれを再認識したよ」
カナちゃんは驚いたように大きな瞳をパチクリさせた後、そわそわしている。
「え、桜それって……」
「飴ちゃんにも驚いた。でも、普通自分が危険な目に遭ってる時に、『俺が足止めするからお前は逃げろ』なんて中々言えないよ。それ聞いて今日、本当に感動したよ」
「あかん、そういうの……リピートしたらあかんて! なんやめっちゃ恥ずかしいやん」
カナちゃんは顔を林檎のように赤く染めて、口元を手の甲で押さえて視線を泳がせている。
「私、あの時もし失敗してシロを止められなかったら……カナちゃんとなら、フラ○ダースの犬に出てくる、ネロとパトラッシュみたいになってもいいって本気で思ったんだよ」
「お前、そこまで……ちなみにそれ、パトラッシュどっち?」
カナちゃんはうっとりとした表情から一変し、途端に形の良い眉をひそめてそう尋ねてきた。
「カナちゃん」
「それ、コハッ君でええんとちゃうん? ほら、狐やし」
「コハクを友達としては見れない」
「ええなその台詞、一度でいいからお前に言われてみたいわ」
「カナちゃんを友達としては見れない」
「何でやろ。同じ台詞なのに、友達にもなれへん単なる知人みたいに聞こえるんは。やっぱあれか、表情が全てを物語っとるせいか」
「やだな、気のせいだよ」
お互いに顔を見合わせて、思わず吹き出した。ひとしきり笑った後、カナちゃんは真剣な顔をして口を開いた。
「なぁ、桜。コハッ君、きちんと目覚めるよな? 俺のせいで一生そのままとか嫌やで。こんな形で決着つけんのは納得出来へん。俺にも、何か協力させてくれへんか?」
面倒見の良いカナちゃんなら、正直に話せばきっと協力してくれると思ってた。損得勘定を抜きにして、昔から私が持ってきた厄介ごとを一緒に協力して助けてくれたから。
あんな酷いことをして迷惑かけたのに、さらにこれ以上巻き込むのは正直避けたい気持ちで一杯だった。
しかしカナちゃんがこの眼差しを向けてくる時は、私が何と言おうが聞かない時だ。たとえここで断ったとしても経験上、あの手この手を使って協力しようとしてくれるのが目に見えている。
それならば、最初から素直にお願いしておいた方が良いのかもしれない。
「よかったら、コハクに何でもいいから心の中で強く呼び掛けてくれないかな? 夜の十一時頃、私はその日の出来事を報告してるんだ。一人より、二人でした方が気持ちが伝わる気がするの」
「分かった。そないな幻術ん中より現実の方が楽しいでって、一杯教えたるわ」
「ありがとう。ちなみにそれ、シロにも聞こえるからね」
知らずに最初、ものすごく恥ずかしかったのを思い出した。親切心のつもりが、シロという名前を聞いた途端にカナちゃんの表情が険しくなった。
「……あいつが桜の隣に居るんは俺、正直認められへん。考えたないけど、もしコハッ君がずっと眠り続けたままやったら、シロに桜は渡さへんから」
カナちゃんの真剣な眼差しが、その本気度を物語っている。
「シロもね、普段は気まぐれで意地悪だけど、ちゃんと優しい所もあるんだよ」
シロが本当は悪い人じゃないと訴えるものの──
「普段の行いが悪すぎて、たまにええ事しただけで、めっちゃええ人に見えるだけとちゃうか?」
一理あると納得してしまい、「そ、そんな事ないよ……」と弱々しくしか返事を出来なかった。
確かに普段のシロは、一緒に居ても一人でツカツカと先に行っちゃうし、ちょっとからかうとすぐにセクハラしてくるし、面倒になると人の唇塞いで強制的に遮るし、学校も遅れてくるし、授業中は寝てばかりで生活態度もよくない。
でも、私が泣き止まなかった時はコハクのフリして優しく抱き締めてくれた。毎日コハクの夢見せてくれるし、スマホの使い方覚えてる時なんて子供みたいに無邪気で、私が彼を受け入れている間は本当に優しく接してくれるのも事実だ。
「これから先、男と全く関わらずに生きていくなんて無理な話や。その度に嫉妬してあんな暴走されたら、命いくらあっても足りへんで。お前、籠の中の小鳥みたいにずっと、あいつの檻ん中で縛られた人生送りたいんか?」
「それは……」
必然的に考えるのを避けていた。コハクがずっと目覚めない未来なんて。
その時、机で書類と向き合っていた橘先生がクルリと椅子ごと身体を翻して話に入ってきた。
「一条、西園寺の言う事は正しいぞ。俺の姉は陰陽師の家系だから妖怪にも慣れているし、扱い方も制御法も心得ている。だが、いくらハーフとはいえこうなってしまっては……お前さんにシロを、これ以上は俺も任せられない」
シロを私に任せられない、つまりそれは……もう彼と一緒に居れないと言う事?
