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第31話『Q.女子とのお買い物はどうですか?』
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翌日の日曜日。集合時間の午前九時ジャストに俺は言葉を失った。視線が迷子になる。
現れたのは私服姿のユナとティナ。V字ネックの七分袖シフォンワンピースに薄い生地でできたベストを前を開けて着ているのはユナ。白のシフォンワンピースに黒のベストが加わる事で、フワフワとした可愛らしさの中にセクシーさが加わり、大人っぽい可愛さが伝わってくる。茶色のロングブーツもまた、大人の雰囲気を醸し出しているように感じる。そしてトドメのネックレスとイヤリング。俺の心は完全に射抜かれた。
しかし、俺の前にはもう一人の美女がいる。黒のスキニーパンツに薄青いシャツを少し余裕を持たせて着こなすその姿からは、クールなイメージが強く伝わってくる。そして、どこか余裕な雰囲気を見せている気がした。
「おはよーとおるぅ~」
「おはようさん」
先に声をかけてきたのはティナだった。クールなコーデとは裏腹に、元気の良い明るい挨拶が飛んでくる。俺はあまりジロジロ見ない程度に目を合わせて、いつもの感じで軽く挨拶を返す。
「おはよー。もしかして待った?」
「んやぁ? 俺もさっきついたとこだよ」
「そっか。ならよかった。……ま、まぁ?待たせてたとしても私には関係ないけどね!」
何でだよ……。どんなツンデレだ。ユナの言葉にはたまによくわからないところがある。ツンデレというか、俺にはツンツンしかしてない気がするが……。実際は一時間くらい待ったけど、まぁそれはいいや。そこは男の何ちゃらってやつですから。
さてさて、俺が目のやり場に困っていると背後から能天気な声が飛んできた。
「やあみんな。時間ピッタリだねぇ」
「お前は一分遅刻だ」
「すまんすまん。ちょっと寝坊しちゃってさ」
こいつ絶対わざとだな。俺が目のやり場に困ってるところを遠くから眺めてたんだそうに違いない。
俺がそんな視線をテューに向けると、テューはテヘペロっと舌を出してきた。
あとで絶対に仕返ししてやる。
「何二人で見つめ合ってんのよ」
「放っておいて行きましょ」
あきれた様子で俺たちを無視して行く女子二人。流石です。もう俺たちの扱いに慣れているようです。
そんなこんなで俺の初の異世界観光は幕を開けた。
■■■
「これなんてどうかな?」
「いいんじゃない? あ、でもこっちもいいかも!」
あぁ目の保養だぁ……。
現在地、服屋更衣室前。着替えてはお披露目、また着替えてはお披露目。可愛い女子二人によるファッションショーである。
俺がニマニマしながらその様子を眺めていると、テューもまた隣でニマニマし始めた。二つのニマニマでにニマニマ。にニマニマニマ、にニマニマ。早口言葉にもならんな。
「ねぇ、トールは……どう思う?」
先ほどまで空気だった俺たちだったが、気に入ったものが見つかったのか突然ユナが俺に感想を求めてきた。
いやマジ天使。なんかちょっと恥ずかしそうにしてるとことか最高です。
「い、いいと思うよ。うん。……可愛いと思う」
やべ。ちょっと勇気出して言っちまったよ。大丈夫かなぁ……。
俺は恐る恐るユナの顔を見る。以外にもユナは冷静……いや、めっちゃ顔が赤かった。
あぁこれだけで言った甲斐があったというものだ。
「か……可愛い……。そ、そう? 普通だと思うけど」
「いやーユナレアは何着ても可愛いですのぅ~」
「貴方には聞いてません」
未だニマニマしながら会話に参加してきたテュー。しかしユナによって適当にあしらわれてしまった。
そして、続くティナは自信ありげな表情で胸を張っている。
「私の親友よ! 可愛いに決まってるじゃない!」
なんでティナが得意げなんだよ……訳がわからないよ。
しかしそう言っているティナのコーデは先ほどとは違い、フワフワとした可愛さ重視のものだった。
「ティナはいつものイメージと違うけどぉ~それもまたいいですのぉ~」
なんなんだこいつさっきから。孫を眺めるジジイか。俺は心の中でツッコミを入れながらティナへと視線を移す。
なるほど。確かにさっきまでのクールなコーデとは違い可愛い女子って感じだ。
今までのイメージでは想像もつかないその格好に、感心していると、先程まで澄ました顔をしていたティナが急に照れた表情を見せてくれた。
「ユナが似合うっていうから来てみたの。私的にはあんまりこういうフワフワしたのは好んで着ないんだけど……」
「大丈夫! すご似合ってるわ!」
だからなんでお前ら互いに得意げなんだよ……訳がわからないよ(二度目)
「じゃあちょっと会計済ませてくるわね」
そう言って二人は元の服へと着替えると嵐のようにレジへと向かい去って言った。
流石はテンペストとそのライバルです。
その後も俺たちは色々な場所へ行った。主には俺が王都が初めてということで人気スポットの紹介だ。お昼は穴場のカフェで優雅なひと時を過ごした。今日は本当に充実している。
そう。この時までは思っていた。
■■■
巨大な爆音とともに土煙が立ち込める。俺たちはその場へと急いで向かった。
そこにあったのは――。
「グルルルル……」
