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第083話 領主軍とは

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 領主軍に関してですが、非常に素性の良い集団でした。

 というのも、専業の兵士でして。

 給料が確実に出るという事で、人気の職種だそうです。

 町の人の信頼も厚いですし、花形のお仕事なのだそうで。

 という訳で、品行方正なのです。

 そんなお仕事辞めさせられたくないですしね。

 これが傭兵とかだったら賊と一緒なのですが。

 で、そんな皆さんが現在何をやっているかと言いますと。

 家を建てています。

 ある程度の練度を保った軍集団というのは、技術集団でもありまして。

 魔物相手に戦うにしたって、落とし穴は掘るし、柵だって建てます。

 なんだったら、簡易陣地なんかも作るでしょう。

 と言いますのも。

 はじめは天幕での生活とか言っていたのですが。

 湖近く、山からの寒風吹きすさぶ場所です。

 風邪でも引かれたら怒られそうなので、材料を提供するので家を建てませんかと申し出たところ。

 兵士の皆さん、大喜び。

 そりゃ、不便よりも便利な方が嬉しい訳で。

 私としても、村を切り開いた時の木材を良い感じで消化してもらえて助かります。

 それに、領主軍の皆さんが去った後には新しい住民用に使えるので一石二鳥です。

 そんな思惑もありまして、訓練がてらかんこんと家がにょきにょき生えている次第です。

 あ、ちなみにフレッド君とハッサム君は獅子奮迅中です。

 前にもお話した通り、精霊さん達。

 大まかな木材の切り出しは得意なのですが、製材までは無理です。

 なので、町暮らしが長く交流もあるフレッド君が兵士の皆さんを指揮して製材加工を並行してやっています。

 ハッサム君は何といっても釘作りです。

 作っても作っても終わらない、釘地獄。

 二人して、ひーこら言いながら作業している次第です。

 私ですか?

 手弁当なんて言ってくれますが、何もしないのでは心証が悪くなるのは当然なので。

 常に英気を養ってもらうためにも、温かい食事を提供するのは大事です。

 特に冬場は体が冷えると、覿面に運動効率が下がりますから。

 ありとあらゆる事に悪影響が発生します。

 という訳で、ててーっと魚釣り……ごほん。

 食材確保に走り回っている次第です。

 村の皆さんも訓練の合間を縫って、兵士さんのお手伝いに走り回っておりまして。

 中々融和ムードが漂う感じです。

 特に村の若い人間にとっては出会いの場ですし。

 男女問わず張り切っています。

 女は分かりにしても、男もかと疑問を持たれるかもしれませんが。

 百人からの集団。

 これ、全てが戦闘要員ではありません。

 七十人の戦闘要員に、三十人の従卒や輜重、その他雑用を担う人が付いています。

 戦闘要員の中でも女性はいますし、三十人のほとんどは女性です。

 という訳で、時ならぬ婚活ムードも漂っておりまして。

 戦時体制という事で、薄く興奮状態というのもあるのでしょう。

 吊り橋効果ではないですが、お互いに同じ釜の飯を食い、同じ敵と戦う同士。

 連帯感みたいなのが生まれて、仲良くやっているようです。

 村の親世代の人も、血が濃くなりがちな村に新しい人が入ってくるのは賛成です。

 それに、戦闘経験のある人が入ってくれば、リサさん家の皆さんの負担が今後減ります。

 逆に、村から人が出ていく形になっても。

 町で村出身の人が存在するというのは色々便利なのです。

 噂の収集や、村の代弁者としても役に立てます。

 どちらにせよ、良い事づくめという事で。

「出来ましたよー!!」

 という訳で、今日も温かな川魚団子のスープに焼肉の大盤振る舞いです。

 精を付けて、さくっと豪族さんを処理出来れば良いなと。

 私も陰ながら応援する次第ですよ。
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