上 下
86 / 106

第086話 情報屋さん

しおりを挟む
 まぁね。

 大方の予想はついてますので、それを後押ししてあげるだけなのですが。

 この世界。

 裏社会というのもきちんとありまして。

 まぁ、厳密に申しますと領主様の監視下に置かれた非合法な社会という感じでしょうか。
 人間三人いれば派閥が出来ると言いますが。

 文明が未成熟だと言っても、そういう部分は変わりないのです。

 例えば。

 人間が誘拐されたとします。

 これに対して身代金で対処を図れるのが、裏社会ですね。

 ちなみに、そのまま亡き者にされたり、奴隷然と匿われたりするケースに関しては闇社会と呼ばれるそうです。

 そっちは領主様の手からは離れていますし、撃滅の対象になっています。

 裏社会に関しては、物語でよく出てくるような統制のとれた盗賊ギルドを考えてもらえれば近いと思います。

 奪われた大事なものを盗んででも取り返したいとか、相手に知られずに情報を手に入れたいとか、公表されていない情報を欲しいとか。

 あんまり締め付け過ぎると血みどろな争いになりそうな部分を非合法な手段なりに公として出す事によりガス抜きしている感じでしょうか。

 ダリーヌさん曰く、たまにやりすぎて領主様からこらって怒られる事もあるそうですが。

 そこまで領主が面倒をみないといけないのかと、遠い目になっちゃいそうでしたが。

 で。

 この裏社会さん。

 情報というのが一つの名産品でして。

 知られていない情報は裏社会に足を運べというのはイロハのイな訳ですよ。

 実は、ここにはうちの村の情報を流してまして。

 厳密には、特定の顧客が来た場合、伝えても良いよと領主様経由でお願いしていたわけです。

 その代わり、その情報を欲しがった顧客が来た場合は教えてねというバーターの取引な訳ですが。

 網にかかったんですよね。

 豪族さんの村の下っ端の人が情報を取りに来たと。

 はい、これで金策の件は確定ですね。

 領主様も、私達も。

 もうこれ以上悪さをしないのであれば、何もする気はなかったのです。

 領主様としては、外聞の悪い豪族さんを名誉職にでもつけて、飼い殺しにしつつ村人さん達を救済するつもりでした。

 私達としても、豪族さんが懲らしめられたならまたご近所付き合いを再開するつもりでした。

 父祖の地を追われたといっても、その怒りは豪族さん個人に向いていますし。

 何より、近隣の村々の人に関して。

 元々、小さな村ですし。

 血の混じり合いに気を付けていても限界はあります。

 そういう時に、近隣の村々で融通し合って、広がっていった側面がありまして。

 ぶっちゃけると、親類縁者なのです。

 なので、あそこまでされても、ほいほいお金を出していた側面もありまして。

 言い方を変えると、身内を盾に取られたので、豪族さんのいう事を聞いていた部分もあります。

 なので、怒り骨髄に徹するなのですよ。

 はぁ、ここまでいくと自業自得も極まれりなのですが。

 最後のトリガーを自ら引きましたので。

 戦争の開始ですね。
しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

才能は流星魔法

神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。 そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。 流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。 ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。 井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。 山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。 井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。 二日に一度、18時に更新します。 カクヨムにも同時投稿しています。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

処理中です...