上 下
87 / 106

第087話 ばんぞく~

しおりを挟む
 念のため。

 最後の、最後の、最後の確認のため。

 裏社会の人から教えられた経路。

 そちらに平和そうな使者を連れていたら、お金の要求とみてある程度手心を加える予定でしたが。

 はい。

 精霊さんの偵察の結果と致しましては、武装した斥候と護衛の集団が近づいているそうです。

 間違いなく、物騒な用件です。

 しょんぼりですよ?

 私がという訳ではなく、説明しないといけない事と、説明を受けた村の人達がという話です。

「という訳で、かくかくしかじか……」

 迫りくる脅威(笑)に関してはきちんと説明しないといけないので、村の人達を集めて現況を伝えました。

 身内と争うんです。

 空元気でも、内心はさぞ意気消沈するかなと思っていたのですが……。

「不倶戴天の仇!!」

「父祖の地を奪った者達に災いあれ!!」

「「「うぉぉぉぉ!!」」」

 はい。

 AgeAgeですよ?

 ここって、しんみりしながらも立ち上がる場面じゃないの?

 もう、オーディエンス総立ちって感じです。

 これ、壇上からダイブしても平気なくらいの熱狂ですね。

 村人の熱狂に領主軍の人達も影響されてか、ガンガンとメイスみたいな鈍器で盾を叩きながら叫んでいますよ?

 何、この蛮族感。

 しょんぼりと置いてけ堀されているので、リサさんに色々聞いてみたのですが。

 そんなに可愛いたまじゃないと。

 身内といっても、争うとなれば敵なので。

 白黒、優劣はっきりとつけてから、改めて交流を深めれば良いのです。

 手、足が一本、二本もげている?

 生きていれば良い事もあるさ。

 にっこり、きっぱりと伝えられた内容を吟味しまして……。

 結論と致しましては。

 ばんぞくぅ~↑(IKK〇)。

 で、ですね。

 豪族の村の人が壁際に近づいてきたわけですが……。

 皆さんが武装してお待ちかねなのですよ?

 いやいや、斥候は生かして返さないと。

 怖がって襲ってこないですよ?

 かくかくしかじかと今後の作戦を再度説明し、何とか堪えてもらいましたが。

 もうね。

 殺る気、満々なのです。

 こりゃ、あかんと。

 何とか気をそらさすためにもと、みんなで急遽漁に勤しむ事にしまして。

 いや、領主軍の人の歓迎会を厳密にやってなかったなと。

 折角一緒に戦う人達ですし、そういう機会があっても良いじゃないですか?

 という名目で、頭に上がった血を抜いてもらおうかと。

 もうね。

 このままだと、来る人、来る人を血祭に上げかねないのですよ。

 怖いよ、蛮族。
しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界でトラック運送屋を始めました! ◆お手紙ひとつからベヒーモスまで、なんでもどこにでも安全に運びます! 多分!◆

八神 凪
ファンタジー
   日野 玖虎(ひの ひさとら)は長距離トラック運転手で生計を立てる26歳。    そんな彼の学生時代は荒れており、父の居ない家庭でテンプレのように母親に苦労ばかりかけていたことがあった。  しかし母親が心労と働きづめで倒れてからは真面目になり、高校に通いながらバイトをして家計を助けると誓う。  高校を卒業後は母に償いをするため、自分に出来ることと言えば族時代にならした運転くらいだと長距離トラック運転手として仕事に励む。    確実かつ時間通りに荷物を届け、ミスをしない奇跡の配達員として異名を馳せるようになり、かつての荒れていた玖虎はもうどこにも居なかった。  だがある日、彼が夜の町を走っていると若者が飛び出してきたのだ。  まずいと思いブレーキを踏むが間に合わず、トラックは若者を跳ね飛ばす。  ――はずだったが、気づけば見知らぬ森に囲まれた場所に、居た。  先ほどまで住宅街を走っていたはずなのにと困惑する中、備え付けのカーナビが光り出して画面にはとてつもない美人が映し出される。    そして女性は信じられないことを口にする。  ここはあなたの居た世界ではない、と――  かくして、異世界への扉を叩く羽目になった玖虎は気を取り直して異世界で生きていくことを決意。  そして今日も彼はトラックのアクセルを踏むのだった。

職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~

新米少尉
ファンタジー
「私は私の評価を他人に委ねるつもりはありません」 多くの者達が英雄を目指す中、彼はそんなことは望んでいなかった。 ただ一つ、自ら選択した道を黙々と歩むだけを目指した。 その道が他者からは忌み嫌われるものであろうとも彼には誇りと信念があった。 彼が自ら選んだのはネクロマンサーとしての生き方。 これは職業「死霊術師」を自ら選んだ男の物語。 ~他のサイトで投稿していた小説の転載です。完結済の作品ですが、若干の修正をしながらきりのよい部分で一括投稿していきますので試しに覗いていただけると嬉しく思います~

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...