コハクがより遠くへ行ってしまいそうな気がして、私は必死に訴えた。
「先生、シロは本当はすごく優しいんです! 暴走させてしまったのは私のせいで! 気を付けますから!」
先生は悲しそうに瞳を伏せると、静かに首を左右に振った。
「全部分かっているよ、あの一族の愛情は本物だ。コサメを見てたらよく分かる。だが……」
その時、橘先生の言葉を遮るようにしてカナちゃんが叫んだ。
「先生! だったら俺に、アイツの制御法を教えてもらえませんか? このまま無理に引き離したかて、桜も納得出来へんと思います。なんでせめて、文化祭終わるまで猶予を下さい。コイツ今、コハッ君のためにプリンセスコンテスト出る準備とか慣れへん事して頑張ってるんです。それ終わるまでにコハッ君、何がなんでも目覚めさせますんでお願いします」
深々と頭を下げたカナちゃに、橘先生は驚きを隠せないようで目を丸くさせて問いかけた。
「西園寺、お前さんわざわざ敵に塩送るような事していいのか?」
「知らん所とはいえ、コハッ君には一度塩送られてました。その借りを返したい言うのもありますけど、一番は……友達の力になってあげたいんです。桜もコハッ君も、俺の大事な友達ですから。だから、どうかお願いします!」
真摯なカナちゃんの思いに心を動かされたのか、橘先生は口元を緩ませた後、豪快に笑いだした。
私だけじゃない、カナちゃんもコハクの事を大事に思ってくれてたんだと、その思いが嬉しくてたまらなかった。
どうか、カナちゃんの思いがコハクの所まで届いていますようにと、そっと心の中で祈った。
「全く、若い奴等には敵わんな。真っ直ぐすぎて直視できやしねぇ。西園寺、お前のその選択、後で後悔してもしらねぇからな」
「男に二言はありません。勝負はフェアにしたい質なんで、それで負けるなら……きっと諦めもつきますから」
明るく笑った後、カナちゃんは口元に笑みを残したまま、少しだけ悲しそうに眉を下げた。
「難儀な道を選ぶとは、見かけによらず中々男前だな。いいだろう、ただしコハクが期限を過ぎても目覚めなかった場合、シロは実家に強制送還だからな」
橘先生のその言葉に、私とカナちゃんは「ありがとうございます」とお礼を言って、深々と頭を下げた。
こうしてカナちゃんは、橘先生からシロの制御法を習い始めた。
カナちゃんの優しさがじんわりと胸に染みる。今度は嬉しくて涙が出そうだった。
「ありがとう。やっぱり私、カナちゃん大好きだよ。今日改めてそれを再認識したよ」
カナちゃんは驚いたように大きな瞳をパチクリさせた後、そわそわしている。
「え、桜それって……」
「飴ちゃんにも驚いた。でも、普通自分が危険な目に遭ってる時に、『俺が足止めするからお前は逃げろ』なんて中々言えないよ。それ聞いて今日、本当に感動したよ」
「あかん、そういうの……リピートしたらあかんて! なんやめっちゃ恥ずかしいやん」
カナちゃんは顔を林檎のように赤く染めて、口元を手の甲で押さえて視線を泳がせている。
「私、あの時もし失敗してシロを止められなかったら……カナちゃんとなら、フラ○ダースの犬に出てくる、ネロとパトラッシュみたいになってもいいって本気で思ったんだよ」
「お前、そこまで……ちなみにそれ、パトラッシュどっち?」
カナちゃんはうっとりとした表情から一変し、途端に形の良い眉をひそめてそう尋ねてきた。
「カナちゃん」
「それ、コハッ君でええんとちゃうん? ほら、狐やし」
「コハクを友達としては見れない」
「ええなその台詞、一度でいいからお前に言われてみたいわ」
「カナちゃんを友達としては見れない」
「何でやろ。同じ台詞なのに、友達にもなれへん単なる知人みたいに聞こえるんは。やっぱあれか、表情が全てを物語っとるせいか」
「やだな、気のせいだよ」
お互いに顔を見合わせて、思わず吹き出した。ひとしきり笑った後、カナちゃんは真剣な顔をして口を開いた。
「なぁ、桜。コハッ君、きちんと目覚めるよな? 俺のせいで一生そのままとか嫌やで。こんな形で決着つけんのは納得出来へん。俺にも、何か協力させてくれへんか?」
面倒見の良いカナちゃんなら、正直に話せばきっと協力してくれると思ってた。損得勘定を抜きにして、昔から私が持ってきた厄介ごとを一緒に協力して助けてくれたから。
あんな酷いことをして迷惑かけたのに、さらにこれ以上巻き込むのは正直避けたい気持ちで一杯だった。
しかしカナちゃんがこの眼差しを向けてくる時は、私が何と言おうが聞かない時だ。たとえここで断ったとしても経験上、あの手この手を使って協力しようとしてくれるのが目に見えている。
それならば、最初から素直にお願いしておいた方が良いのかもしれない。
