精霊さんと一緒にスローライフ ～異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です～

第085話 あれれー？

　はい。

　という訳で、挑発フェイズです。

　と言っても、そんなに難しい話ではなく。

　豪族さんの村の人は町におりますので。

　私達が普通に商取引を行いましたら、それが挑発行為になっているんです。

　なんせ……。

「ちょ、そのお肉は私が先に掴んだの！！」

「はぁ……。この寒いのに、こんな立派な葉物が採れるのね」

　市場では相変わらずの引く手あまた。

　何度か周囲の人から安すぎなので値段を上げて欲しいと言われて、値上げに踏み切ったのですが。

　希少価値と品質の良さから、全くお客様が剥がれず。

　私達が居座る限り、同業他者の場所には閑古鳥が鳴く有様なのです。

　これで燻製肉やら干物魚やらを売り出したらどうなるのかって話ですが、マスターとの約束は違えません。

　っと。

　ふと顔を上げると、路地の方から視線を感じまして。

　そっと目を向けてみると、ちょこんっと顔を出したいつもの下っ端さん。

　恐ろしい子と言わんばかりに、白目に大きな口を開けてこちらを覗いています。

　あ、なんか悔しそうな顔に変わって、ぎりぎり噛み締めてますね。

　羨ましいなら、自分のところでも商売をすればいいのにとは思います。

　精霊さんに頼っている部分はありますが、それ以外は村の人達の自助努力の結晶です。

　ここまでの稼ぎにならなくとも、多少の儲けは出るでしょうに。

　しかも、ダリーヌさんの話によると。

　私達を監視するためだけに、町をうろついているそうで。

　本当に、無駄です。

　働け、ニートって感じです。

　うむ？

　家から出ているので、引きこもりではないなという事で。

　で、あの下っ端さんが町の外で待機している別の下っ端さんに話をつないで豪族さんの村まで話がいくようです。

　何の話題を伝えているのかは分かりませんが、精々お金儲けしていると伝わってくれれば良いのですが。

　で、追い込みの方ですが。

　遂に遠縁さんの村は完全包囲されたようです。

　その前に、同調していた人達を臨検して、逃走を誘発させたそうで。

　現在、不穏分子が遠縁さんの村に集まっているそうなので、一網打尽ですね。

　で、そんな最中に豪族さん。

　朝貢に訪れたようなのですが。

　領主様、大激怒です。

　反乱の首謀者に活動資金を提供するとか、一味と変わりません。

　豪族さん。

　反乱の助長という事で、捕らえられそうになりましたが。

　持参金を以って、傘下に入るから許してくれと正式に話をしたようです。

　でも、持参金ったって。

　他の村を飢えに追いやった上、遠縁さんに殆ど渡しているはずなのですよ？

　どうやって、お金、用意するんでしょうね。

　あれれー？

　おかしーなー。