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第16話『Q.ステータスは上がりましたか?』
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さてさて、レベルは3に上がっていたわけだが、ステータスが上がっていなければ意味がない。頼む。ステータスよ上がっていてくれ。
俺はそう念じながらステータスを覗く。
天草とおる
人族 男性
lv.3 ランクH
スキルなし
HP/15 MP/5
STR/5 DEX/7
VIT/3 AGI/3
INT/1 MND/1
LUK/2
ちょとまてちょとまてお兄さん。どういうことか、説明してね? ……はい。
いやいやいや、マジで待ってくれ。HPはまだしも、他のステータスよ。レベル1に対して1しか上がってないぞ。上がってないやつもあるけどな。極め付けはLUKだ! なんで下がってるねん! まぁ確かに、最近運良かった気もしないでもないけどさぁ……減るのは無しだよぉ~。俺泣いちゃうよ。……これがソシャゲに置いてことごとくガチャの確率を破って来た男の力か。悪い意味でね。
「はぁ~……」
「何ため息なんてついてんだぁよっ! 勝ったんじゃねぇか」
「まぁな」
後ろから歩いて来たテューに背中をペチンッと叩かれた。しかし今はそれどころでは無い。試合には勝てたよ。問題はそこじゃ無いんだよ。そこじゃ無いんですよ。我が尋常なる相棒、マージョリー・テュー。いや、マージョリーでは無いね。
俺がなおもがっかりした様子で歩いているのでテューが気になってずっとちょっかいをかけてくる。仕方がないので俺のステータスを見せてやった。
通常ステータスは本人にしか認識することが出来ない。しかし浮き出たカーソルのようなものを見せたい奴に向けて二本の指を揃えて、ヒュイッと振ると見せることができるのだ。今知ったんだけどね。
「これは……お前、よく勝ったな」
はいそこー。笑っちゃいけませんよー。
このあと俺は逆にすごいと褒められる始末。なんでなんだよ! ……しかし、考えてみれば当たり前だが、気になる点が一つあった。それはHPの仕様だ。RPGゲームにおいてHPが0になればそのキャラは死、または瀕死となる。つまりHPが減れば減るほど息も切れるし、疲労が出てくるはずだ。だが今回の坊主頭くんとの対戦において、HPに関与したのは最後の一撃だけだ。なのに俺たちはお互い息を切らし、体力を消耗した。RPGゲームキャラにはスタミナは無い。故に何時間ゲームをしてもーー疲れて移動できませんーーなんて事はない。しかしここはゲームの中ではない。いや、そう断言はできないが、少なくともスタミナという概念がある。ならばそれはどこの数値で表されているのだろうか。いや、表されていないのだーー。やはりこの世界にはステータスでは表されない他の要素があるようだ。しかし入団試験の時の試験管はHPが0になれば死ぬと言っていたし……もしかすると異世界の俺だけ仕様が違うのかもしれないな。だからあの時、俺はHPが0になっても生きていたのかもしれない。死ではなく瀕死の仕様なのだろうか……。
そんなことを考えていると、すでに次の試合が始まっていた。対戦しているのは……え? あれ、もしかしてユナか?
そこには目にも留まらぬ速さで四方八方から相手を攻撃し、圧倒するユナの姿があった。
三十秒。それが彼女が相手を倒すために有した時間だ。他の学生と比べてもはるかに短いその時間に観客にいた全ての学生が目を奪われていた。
「すごいねぇユナレア」
「あぁ……」
ユナレアって何だよ。と、浅はかなツッコミは俺は入れないのさ。……にしても、アレは凄すぎる。この学校で一番強いんじゃないか?代表ってそういう事なのかな?
数分後、他の二組の試合も終わり、ユナが観客席に戻ってきた。疲れが見えない。まるでこんなの朝飯前だとでも言わんばかりだ。
「お疲れ様。凄かったね」
「そ、そう? ……んん、これくらい当然よ!」
なんか一瞬照れた気がするけど、咳払いの後の雰囲気からはやっぱり随分と余裕が感じられるな。しかしなんでそっぽ向かれるんだ?
「あらぁ? ちょっと照れた?」
「照れてない」
テューのいじりに即答するユナ。テューは面白がって追い討ちをかけるように言葉を続ける。
「またまた~さすが代表だなぁと思いましたぞ? お強い事で」
「……あなたもね」
浅く微笑み合う二人。
何と無くだが分かる。この二人……できる。どうやら俺なんかより二人は遥かに強いようだ。雰囲気的に察した。テューの試合は見ていなかったけど、三分経った時点でもー決着ついていたし、相当な腕なのだろう。
っていうかさ、みんな何でこの学校に通ってるんだろうね。あんなに強いならもう騎士になってもいいんじゃない? ーー今度聞いてみよう。
次の三組目も順当に終わり、本日ラストの三組。この中の組にはティナがいる。
「十三、十四、十五組目……ってまさか」
「ティティシードだね」
そろそろテューのあだ名シリーズには触れなくてもいいよね? ティナのことです。
予選十五組を行うと、次の第二予選は七組プラス一組になってしまう為、シードが出来る。そのプラス一扱いになるのが予選十五組目という事だ。
マジかよ半端ねえ。俺の友達みんな強いんですけど……なんでなん?