「よかったら、コハクに何でもいいから心の中で強く呼び掛けてくれないかな? 夜の十一時頃、私はその日の出来事を報告してるんだ。一人より、二人でした方が気持ちが伝わる気がするの」
「分かった。そないな幻術ん中より現実の方が楽しいでって、一杯教えたるわ」
「ありがとう。ちなみにそれ、シロにも聞こえるからね」
知らずに最初、ものすごく恥ずかしかったのを思い出した。親切心のつもりが、シロという名前を聞いた途端にカナちゃんの表情が険しくなった。
「……あいつが桜の隣に居るんは俺、正直認められへん。考えたないけど、もしコハッ君がずっと眠り続けたままやったら、シロに桜は渡さへんから」
カナちゃんの真剣な眼差しが、その本気度を物語っている。
「シロもね、普段は気まぐれで意地悪だけど、ちゃんと優しい所もあるんだよ」
シロが本当は悪い人じゃないと訴えるものの──
「普段の行いが悪すぎて、たまにええ事しただけで、めっちゃええ人に見えるだけとちゃうか?」
一理あると納得してしまい、「そ、そんな事ないよ……」と弱々しくしか返事を出来なかった。
確かに普段のシロは、一緒に居ても一人でツカツカと先に行っちゃうし、ちょっとからかうとすぐにセクハラしてくるし、面倒になると人の唇塞いで強制的に遮るし、学校も遅れてくるし、授業中は寝てばかりで生活態度もよくない。
でも、私が泣き止まなかった時はコハクのフリして優しく抱き締めてくれた。毎日コハクの夢見せてくれるし、スマホの使い方覚えてる時なんて子供みたいに無邪気で、私が彼を受け入れている間は本当に優しく接してくれるのも事実だ。
「これから先、男と全く関わらずに生きていくなんて無理な話や。その度に嫉妬してあんな暴走されたら、命いくらあっても足りへんで。お前、籠の中の小鳥みたいにずっと、あいつの檻ん中で縛られた人生送りたいんか?」
「それは……」
必然的に考えるのを避けていた。コハクがずっと目覚めない未来なんて。
その時、机で書類と向き合っていた橘先生がクルリと椅子ごと身体を翻して話に入ってきた。
「一条、西園寺の言う事は正しいぞ。俺の姉は陰陽師の家系だから妖怪にも慣れているし、扱い方も制御法も心得ている。だが、いくらハーフとはいえこうなってしまっては……お前さんにシロを、これ以上は俺も任せられない」
シロを私に任せられない、つまりそれは……もう彼と一緒に居れないと言う事?
コハクがより遠くへ行ってしまいそうな気がして、私は必死に訴えた。
「先生、シロは本当はすごく優しいんです! 暴走させてしまったのは私のせいで! 気を付けますから!」
先生は悲しそうに瞳を伏せると、静かに首を左右に振った。
「全部分かっているよ、あの一族の愛情は本物だ。コサメを見てたらよく分かる。だが……」
その時、橘先生の言葉を遮るようにしてカナちゃんが叫んだ。
「先生! だったら俺に、アイツの制御法を教えてもらえませんか? このまま無理に引き離したかて、桜も納得出来へんと思います。なんでせめて、文化祭終わるまで猶予を下さい。コイツ今、コハッ君のためにプリンセスコンテスト出る準備とか慣れへん事して頑張ってるんです。それ終わるまでにコハッ君、何がなんでも目覚めさせますんでお願いします」
深々と頭を下げたカナちゃに、橘先生は驚きを隠せないようで目を丸くさせて問いかけた。
「西園寺、お前さんわざわざ敵に塩送るような事していいのか?」
「知らん所とはいえ、コハッ君には一度塩送られてました。その借りを返したい言うのもありますけど、一番は……友達の力になってあげたいんです。桜もコハッ君も、俺の大事な友達ですから。だから、どうかお願いします!」
真摯なカナちゃんの思いに心を動かされたのか、橘先生は口元を緩ませた後、豪快に笑いだした。
私だけじゃない、カナちゃんもコハクの事を大事に思ってくれてたんだと、その思いが嬉しくてたまらなかった。
どうか、カナちゃんの思いがコハクの所まで届いていますようにと、そっと心の中で祈った。
「全く、若い奴等には敵わんな。真っ直ぐすぎて直視できやしねぇ。西園寺、お前のその選択、後で後悔してもしらねぇからな」
「男に二言はありません。勝負はフェアにしたい質なんで、それで負けるなら……きっと諦めもつきますから」
明るく笑った後、カナちゃんは口元に笑みを残したまま、少しだけ悲しそうに眉を下げた。
「難儀な道を選ぶとは、見かけによらず中々男前だな。いいだろう、ただしコハクが期限を過ぎても目覚めなかった場合、シロは実家に強制送還だからな」
橘先生のその言葉に、私とカナちゃんは「ありがとうございます」とお礼を言って、深々と頭を下げた。
こうしてカナちゃんは、橘先生からシロの制御法を習い始めた。
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