禍々しい黒の毛に全身が覆われた狼のような動物。大きな四つの目をギョロッと動かせば、野次馬たちは一歩後ずさる。
「まさか、シャドウウルフ!?」
それはこの世界に存在する魔物の名。空から降って来たのは森にいるはずの魔物だった。
現れたのは私服姿のユナとティナ。V字ネックの七分袖シフォンワンピースに薄い生地でできたベストを前を開けて着ているのはユナ。白のシフォンワンピースに黒のベストが加わる事で、フワフワとした可愛らしさの中にセクシーさが加わり、大人っぽい可愛さが伝わってくる。茶色のロングブーツもまた、大人の雰囲気を醸し出しているように感じる。そしてトドメのネックレスとイヤリング。俺の心は完全に射抜かれた。
しかし、俺の前にはもう一人の美女がいる。黒のスキニーパンツに薄青いシャツを少し余裕を持たせて着こなすその姿からは、クールなイメージが強く伝わってくる。そして、どこか余裕な雰囲気を見せている気がした。
「おはよーとおるぅ~」
「おはようさん」
先に声をかけてきたのはティナだった。クールなコーデとは裏腹に、元気の良い明るい挨拶が飛んでくる。俺はあまりジロジロ見ない程度に目を合わせて、いつもの感じで軽く挨拶を返す。
「おはよー。もしかして待った?」
「んやぁ? 俺もさっきついたとこだよ」
「そっか。ならよかった。……ま、まぁ?待たせてたとしても私には関係ないけどね!」
何でだよ……。どんなツンデレだ。ユナの言葉にはたまによくわからないところがある。ツンデレというか、俺にはツンツンしかしてない気がするが……。実際は一時間くらい待ったけど、まぁそれはいいや。そこは男の何ちゃらってやつですから。
さてさて、俺が目のやり場に困っていると背後から能天気な声が飛んできた。
「やあみんな。時間ピッタリだねぇ」
「お前は一分遅刻だ」
「すまんすまん。ちょっと寝坊しちゃってさ」
こいつ絶対わざとだな。俺が目のやり場に困ってるところを遠くから眺めてたんだそうに違いない。
俺がそんな視線をテューに向けると、テューはテヘペロっと舌を出してきた。
あとで絶対に仕返ししてやる。
「何二人で見つめ合ってんのよ」
「放っておいて行きましょ」
あきれた様子で俺たちを無視して行く女子二人。流石です。もう俺たちの扱いに慣れているようです。
そんなこんなで俺の初の異世界観光は幕を開けた。
■■■
「これなんてどうかな?」
「いいんじゃない? あ、でもこっちもいいかも!」
あぁ目の保養だぁ……。
現在地、服屋更衣室前。着替えてはお披露目、また着替えてはお披露目。可愛い女子二人によるファッションショーである。
俺がニマニマしながらその様子を眺めていると、テューもまた隣でニマニマし始めた。二つのニマニマでにニマニマ。にニマニマニマ、にニマニマ。早口言葉にもならんな。
「ねぇ、トールは……どう思う?」
先ほどまで空気だった俺たちだったが、気に入ったものが見つかったのか突然ユナが俺に感想を求めてきた。
いやマジ天使。なんかちょっと恥ずかしそうにしてるとことか最高です。
「い、いいと思うよ。うん。……可愛いと思う」
やべ。ちょっと勇気出して言っちまったよ。大丈夫かなぁ……。
俺は恐る恐るユナの顔を見る。以外にもユナは冷静……いや、めっちゃ顔が赤かった。
あぁこれだけで言った甲斐があったというものだ。
「か……可愛い……。そ、そう? 普通だと思うけど」
「いやーユナレアは何着ても可愛いですのぅ~」
「貴方には聞いてません」
未だニマニマしながら会話に参加してきたテュー。しかしユナによって適当にあしらわれてしまった。
そして、続くティナは自信ありげな表情で胸を張っている。
「私の親友よ! 可愛いに決まってるじゃない!」
なんでティナが得意げなんだよ……訳がわからないよ。
しかしそう言っているティナのコーデは先ほどとは違い、フワフワとした可愛さ重視のものだった。
「ティナはいつものイメージと違うけどぉ~それもまたいいですのぉ~」
なんなんだこいつさっきから。孫を眺めるジジイか。俺は心の中でツッコミを入れながらティナへと視線を移す。
なるほど。確かにさっきまでのクールなコーデとは違い可愛い女子って感じだ。
今までのイメージでは想像もつかないその格好に、感心していると、先程まで澄ました顔をしていたティナが急に照れた表情を見せてくれた。
「ユナが似合うっていうから来てみたの。私的にはあんまりこういうフワフワしたのは好んで着ないんだけど……」
「大丈夫! すご似合ってるわ!」
だからなんでお前ら互いに得意げなんだよ……訳がわからないよ(二度目)
「じゃあちょっと会計済ませてくるわね」
そう言って二人は元の服へと着替えると嵐のようにレジへと向かい去って言った。
流石はテンペストとそのライバルです。
その後も俺たちは色々な場所へ行った。主には俺が王都が初めてということで人気スポットの紹介だ。お昼は穴場のカフェで優雅なひと時を過ごした。今日は本当に充実している。
そう。この時までは思っていた。
■■■
巨大な爆音とともに土煙が立ち込める。俺たちはその場へと急いで向かった。
そこにあったのは――。
「グルルルル……」
禍々しい黒の毛に全身が覆われた狼のような動物。大きな四つの目をギョロッと動かせば、野次馬たちは一歩後ずさる。
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