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36 血液交換の時間だ
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最近は『休まない』という選択肢がなくなりつつある。『休まずやる』のではなく、いかにして『休みつつやる』のか、それを考えるほうが人道的にも法的にも正しい。『終わるまで休まない』はまさしく時代錯誤ということか。
先月末に見たある記事が記憶に残っている。『郵便局窓口業務の昼休み拡大』というやつ。
郵便局の昼休み…なんとなく違和感はあるものの、まあ普通あるよね?という感覚だった。労働に関する法律がある以上、一定の就労時間がある者がそれに準じた休み時間を取得できることは普通のことだし。最近は色々うるさいし。
では感じた違和感の正体は何か?
ぼんやりとになってしまうが、おそらく『金融機関とか郵便局の窓口が昼休みを一斉に取っちゃうと、昼休みにしかそういうところに来れない人はどうなっちゃうの?』というのが違和感の正体だと思う。
郵便局の業務は大きく分けて『金融』『保険』『郵便』の3つだと思う。どの業務も時と場合によっては直接窓口に出向かないと解決しない場合がある。そういう時に「昼休みで片付けられないのは困る!」という意見が必ず出てくる。
銀行の昼休み導入時も同じことが言われていた。
曰く「仕事の合間に銀行に行かなくてはいけないのに、平日の昼休みに窓口が開いていないと困る」「ちょっとしたことでも手数料を取るようになったのに、利用者の負担増にしかならないじゃないか」といったところか。
少々話が飛ぶが、自分が家を買った時のこと。
やや特殊な買い方をしたせいもあるからなのか『関係者が一堂に介して取引を完結させないといけない』という縛りがあり、年明け早々の結構忙しいタイミングで銀行に行かなければならなくなってしまった。
当日、集まったのは以下の通り。買い手(俺)、買い手側業者、売り手、売り手側業者、銀行の融資担当者2人と、銀行の会議室に通されて結構な緊迫感のある中での取引だった。(決して違法脱法行為はない)融資が通り無事支払いも済ませた段階で、銀行側の2人が一旦離席した。そのタイミングで、売り手側業者がポツリとつぶやいた。
「銀行はどうして土日とか開けないんだろうね?手数料とか、この時代に平日の3時までしかやってないとか、普通の企業だと何らかの対応策を出すもんなんだけど。年始の結構忙しい時期に全員が都合をつけて平日の早い時間(午前中)に集まらないと手続きできないとかさ、こういうのを週末でもできるようにするのが今の時代に合わせた改善なんじゃないのかね?」
その後すぐに銀行側が戻ってくると、何事もなかったかのように「これから帰っても仕事になんないから、観光でもして帰るかー」と談笑をしだしたのは衝撃的だった。流石に『そういう系統の仕事』をしているだけのことはあると、変わり身の早さに妙に唸らされた一幕といえる。
この売り手側業者の一言は、後々まで色々なことを考えさせられる内容だった。
特に一言の背景にある『金融機関の融通の利かなさ』は、普通に仕事をしている身としては嫌と言うほど同意できた。これが土曜日とかだったらあの予定を繰り上げる必要もなかった…とか、色々と思うところも出てくるわけで。前段の『郵便局の昼休み拡大』に対する感情としても、なんとなくここに帰結するのか…と思えてくるのです。
結論として『郵便局とか銀行とか、こっちが用を足したい時に窓口とか業務がやってないとかがあるのは納得できん!』という小市民的理論に行き着いてしまう。平日は休みを取らないと用を足しに行けない勤め人としては、もう死活問題じゃないですか!と声を大にして言いたくもなる。
ただね、こっちの一方的な理屈はよろしくないじゃないですか。というわけで、ちょっとその辺りを当の銀行側の人たちはどう思っているのか?サクッと検索してみました。
「そもそも昼休み時間で終わらないような用足しは、ちゃんと時間を取って準備をしてから銀行に来てほしい」
「手数料がかかるのは申し訳ないが、人件費削減をしながら支店数も維持していくので、ATMを使うとかWEBでやり取りするとか、人を介さないやり方も理解してほしい」
…けっこう真っ当な理屈だった。
確かにあちらさんの言い分も間違ってはいない。気が付いたら銀行の制服とかもないところ多いよね…ひょっとしたら窓口の人って、みんな派遣?とか、涙ぐましい努力の姿は垣間見えてくる。
なんか勝手にバブルの頃の銀行一人勝ちみたいな幻想を抱いていた自分がしょっぱいなぁ…
今回の表題は『人造人間キカイダー』の名悪役ハカイダーのセリフより。血液交換をしないと死んでしまうので、あと一歩までキカイダーを追い詰めても、時間が来るとトドメも刺さずに帰っていくシンデレラボーイ。かっこよさの中にどことなくマヌケ感が漂う、ある意味『時間』という概念に最も縛られたキャラである。他にもビジンダーとかワルダーとか、気になる奴が多いなぁ…
先月末に見たある記事が記憶に残っている。『郵便局窓口業務の昼休み拡大』というやつ。
郵便局の昼休み…なんとなく違和感はあるものの、まあ普通あるよね?という感覚だった。労働に関する法律がある以上、一定の就労時間がある者がそれに準じた休み時間を取得できることは普通のことだし。最近は色々うるさいし。
では感じた違和感の正体は何か?
