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第54話『Q.正しい情報収集法とは?』

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「さて、そしたら出発するか」

「おう! 初仕事がガイと一緒なんて心強いよ」

 俺たちは拳をコンっとぶつけ合うと目的地の村を目指しギルドを出た。

「村まではどうやっていくんだ?」

「俺たちには立派な足があるだろ?」

 おいまさか走って行く気じゃないだろうな。俺は良いけどガイはその大剣持ってどうやって走るんだよ。少なくとも俺についてこれるとは思えない。

「っていうのは冗談で、馬車を使うんだ。報酬も積まなきゃいけないからな」

「そ、そうか」

 俺はそっと胸をなでおろした。
 理由はある出来事に付帯するのだが、まぁざっくり言うと海音の大荷物を持たされて五キロの移動を強いられたと言う事件があったのだよ。なんで走るの遅い奴のために頑張って軽装できた俺が荷物を持ってやらなあかんのや! と文句を言うとラーメン奢ってやるから頼むと言われ仕方なく持ってやった。
 しかしもう二度とあんな思いはしたくない。馬車での優雅な旅。最高です。
 俺たちは村に移動販売をしに行くと言う荷馬車に乗せてもらうこととなった。




 ■■■




「ここが依頼があった村か」

「確かに酷いな」

 村にはいくつもの畑や牧場があるが、そのほとんどが何者かによって荒らされた跡があった。しかもそれがあまりにも酷い。確かにこれではまともな報酬は払えないかもしれない。

「取り敢えず依頼主のところへ行こう」

「そうだな」

 俺はガイの後ろをついて行くこととした。初仕事ということもありあまり勝手がわかっていないのだ。ゲームならばクエストを受注してそのまま適当にクリア条件満たして帰ればよかったのだが、この世界では違うのだろうか。さっきガイは報酬を積むと言っていたし……。
 そんなことを考えていると、一際大きな一軒建ての家にたどり着く。正面についた大きな扉をノックすると、中から長い白ひげを生やしたお爺ちゃんが姿を現した。

「これはこれは冒険者様。もしや依頼を受けていただけたのでしょうか」

「ああそうだ。俺にバッチリ任せときな!」

「なんと心強い。どうぞ宜しくお願い致します」

 依頼する側というだけあってお爺さんはとても丁寧な言葉遣いで俺たちに応対していた。お爺さんはこの村の村長らしい。依頼書通り最初は自分たちでなんとかしようと試みたが、どうにも解決できずこうして俺たち冒険者に依頼したという事らしい。しかしそんな事を聞くためにガイはここまで来たのだろうか。これではただの挨拶だ。冒険者ってそんな律儀なのか?
 そんな俺の疑問などには気付きもしないガイは行動でその答えを示してくれた。

「ところで爺さん、村を襲うゴブリンについて知っている事を聞かせてくれないか。情報は時に命を救う。知っている事なんでも言ってくれ」

 そういうことか。やはり挨拶しに来ました。なんて簡単なものではないんだな。そう言えばRPGゲームでも現地の人に話しかけて情報収集とかするのは当然の流れだもんな。
 村長から得た情報はそれほど俺たちのためになるものはなかった。村の襲撃時刻、足跡の大きさ、落としていった金属くらいだ。
 しかしガイはその情報を聞いてニヤリと笑った。小声であたりだともいっていた気がする。一体何が当たったというのだろうか。
 俺たちはその後襲撃を受けた村の畑や牧場を見て回った。これもガイの提案だ。しかしこれに関しては俺にも納得がいく。さっきの足跡もそうだが、傷跡からゴブリンが使用する武器が予想できるのだ。足跡は大きさとかだな。敵の情報はいくつあっても損はない。
 こうして俺たちは半日かけて敵の情報を探った。

 そして夜。
 遂にその時が来た。ゴブリンが姿を現したのだ。俺は内心どんだけこの村ばっかり荒らすんだよ。そろそろ勘弁してやれよ。と思っていたが来てしまったのなら仕方がない。全員皆殺しにしてやるとしよう。
 夜の空に輝く月の光に照らされゴブリンたちの様子がよく見える。
 と言うかこの世界の太陽と月みたいなアレはなんて言うんだろうな。まぁこの際それはどうでも良いか。今度学校の先生にでも聞いてみよう。
 俺たちは今家の陰に隠れてゴブリンの様子を伺っている。村の人達には絶対に外に出ないように言っていた。理由は畑に落ちていた矢だ。これまで柵を立てて対抗したりはしていたが外に出て待ち構えると言うことは幸いにもしていなかった。もしそんな事をしていたら村の人はゴブリン達の姿を見る前に矢で射抜かれていただろう。
 今もゴブリン達は茂みから畑に向かい矢を放ち敵がいない事を確認している。
 どうやら敵がいない確認が取れたようだ。こう言ったところからこのゴブリン達が慎重な性格をしていることがわかる。
 確認を終えたゴブリンは村の人の協力を得ながら俺たちが日中に補強し直した柵を飛び越え畑への侵入を試みる。
 そこには俺特製の罠が仕掛けられているとも知らず。
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