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第075話 麦は偉大です
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えっちらおっちら袋を抱えて向かうのは浴場となります。
厳密には、浴場の横に倉庫を作ろうかなと。
精霊さん、よろしくお願いします。
がががっと建築された豆腐建築ですが。
こちら、温度管理を徹底するためだけに作ってみました。
浴場の傍は熱が漏れて暖かかったので、ここに建てただけです。
で、その目的とは。
ざらざらと袋から薬研に取り出しますのは、手塩にかけて育てた麦芽を乾燥させたもの。
こいつをさくさくと潰していきます。
何を作るのか?
答えは麦汁です。
お米があれば、水飴といきたいところですが。
現在手元にありませんので。
お手軽に作る事が出来る甘味と言えば、水飴や麦汁。
まぁ、麦汁には他にも利用手段があるのですが。
それはまた今度という事で。
お家の中で密かに育てたモヤシのひょろい感じの麦芽さんですが、乾燥させると思ったよりあっさりと崩れます。
こいつに七十度よりもちょっと低い感じのお湯を投入し、後はその温度をキープです。
精霊さんに甘いものを作るお仕事だと伝えると、きらきらを通り越した鋭い目つきで我も我もと寄ってきます。
でもそんなに大きな甕じゃないので人数はいらないかなと思っていたら、緊急会議が招集され喧々諤々の話し合いが行われる次第に。
結果一人の精霊さんが勝ち抜いたらしく、愛おしそうに甕に抱き着きます。
そんなモーションが必要なのかと思いながらも、取り敢えず帰宅。
そして、就寝。
一晩が明け、倉庫の扉を開けると。
そこには溢れかえらんばかりの精霊さん達が密集しておりまして。
千切っては投げを繰り返し、目的のブツまで達しました。
しっかり抱き着いている精霊さんを剥がそうとすると、いやいやと涙目で訴えるので。
そのまま甕の封印を解きます。
その瞬間、ふわっと香るアルコール臭にも似た揮発香。
匂いとしては甘酒からこなっぽさを除いたような匂いでしょうか。
ちょみっと採取して、ぺろり。
生の穀物由来のあくっぽい苦みとえぐみの奥に、甘さを感じます。
という訳で、麦芽糖の完成です。
これはサトウキビやテンサイから採れるショ糖の三割程度の甘さですが。
自然由来の甘さしか知らなければ十分だと考えます。
ちなみに、果糖はショ糖よりも七割ほど甘いのですが。
果物に含まれる果糖の配合量を考えれば、こんな形で直接摂取出来る麦芽糖の方が強く甘みを感じます。
で、こちらを湯煎して煮詰まらせる事によって甘みを強くしたいのですが。
精霊さんにお願いしようとすると、みんなが向けてくる何かを期待した眼差し。
「次の工程を終わらせた方が、もっと甘いですよ?」
私の一言で、超高速きびきび動作にチェンジです。
さくさくとタライを用意し、精霊さんがくつくつと沸騰させっぱなしの中に甕をとぽん。
後は、水分量が減るのを待ちます。
しかし麦汁なんて子供の頃、母に水飴と一緒に作ってもらった懐かしい味です。
父の趣味で、自家製ビールなんて作っていたせいか、そういうのに触れられたのは良い思い出だと感じますね。
と、水分が揮発するにつれて甘い香りが漂い出します。
ふわふわと豆腐建築から漏れ出したのか。
ノックの音が響くので、誰何するとリサさん。
「美味しそうな匂いがしたから……」
ちょっと恥ずかしそうな顔で入ってくるリサさんと一緒に、甕の中身をかき混ぜます。
水分を精霊さん達に飛ばしてもらえば、固形の麦芽糖が手に入ったんじゃね?
そう気づいたのは、ねっとりとした薄い茶色の液体が完成したタイミングでしたとさ。
まぁ、過ぎた事は良いという事で。
実食です!!
厳密には、浴場の横に倉庫を作ろうかなと。
精霊さん、よろしくお願いします。
がががっと建築された豆腐建築ですが。
こちら、温度管理を徹底するためだけに作ってみました。
浴場の傍は熱が漏れて暖かかったので、ここに建てただけです。
で、その目的とは。
ざらざらと袋から薬研に取り出しますのは、手塩にかけて育てた麦芽を乾燥させたもの。
こいつをさくさくと潰していきます。
何を作るのか?
答えは麦汁です。
お米があれば、水飴といきたいところですが。
現在手元にありませんので。
お手軽に作る事が出来る甘味と言えば、水飴や麦汁。
まぁ、麦汁には他にも利用手段があるのですが。
それはまた今度という事で。
お家の中で密かに育てたモヤシのひょろい感じの麦芽さんですが、乾燥させると思ったよりあっさりと崩れます。
こいつに七十度よりもちょっと低い感じのお湯を投入し、後はその温度をキープです。
精霊さんに甘いものを作るお仕事だと伝えると、きらきらを通り越した鋭い目つきで我も我もと寄ってきます。
でもそんなに大きな甕じゃないので人数はいらないかなと思っていたら、緊急会議が招集され喧々諤々の話し合いが行われる次第に。
結果一人の精霊さんが勝ち抜いたらしく、愛おしそうに甕に抱き着きます。
そんなモーションが必要なのかと思いながらも、取り敢えず帰宅。
そして、就寝。
一晩が明け、倉庫の扉を開けると。
そこには溢れかえらんばかりの精霊さん達が密集しておりまして。
千切っては投げを繰り返し、目的のブツまで達しました。
しっかり抱き着いている精霊さんを剥がそうとすると、いやいやと涙目で訴えるので。
そのまま甕の封印を解きます。
その瞬間、ふわっと香るアルコール臭にも似た揮発香。
匂いとしては甘酒からこなっぽさを除いたような匂いでしょうか。
ちょみっと採取して、ぺろり。
生の穀物由来のあくっぽい苦みとえぐみの奥に、甘さを感じます。
という訳で、麦芽糖の完成です。
これはサトウキビやテンサイから採れるショ糖の三割程度の甘さですが。
自然由来の甘さしか知らなければ十分だと考えます。
ちなみに、果糖はショ糖よりも七割ほど甘いのですが。
果物に含まれる果糖の配合量を考えれば、こんな形で直接摂取出来る麦芽糖の方が強く甘みを感じます。
で、こちらを湯煎して煮詰まらせる事によって甘みを強くしたいのですが。
精霊さんにお願いしようとすると、みんなが向けてくる何かを期待した眼差し。
「次の工程を終わらせた方が、もっと甘いですよ?」
私の一言で、超高速きびきび動作にチェンジです。
さくさくとタライを用意し、精霊さんがくつくつと沸騰させっぱなしの中に甕をとぽん。
後は、水分量が減るのを待ちます。
しかし麦汁なんて子供の頃、母に水飴と一緒に作ってもらった懐かしい味です。
父の趣味で、自家製ビールなんて作っていたせいか、そういうのに触れられたのは良い思い出だと感じますね。
と、水分が揮発するにつれて甘い香りが漂い出します。
ふわふわと豆腐建築から漏れ出したのか。
ノックの音が響くので、誰何するとリサさん。
「美味しそうな匂いがしたから……」
ちょっと恥ずかしそうな顔で入ってくるリサさんと一緒に、甕の中身をかき混ぜます。
水分を精霊さん達に飛ばしてもらえば、固形の麦芽糖が手に入ったんじゃね?
そう気づいたのは、ねっとりとした薄い茶色の液体が完成したタイミングでしたとさ。
まぁ、過ぎた事は良いという事で。
実食です!!
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