ティナがシードと分かっても余裕そうに"だね~"とか言ってるテュー。
幼馴染を自慢げに見守る早業生徒代表のユナ。
そしてシードのティナ。
呆気にとられる低ステータス異世界人とおる。
俺のパーティ強過ぎて逆に俺が場違いな気がしてきた。ティナの相手は……あんま強そうじゃないけど、アレもシードなんだよな。
生徒が見守る中、最後の三組が剣を構えて試合開始の合図を待つ。そしてーー。
「試合、開始!!」
予選最終試合がーー今、始まる。
○○○
とおるA「下がりました」
俺はそう念じながらステータスを覗く。
天草とおる
人族 男性
lv.3 ランクH
スキルなし
HP/15 MP/5
STR/5 DEX/7
VIT/3 AGI/3
INT/1 MND/1
LUK/2
ちょとまてちょとまてお兄さん。どういうことか、説明してね? ……はい。
いやいやいや、マジで待ってくれ。HPはまだしも、他のステータスよ。レベル1に対して1しか上がってないぞ。上がってないやつもあるけどな。極め付けはLUKだ! なんで下がってるねん! まぁ確かに、最近運良かった気もしないでもないけどさぁ……減るのは無しだよぉ~。俺泣いちゃうよ。……これがソシャゲに置いてことごとくガチャの確率を破って来た男の力か。悪い意味でね。
「はぁ~……」
「何ため息なんてついてんだぁよっ! 勝ったんじゃねぇか」
「まぁな」
後ろから歩いて来たテューに背中をペチンッと叩かれた。しかし今はそれどころでは無い。試合には勝てたよ。問題はそこじゃ無いんだよ。そこじゃ無いんですよ。我が尋常なる相棒、マージョリー・テュー。いや、マージョリーでは無いね。
俺がなおもがっかりした様子で歩いているのでテューが気になってずっとちょっかいをかけてくる。仕方がないので俺のステータスを見せてやった。
通常ステータスは本人にしか認識することが出来ない。しかし浮き出たカーソルのようなものを見せたい奴に向けて二本の指を揃えて、ヒュイッと振ると見せることができるのだ。今知ったんだけどね。
「これは……お前、よく勝ったな」
はいそこー。笑っちゃいけませんよー。
このあと俺は逆にすごいと褒められる始末。なんでなんだよ! ……しかし、考えてみれば当たり前だが、気になる点が一つあった。それはHPの仕様だ。RPGゲームにおいてHPが0になればそのキャラは死、または瀕死となる。つまりHPが減れば減るほど息も切れるし、疲労が出てくるはずだ。だが今回の坊主頭くんとの対戦において、HPに関与したのは最後の一撃だけだ。なのに俺たちはお互い息を切らし、体力を消耗した。RPGゲームキャラにはスタミナは無い。故に何時間ゲームをしてもーー疲れて移動できませんーーなんて事はない。しかしここはゲームの中ではない。いや、そう断言はできないが、少なくともスタミナという概念がある。ならばそれはどこの数値で表されているのだろうか。いや、表されていないのだーー。やはりこの世界にはステータスでは表されない他の要素があるようだ。しかし入団試験の時の試験管はHPが0になれば死ぬと言っていたし……もしかすると異世界の俺だけ仕様が違うのかもしれないな。だからあの時、俺はHPが0になっても生きていたのかもしれない。死ではなく瀕死の仕様なのだろうか……。
そんなことを考えていると、すでに次の試合が始まっていた。対戦しているのは……え? あれ、もしかしてユナか?
そこには目にも留まらぬ速さで四方八方から相手を攻撃し、圧倒するユナの姿があった。
三十秒。それが彼女が相手を倒すために有した時間だ。他の学生と比べてもはるかに短いその時間に観客にいた全ての学生が目を奪われていた。
「すごいねぇユナレア」
「あぁ……」
ユナレアって何だよ。と、浅はかなツッコミは俺は入れないのさ。……にしても、アレは凄すぎる。この学校で一番強いんじゃないか?代表ってそういう事なのかな?
数分後、他の二組の試合も終わり、ユナが観客席に戻ってきた。疲れが見えない。まるでこんなの朝飯前だとでも言わんばかりだ。
「お疲れ様。凄かったね」
「そ、そう? ……んん、これくらい当然よ!」
なんか一瞬照れた気がするけど、咳払いの後の雰囲気からはやっぱり随分と余裕が感じられるな。しかしなんでそっぽ向かれるんだ?
「あらぁ? ちょっと照れた?」
「照れてない」
テューのいじりに即答するユナ。テューは面白がって追い討ちをかけるように言葉を続ける。
「またまた~さすが代表だなぁと思いましたぞ? お強い事で」
「……あなたもね」
浅く微笑み合う二人。
何と無くだが分かる。この二人……できる。どうやら俺なんかより二人は遥かに強いようだ。雰囲気的に察した。テューの試合は見ていなかったけど、三分経った時点でもー決着ついていたし、相当な腕なのだろう。
っていうかさ、みんな何でこの学校に通ってるんだろうね。あんなに強いならもう騎士になってもいいんじゃない? ーー今度聞いてみよう。
次の三組目も順当に終わり、本日ラストの三組。この中の組にはティナがいる。
「十三、十四、十五組目……ってまさか」
「ティティシードだね」
そろそろテューのあだ名シリーズには触れなくてもいいよね? ティナのことです。
予選十五組を行うと、次の第二予選は七組プラス一組になってしまう為、シードが出来る。そのプラス一扱いになるのが予選十五組目という事だ。
マジかよ半端ねえ。俺の友達みんな強いんですけど……なんでなん?
ティナがシードと分かっても余裕そうに"だね~"とか言ってるテュー。
幼馴染を自慢げに見守る早業生徒代表のユナ。
そしてシードのティナ。
呆気にとられる低ステータス異世界人とおる。
俺のパーティ強過ぎて逆に俺が場違いな気がしてきた。ティナの相手は……あんま強そうじゃないけど、アレもシードなんだよな。
生徒が見守る中、最後の三組が剣を構えて試合開始の合図を待つ。そしてーー。
「試合、開始!!」
予選最終試合がーー今、始まる。
○○○
とおるA「下がりました」
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