ぼんやりとになってしまうが、おそらく『金融機関とか郵便局の窓口が昼休みを一斉に取っちゃうと、昼休みにしかそういうところに来れない人はどうなっちゃうの?』というのが違和感の正体だと思う。
郵便局の業務は大きく分けて『金融』『保険』『郵便』の3つだと思う。どの業務も時と場合によっては直接窓口に出向かないと解決しない場合がある。そういう時に「昼休みで片付けられないのは困る!」という意見が必ず出てくる。
銀行の昼休み導入時も同じことが言われていた。
曰く「仕事の合間に銀行に行かなくてはいけないのに、平日の昼休みに窓口が開いていないと困る」「ちょっとしたことでも手数料を取るようになったのに、利用者の負担増にしかならないじゃないか」といったところか。
少々話が飛ぶが、自分が家を買った時のこと。
やや特殊な買い方をしたせいもあるからなのか『関係者が一堂に介して取引を完結させないといけない』という縛りがあり、年明け早々の結構忙しいタイミングで銀行に行かなければならなくなってしまった。
当日、集まったのは以下の通り。買い手(俺)、買い手側業者、売り手、売り手側業者、銀行の融資担当者2人と、銀行の会議室に通されて結構な緊迫感のある中での取引だった。(決して違法脱法行為はない)融資が通り無事支払いも済ませた段階で、銀行側の2人が一旦離席した。そのタイミングで、売り手側業者がポツリとつぶやいた。
「銀行はどうして土日とか開けないんだろうね?手数料とか、この時代に平日の3時までしかやってないとか、普通の企業だと何らかの対応策を出すもんなんだけど。年始の結構忙しい時期に全員が都合をつけて平日の早い時間(午前中)に集まらないと手続きできないとかさ、こういうのを週末でもできるようにするのが今の時代に合わせた改善なんじゃないのかね?」
その後すぐに銀行側が戻ってくると、何事もなかったかのように「これから帰っても仕事になんないから、観光でもして帰るかー」と談笑をしだしたのは衝撃的だった。流石に『そういう系統の仕事』をしているだけのことはあると、変わり身の早さに妙に唸らされた一幕といえる。
この売り手側業者の一言は、後々まで色々なことを考えさせられる内容だった。
特に一言の背景にある『金融機関の融通の利かなさ』は、普通に仕事をしている身としては嫌と言うほど同意できた。これが土曜日とかだったらあの予定を繰り上げる必要もなかった…とか、色々と思うところも出てくるわけで。前段の『郵便局の昼休み拡大』に対する感情としても、なんとなくここに帰結するのか…と思えてくるのです。
結論として『郵便局とか銀行とか、こっちが用を足したい時に窓口とか業務がやってないとかがあるのは納得できん!』という小市民的理論に行き着いてしまう。平日は休みを取らないと用を足しに行けない勤め人としては、もう死活問題じゃないですか!と声を大にして言いたくもなる。
ただね、こっちの一方的な理屈はよろしくないじゃないですか。というわけで、ちょっとその辺りを当の銀行側の人たちはどう思っているのか?サクッと検索してみました。
「そもそも昼休み時間で終わらないような用足しは、ちゃんと時間を取って準備をしてから銀行に来てほしい」
「手数料がかかるのは申し訳ないが、人件費削減をしながら支店数も維持していくので、ATMを使うとかWEBでやり取りするとか、人を介さないやり方も理解してほしい」
…けっこう真っ当な理屈だった。
確かにあちらさんの言い分も間違ってはいない。気が付いたら銀行の制服とかもないところ多いよね…ひょっとしたら窓口の人って、みんな派遣?とか、涙ぐましい努力の姿は垣間見えてくる。
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