精霊の港 外伝「兵長の憂うつ」

風見鶏ーKazamidoriー

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兵長の憂鬱

醜態

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「ツァルニィ、こういうの初めて? じゃあきよい体をたっぷり可愛がってあげる」

 ぞっとするほどサディスティックな表情、甘い声はハチミツのようにまとわりつく。泥酔でいすいしてタガの外れた青年はおおいかぶさり、信じられない怪力かいりきで俺を押さえこむ。

 みあった拍子ひょうしにランプは消え、荒い息づかいが顔へかかった。暗闇で見えなくてもシヴィルが笑う表情は想像できる。無論むろんされるままではない、かかとでシヴィルの脇腹をとばした。

うめいた彼はそれでもひるまず、悪態あくたいをついて俺の足首をつかむ。獲物に襲いかかる獣のごとく凶暴性きょうぼうせいきだして太ももへ噛みついた。いましめるように歯形をのこし股間の中心へ口をはこぶ。

「――――っっ!!! 」

 布ごしに強く噛まれて股間へ痛みがはしる。俺は声にならない悲鳴をあげた。荒々しく足をひらかれ引っかかっていた短パンも取り去られた。

「シヴィルッ!? 」

 腹を舐めていた生温かい舌は俺のものへダイレクトに触れ、歯形をつけられる。執拗しつようにペニスを噛まれ、濡れた舌でねっとり弄られる。痛みの中に快感をきざまれて身をよじらせ、シヴィルの頭をつかんだ指は小刻みにふるえた。

「うっ……く! ――――はっ」

 奥歯をかみしめてもれる声はすこしづつつやび、強く吸われてあっけなく果てた。足の筋は痙攣けいれんして体の力も抜ける。

 ペニスをもてあそんでいた舌は根元をたどり奥まった場所へもぐった。

「こんな見えないとこまでキレイに洗ってるんだ? 」
「シヴィッ――そこはっ!? 」

 他人には見られたこともない尻の双丘を割りひらかれた。おかまいなしに舌は奥のすぼまりをつつき、唾液のぬめりがくぼみのひだをなめる。ちいさな軟体生物におかされてる気がして背筋がふるえた。

「ふっ……っ……あっ」
「ふふ、ヒクついてる。僕を誘ってる? 」
「やめろっ、何をしてるか分かっているのか!? ……っくぅ」

 羞恥しゅうちもいわれぬ感覚、窄まりは収縮して鼻へかかる声がもれた。俺の情けない声を聞いたシヴィルはランプつぼをひっくり返し、オイルを自身のペニスへ塗りたくった。暗闇にあやしく反射するいちもつは天井をあおいでいた。

「まさかシヴィルッ! そこ……ぐっ――――うぐあぁっ!? 」

 言い終わらないうちにシヴィルのみゃくうつ先端が窄まりをこじ開ける。オイルですべって無理やり侵入され激痛がはしる。

 俺の尻いっぱいになったいちもつはヌルヌルと動いた。不快感と痛みでうめき、押しかえそうとしたけど力は入らず内側をかき回される。あばれるペニスは浅い部分を突き、俺の反応に気づいたシヴィルがそこをこする。痛みは快楽へ変化して奥がうずき俺の下半身は勃起ぼっきした。

 尻を突かれて反応するなど信じられない、そり返った先端は汁をたらした。



「ぅっ――シヴィッ――っぁあ!! 」

 内臓をかき回される不快感は快感へ変わった。広げられた尻はシヴィルに何度も突かれ、卑猥ひわいな音を暗闇へひびかせる。浅い部分を擦っていたペニスはさらに奥まった場所へ到達する。

「あぐっ――やめっ――うぁっっ! あああっ!! 」

 腰を激しく打ちつけられ、噛んでいたシーツは離れた。容赦ようしゃのない動きにゆさぶられてベッドはきしみ、俺の先端から生温かい液体がとびちって2人をけがした。唇をゆがめ満面の笑みをうかべる青年は俺を突きつづける。

 寒い部屋で蒸発しそうなほど熱い腰がぶつかった。汗が背筋をつたい、のけ反った俺は残っていた液体をすべて吐きだした。

 シヴィルの雄がいちだんと深く入りこみ、尻の奥へ若い血潮ちしおをぶちまける。

「ツァルニッ……う……――ふぅ」
「ふ――――」

 ハァハァと荒い息をくりかえす。汗ばんだ肌をシヴィルが舐め、首筋をかるく噛まれた。あごを伝う舌が唇へ届くまえに意識のなくなった青年はおおいかぶさり弛緩しかんした。背徳はいとく残滓ざんしへアレを埋めたまま心地ここちいい寝息をたてる。



「…………せめて抜いてから寝てくれ」

 天井へさしたかすかな月の光を見つめていたが、かさなりあった温かさに目を閉じる。





 慣れない部分を侵されて疼痛とうつうを感じ、起きあがろうとしてうめいた。汗や2人分の液体で毛布はドロドロだ。寝てるシヴィルへブランケットをかけ、よごれた毛布を洗い場のカゴへ入れた。

 個室には風呂がなく兵士は隣接された浴場へ入る。脱衣所に人けがないのを確認して胸をなでおろした。太ももにはシヴィルの歯形が残っていて、他の兵士が来るまえに体を洗って浴槽で温まった。普段は自己鍛錬じこたんれんをおこないじっくり浴槽へかるけど、今日は気が気ではない。

 さいわい誰にも出会わず風呂場を後にした。



「ツァルニ、いつも早いな。もう出来てるぜ! 」

 顔をのぞかせた食堂の親父がにんまり笑った。テーブルへ着くと出来たてのむぎがゆが運ばれてくる。オムレツと茹でたカリフラワー、果物もついてバランスがいい。以前はチーズと茶色い肉料理ばかりだったが、港町の兵が駐留ちゅうりゅうしたことをきっかけに料理に目覚めた様子だ。

 早朝に起きてる者は少数、黙々と食べる俺を見ていた食堂の親父は鼻歌をうたいながら皿を下げた。

 部屋ではシヴィルがブランケットをかぶり絨毯のうえで丸まっていた。人の気も知らず、幸せそうな寝息をたて無性むしょうに腹が立つ。

「いつまで寝てるシヴィル! 起きろ! 」
「うぅ~ん、なんだか生ぐさい~」

 頭痛で苦しむ彼に風呂へ行くよう促す。起きるのをしぶったため、二日酔いに効く薬草を押しこんだ。

「うぇ苦い~」
「さっさと風呂入ってこい。こっちはお前の付けたあとのせいで朝から大変なんだぞ! 」
「へ? あと? あとって何? 」
「…………なんでもない。さっさと行け」

 泥酔した彼は昨晩のことを覚えていなかった。俺の醜態しゅうたいを覚えてなくてホッとしたけど複雑な気分だ。ひっくり返されたランプをき、部屋を片づけ昨晩の痕跡こんせきを消した。


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